旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ヒル魔はとりあえず一つハンバーガーを持ち上げ、かじりつく。
彼自身、食事にあまりこだわりがないのでかつてはよく食べたものの一つだ。
けれど近頃はめっきり口にすることもなかった、安価なそれ。
はっきり言って美味いものではない。
だが、かつてより数段味が落ちたように感じるのは年のせいだろうか。
「言っておくけど、お父さんの味覚が贅沢なだけだからね」
ヒル魔の内心を読んで、護が釘を刺す。
「母さんの美味しい料理が標準だったらそう思うのは仕方ないんだけどさ。それでもたまに食べたくなるんだよね、こういうジャンクなものは」
「身体に悪いモンほど美味いんだろ」
「言えてる」
護も一つハンバーガーを頬張る。
安っぽい脂の匂いが口の中に広がった。
「お父さんってさー・・・」
「何だ」
「お母さんと別れたら、簡単に餓死しそうだよね」
ヒル魔はぴんと片眉を上げる。グルメもある意味不幸だね、と護は呟く。
「まあ本当は料理も出来るけど、一人の分じゃ作りそうにないし・・・」
その上あの片付け下手である。あっという間に孤独死街道に突き進みそうだ。
「昔はそれでも一人暮らししてたんだよね?」
「ホテルでな」
掃除とルームサービスがあるからこそ成り立っていた生活だった。
「フツーのアパートとかじゃ無理だろうしね。ねえ、お母さんともし別れたらどうする?」
護は笑みを浮かべて質問する。
絶対に二人が別れる事なんてしないだろうと踏んでいるからこそできる質問だ。
判っているからか、ヒル魔もこくのないコーヒーを嚥下しながら視線を寄越す。
「どうするって?」
「新しい奥さんとか探しちゃうの?」
ヒル魔はにやりと口角を上げた。
「姉崎以上の女がいりゃあな」
「それって絶対再婚しないってことじゃない」
「ったりめーだ」
ケケケ、と笑う彼は穏やかで、護は肩をすくめる。
「お母さんがお父さんより一日でも長く生きてくれることを願うばかりだよ」
「知ってるか?」
「何?」
「そういうのを全部ひっくるめて杞憂、ってんだ」
「そうとも言うね」
護は一つ頷いた。確かに気にしても仕方ないことだ。
父親の機嫌が平素に戻ったことを確認し、護は手を挙げる。
「すみませーん」
「はははははい! お呼びでしょうか!」
飛んでくる店員にテイクアウトを頼む護に、ヒル魔は眉を寄せたが、彼は飄々としたものだ。
「だって全然食べられないじゃない。勿体ないし、持って帰ってみんなで食べようよ」
そうやって持ち帰ったハンバーガー類は家族全員の不興を買った。
殊更、まもりに。
「んもう、食べないのになんでこんなに買って来ちゃうの!」
むくれながらキッチンで処分に頭を悩ませるまもりに、ヒル魔はまもりの傍らに歩み寄り、本日の夕飯にハンバーグを所望する。
「まだ食べたいの?」
「口直しだ」
そんなヒル魔に、まもりはむっと眉を寄せるがその口角が微妙に上がる。
「これ、美味しかった?」
「全然」
まもりの手の中からせっかく持って帰ってきたハンバーガーを奪い取り、ゴミ箱へと投げ捨てる。
「食べ物を粗末にしちゃいけません!」
「煩ェ、あんなの食いモンじゃねぇ」
「全くもう」
そう言いながらもどこか嬉しそうな母の声に、仲直りの気配を感じ取り。
リビングで聞き耳を立てていた子供たちは、顔を見合わせてほっと息をついたのだった。
***
何となく二人でハンバーガー囓って会話してる姿を想像したら出てきた話。
そもそもハンバーガーなんて滅多に食べないんだろうなあ、とか、護とヒル魔さん二人にするのって結構大変かも、とか色々楽しかったです。たまーに食べたくなるけど、後で胸焼けするんですよね、ハンバーガー。
