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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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暮らしやすく(上)

(ゆめのあとさきシリーズ)
※『幻肢クオリア』の後。


+ + + + + + + + + +
朝、目が覚めて起きると、朝食が用意されていた。
「・・・え」
「起きたか」
丁度入ったらしいコーヒーを手にヒル魔がまもりに声をかける。
「おはよう。・・・妖一? どうしたの、急に」
ヒル魔はまもりの言葉に、ぴんと片眉を上げたきりで返事をしない。
一体何事か、と思うが漂ってくる朝食の匂いは間違いなく美味しそうで。
ぐう、と鳴る音に空腹であることを自覚する。
彼の視線が着席を促す。
まもりはおとなしく椅子に座った。
途端に目の前に音もなく置かれるカップにはミルクたっぷりのカフェオレ。
「ありがとう」
どこか釈然としない気持ちで礼を述べ、いただきますと小さく呟いて口をつける。
砂糖も入っていて、甘くて美味しい。
続いて朝食にも手をつけたが、見ればヒル魔の分がない。
「あれ、妖一の分は」
「もう食った」
聞こえてくるのは食器を洗う音。かすかなそれに、まもりは思わず窓の外をうかがった。
よく晴れていて、絶好の洗濯日和だ。
だってもう洗濯物がたなびいている。
・・・洗濯物が?
「え?! なんで洗濯物がもう干してあるの!?」
「洗ったから」
さっさと片付け終えたらしいヒル魔が飄々と寝室に消えていく。
これは夢ではないかと頬をつねれば、そんな様子を見下ろしてシーツを抱えたヒル魔がふんと鼻を鳴らした。

結局ヒル魔はほとんど喋らず、まもりの食事が終わるのを待ち構えていたように片付けてしまう。
普段であればまもりが全てやっていることだ。朝起きて、二人分の朝食を作って、洗濯をして、掃除をして。
そこまで考えて手つかずの掃除をしようと思い立ったが。
見ればヒル魔が掃除機をかけ始めていた。
・・・まもりは体温計を探すために立ち上がった。
もうこれは悪い夢レベルでは済まない。
きっと熱でも出しているんだろうと思ったが、すぐに平熱だと表示された。
まもりはカレンダーを見る。特に記念日でもない。まもりの調子が悪いわけでもないし、誕生日はもっと先だ。
ヒル魔は現在シーズンオフで、激戦をくぐり抜けた身体を休めつつ副業の会社に顔を出していた。
もしかして、彼の調子が悪いのだろうかと思ってじっと観察してみるが、そんな雰囲気ではない。
だが全てを隠すのが上手な彼のこと、何かあるのだろうと近寄って。
「妖一、熱でもあるの?」
「36.5度。平熱」
疑わしい顔をしているまもりの手を取り、首筋に当てる。特に熱の気配はない。
では一体何事なのか、と不安を通り越して恐怖を感じ始めたまもりに、ヒル魔は口角をつり上げる。

<続>
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