旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
結構仲のいい関係らしいと察して、まもりの頬が緩む。
ふわりと笑った彼女に、全員が頬を染めて動きを止めた。
『・・・ホントに脅されたりとかじゃないんですか?』
『あんまりアテにならないけど、合意の上じゃないなら警察に相談した方が』
『相談くらいなら乗れますよ』
あっという間にまもりを取り囲んだ男性陣に、低い声が投げかけられる。
『テ・メ・エ・ら・・・・』
同時に響くのは、銃の安全装置を外す、音。
全員がぴしりと音を立てて固まった。
『命が惜しけりゃさっさと仕事の続き、やれ!!』
『ひゃー!!!』
『やりますやります!!!』
「だめよヒル魔くん、そんなことしちゃ!」
「テメェはこっちだ。また呼び方」
「あ」
掛け値なしの悲鳴をBGMに、まもりはヒル魔の机の側まで引きずられた。
「見ての通りデータ以外の実務が回ってねぇんでな」
散乱する書類、書籍。その整理が急務なのが察せられる。
「昔みたいにアナログな処理をしろ、ってことね」
「おー」
まもりはぐるりと全体を見渡して、掃除用具入れを発見すると、そこから嬉々として箒を取り出した。
ふと、従業員たちが作業の合間に顔を上げる。
気づけば、床に落ちていた雑多な書類が全て消え、綺麗に掃き清められていた。
書籍は本棚に収まり、見れば空き机にいるまもりはてきぱきと書類をファイリングしていっているではないか。
みるみるうちに書類の山が消えていくのを目の当たりにし、呆然と見つめていると。
『おらサボるんじゃねぇ』
途端にヒル魔の声が飛んでくる。ひゃっと声を上げて彼らは再び作業へと戻った。
やはり悪魔の嫁になるだけあって、まもりもとんでもない能力の持ち主なのだと認識しながら。
まもりは徐々に仕事に慣れた。
会社の方は勿論、救護室にも一人で出て作業をするようになった。
元より仕事の出来る彼女のこと、ヒル魔もそこは心配していなかったが。
『まもりさ~ん、怪我しちゃったぁ』
『俺もー!』
相変わらず隙あらば救護室に行こうとする連中にはほとほと手を焼いていた。
何しろ泥門時代とは違い、チームの人数も規模も桁違い。
ヒル魔の目が全てに行き渡るわけではないのだ。
けれど。
『なあなあ、今度ヒル魔に内緒で食事でも・・・』
『はい、終わりました。練習に戻って下さいね』
まもりは笑顔で応対するが、手早く治療した後は無駄話を許さない。
さっさとたたき返されてくるのを小気味よい気持ちで迎える。
『人の嫁に色目使ってる暇があったらさっさと練習すんぞ!』
それで僅かに溜飲を下げつつ、どうにかして根本的解決が出来ないかと日々悶々とするヒル魔の姿があった。
一方で。
「ふう」
包帯を片付けながらまもりは嘆息する。
当初よりは来訪者数が減ったとは言え、まだまだ多い。
けれど仕事そのものはいい。アメフト部の面々は気持ちの良い者が多いため、割と気楽に対処できるから。
それよりも。
まもりは救護室の窓からグラウンドを眺める。
いざというときに素早く対処するため、救護室はグラウンドに一番近い位置にある。
フェンスの側にいる鈴なりの人影。
老若男女問わずずらっと並ぶその中に、女性の一団がある。
『ヒル魔-!』
『ヒル魔、ヒル魔!』
文字通り黄色い声援を投げかけている。この距離で建物の中にいるまもりに聞こえるのだから相当な声量だろう。
「なによ、結構モテるんじゃない」
やはり群集心理というか、日本とは性質が違うというか。
今まで彼がモテる場面を一切見たことがないまもりにとっては新鮮であり、また少々腹立たしいような誇らしいような複雑な心理を醸す光景でもあった。
彼が一向に歯牙に掛けない様子なのが唯一の救いだが。
<続>