彼自身、食事にあまりこだわりがないのでかつてはよく食べたものの一つだ。
けれど近頃はめっきり口にすることもなかった、安価なそれ。
はっきり言って美味いものではない。
だが、かつてより数段味が落ちたように感じるのは年のせいだろうか。
「言っておくけど、お父さんの味覚が贅沢なだけだからね」
ヒル魔の内心を読んで、護が釘を刺す。
「母さんの美味しい料理が標準だったらそう思うのは仕方ないんだけどさ。それでもたまに食べたくなるんだよね、こういうジャンクなものは」
「身体に悪いモンほど美味いんだろ」
「言えてる」
護も一つハンバーガーを頬張る。
安っぽい脂の匂いが口の中に広がった。
「お父さんってさー・・・」
「何だ」
「お母さんと別れたら、簡単に餓死しそうだよね」
ヒル魔はぴんと片眉を上げる。グルメもある意味不幸だね、と護は呟く。
「まあ本当は料理も出来るけど、一人の分じゃ作りそうにないし・・・」
その上あの片付け下手である。あっという間に孤独死街道に突き進みそうだ。
「昔はそれでも一人暮らししてたんだよね?」
「ホテルでな」
掃除とルームサービスがあるからこそ成り立っていた生活だった。
「フツーのアパートとかじゃ無理だろうしね。ねえ、お母さんともし別れたらどうする?」
護は笑みを浮かべて質問する。
絶対に二人が別れる事なんてしないだろうと踏んでいるからこそできる質問だ。
判っているからか、ヒル魔もこくのないコーヒーを嚥下しながら視線を寄越す。
「どうするって?」
「新しい奥さんとか探しちゃうの?」
ヒル魔はにやりと口角を上げた。
「姉崎以上の女がいりゃあな」
「それって絶対再婚しないってことじゃない」
「ったりめーだ」
ケケケ、と笑う彼は穏やかで、護は肩をすくめる。
「お母さんがお父さんより一日でも長く生きてくれることを願うばかりだよ」
「知ってるか?」
「何?」
「そういうのを全部ひっくるめて杞憂、ってんだ」
「そうとも言うね」
護は一つ頷いた。確かに気にしても仕方ないことだ。
父親の機嫌が平素に戻ったことを確認し、護は手を挙げる。
「すみませーん」
「はははははい! お呼びでしょうか!」
飛んでくる店員にテイクアウトを頼む護に、ヒル魔は眉を寄せたが、彼は飄々としたものだ。
「だって全然食べられないじゃない。勿体ないし、持って帰ってみんなで食べようよ」
そうやって持ち帰ったハンバーガー類は家族全員の不興を買った。
殊更、まもりに。
「んもう、食べないのになんでこんなに買って来ちゃうの!」
むくれながらキッチンで処分に頭を悩ませるまもりに、ヒル魔はまもりの傍らに歩み寄り、本日の夕飯にハンバーグを所望する。
「まだ食べたいの?」
「口直しだ」
そんなヒル魔に、まもりはむっと眉を寄せるがその口角が微妙に上がる。
「これ、美味しかった?」
「全然」
まもりの手の中からせっかく持って帰ってきたハンバーガーを奪い取り、ゴミ箱へと投げ捨てる。
「食べ物を粗末にしちゃいけません!」
「煩ェ、あんなの食いモンじゃねぇ」
「全くもう」
そう言いながらもどこか嬉しそうな母の声に、仲直りの気配を感じ取り。
リビングで聞き耳を立てていた子供たちは、顔を見合わせてほっと息をついたのだった。
***
何となく二人でハンバーガー囓って会話してる姿を想像したら出てきた話。
そもそもハンバーガーなんて滅多に食べないんだろうなあ、とか、護とヒル魔さん二人にするのって結構大変かも、とか色々楽しかったです。たまーに食べたくなるけど、後で胸焼けするんですよね、ハンバーガー。
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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