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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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幸福なる試食(上)

(ヒルまも一家)
※『救出大作戦』の前後です。

+ + + + + + + + + +
昼日中、のどかに細かい埃の舞う店内。
女子高生の響く声の下で老人たちのぼそぼそ喋る声が混ざる。
時折子供が泣き喚くのをヒステリックに怒る母親がいて、女子高生は年を取るって怖いね、という顔をし、老人たちは若さへ憧憬を抱く。
子供が急に走り出し、店外へと飛び出ようとする。
それを抑えようと更に声を荒げた母親は、その直後短く息をのんだ。
変調に気づいた人々がそちらを何気なく伺うと、そこにはいかにも堅気でない雰囲気の男が立っている。
逆立つ金髪、尖った耳、黒ずくめの格好で手にはなぜだかマシンガン。
モデルガンにしてもそうじゃないにしても、恐ろしいことに変わりはない。
一気に氷点下まで落ち込んだような店内で、母親は飛び出ようとした子供がこの悪魔のような男にぶつかってしまうことを何より恐れた。
が、その前に小柄な影が咄嗟に子供を抑えた。
「危ないよ」
子供がきょとんと見上げたのは、黒目黒髪のいかにも優等生な外見の少年だった。
硬直していた母親ににっこりと笑いかけ、子供を押して彼女の元に戻す。
「あ、ありがとう」
「いいえ」
我に返って礼を述べた母親に笑みを浮かべ、少年は既に店内を進んでいく金髪悪魔の後を追った。
「お父さん、僕あのバーガーがいい」
強請られた格好の悪魔はふん、と鼻を鳴らす。
「一個じゃ足りねぇだろ。他は」
「じゃあこっちも」
「おー」
男の見た目は怖いのに会話は普通だったので、周囲の空気は少々緩和したが。
「・・・脅迫手帳はいらなくない?」
「いーんだよ」
取り出された毒々しい雰囲気の手帳に、やはりこの男はただ者ではない、と慌てて席を立つ者が続出した。


すっかり人が減った店内で、あからさまに注文以上に出された品物を前に護はため息をつく。
「食べきれないほど出させてどうするの」
「あっちが勝手に寄越しただけだ」
この父親の機嫌が悪いことくらい承知だが、護はそれでも一言言わずにはいられなかった。
「お母さんが見たら怒るよ」
ヒル魔はその言葉をスルーした。
本日は朝からなぜだかまもりが夫も子供も放りだして近所の小早川宅へ遊びに行ってしまったのだ。
多分気晴らしだろうが、平日ならともかく休日に出かけるのはきっと父親が何かしでかしたのだろうと子供たちの視線も冷たい。
運悪くこういう日に限ってアメフト部の練習もなく、それならば外へ普段は出来ないような用事を済ませに行こうとした父親に、護はいち早く察知してついて来たのだ。
そうして用事を済ませた頃に小腹が空いたと護が訴え、普段では全くと言っていいほど出入りのないファストフード店へと足を踏み入れた。

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