ふわりと笑った彼女に、全員が頬を染めて動きを止めた。
『・・・ホントに脅されたりとかじゃないんですか?』
『あんまりアテにならないけど、合意の上じゃないなら警察に相談した方が』
『相談くらいなら乗れますよ』
あっという間にまもりを取り囲んだ男性陣に、低い声が投げかけられる。
『テ・メ・エ・ら・・・・』
同時に響くのは、銃の安全装置を外す、音。
全員がぴしりと音を立てて固まった。
『命が惜しけりゃさっさと仕事の続き、やれ!!』
『ひゃー!!!』
『やりますやります!!!』
「だめよヒル魔くん、そんなことしちゃ!」
「テメェはこっちだ。また呼び方」
「あ」
掛け値なしの悲鳴をBGMに、まもりはヒル魔の机の側まで引きずられた。
「見ての通りデータ以外の実務が回ってねぇんでな」
散乱する書類、書籍。その整理が急務なのが察せられる。
「昔みたいにアナログな処理をしろ、ってことね」
「おー」
まもりはぐるりと全体を見渡して、掃除用具入れを発見すると、そこから嬉々として箒を取り出した。
ふと、従業員たちが作業の合間に顔を上げる。
気づけば、床に落ちていた雑多な書類が全て消え、綺麗に掃き清められていた。
書籍は本棚に収まり、見れば空き机にいるまもりはてきぱきと書類をファイリングしていっているではないか。
みるみるうちに書類の山が消えていくのを目の当たりにし、呆然と見つめていると。
『おらサボるんじゃねぇ』
途端にヒル魔の声が飛んでくる。ひゃっと声を上げて彼らは再び作業へと戻った。
やはり悪魔の嫁になるだけあって、まもりもとんでもない能力の持ち主なのだと認識しながら。
まもりは徐々に仕事に慣れた。
会社の方は勿論、救護室にも一人で出て作業をするようになった。
元より仕事の出来る彼女のこと、ヒル魔もそこは心配していなかったが。
『まもりさ~ん、怪我しちゃったぁ』
『俺もー!』
相変わらず隙あらば救護室に行こうとする連中にはほとほと手を焼いていた。
何しろ泥門時代とは違い、チームの人数も規模も桁違い。
ヒル魔の目が全てに行き渡るわけではないのだ。
けれど。
『なあなあ、今度ヒル魔に内緒で食事でも・・・』
『はい、終わりました。練習に戻って下さいね』
まもりは笑顔で応対するが、手早く治療した後は無駄話を許さない。
さっさとたたき返されてくるのを小気味よい気持ちで迎える。
『人の嫁に色目使ってる暇があったらさっさと練習すんぞ!』
それで僅かに溜飲を下げつつ、どうにかして根本的解決が出来ないかと日々悶々とするヒル魔の姿があった。
一方で。
「ふう」
包帯を片付けながらまもりは嘆息する。
当初よりは来訪者数が減ったとは言え、まだまだ多い。
けれど仕事そのものはいい。アメフト部の面々は気持ちの良い者が多いため、割と気楽に対処できるから。
それよりも。
まもりは救護室の窓からグラウンドを眺める。
いざというときに素早く対処するため、救護室はグラウンドに一番近い位置にある。
フェンスの側にいる鈴なりの人影。
老若男女問わずずらっと並ぶその中に、女性の一団がある。
『ヒル魔-!』
『ヒル魔、ヒル魔!』
文字通り黄色い声援を投げかけている。この距離で建物の中にいるまもりに聞こえるのだから相当な声量だろう。
「なによ、結構モテるんじゃない」
やはり群集心理というか、日本とは性質が違うというか。
今まで彼がモテる場面を一切見たことがないまもりにとっては新鮮であり、また少々腹立たしいような誇らしいような複雑な心理を醸す光景でもあった。
彼が一向に歯牙に掛けない様子なのが唯一の救いだが。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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