旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ジャックに目配せされ、まもりは笑みを浮かべる。
『初めまして。ヒル魔まもりです。主人がお世話になってます』
まだなんとなく言い慣れないが、間違いではないのだ。
『しゅ・・・』
絶句した選手は上から下までまもりを再三見直して。
それから。
『こんな美人が来たと思ったら! もう結婚してるなんて!! しかもあの悪魔となんて!!』
まるでこの世の終わりみたいな騒ぎっぷりに今度はまもりが硬直する。
けれどジャックは慣れたもので、治療をさくさく終えると選手の座っていた椅子を蹴った。
『うっわ!』
『ほらさっさと練習に行きなさい。噂の悪魔に蜂の巣にされるよ』
ここで時間をつぶしてるとね、とそう続けると選手は治療前より調子悪そうにふらふらしながら外へと出て行った。
『悪い奴らじゃないんだけどね。こんなことがしばらく続くと思うよ』
『はぁ』
ラルフの時もそうだけれど、このオーバーアクション、やはり慣れない。
『きっと今日はお客さんが多くなるだろうね。まもりさん、これを』
『はい?』
まもりは渡された物を手に首を傾げた。
名札。ごく普通のもの。
けれどそこに併記されているのが。
『【ヒル魔まもり/既婚】って・・・』
『そう入れておかないと、君がヒル魔の奥さんだって知っていても口説く連中が出てくるからね』
『そうでしょうか』
穿ちすぎなのでは、と首を傾げるまもりだったが、ジャックはにっこりと笑う。
『いいから。ヒル魔も気が気じゃないだろうし、言うとおりにしておきなさい』
ジャックの読みはあたりだった。
『なんてこったい! ヒル魔の嫁?!』
『あの野郎、いつからこんな美人な嫁さんを!!』
『あんな奴やめて俺と結婚しませんか?!』
『ヒル魔の野郎! ぶっ殺す!!』
最初の選手がグラウンドに戻ってから、大勢の選手が数分でどやどやと入れ替わり立ち替わりまもりの元にやって来たのだ。
中には騒ぎに便乗して訳も分からずやって来る者もいたようで、まもりのを見て本気で口説くも名札を見て盛大に落胆していた。
聞いていないと空とぼけようにも名札に大々的に書かれていれば反論のしようもなく。
そして肝心の怪我の内容は擦りむいたり切ったり打ったり、というののごく小さなものばかり。
『これくらい手当の必要ないでしょ! 君ら予想通りすぎだね!』
『イッテー!!』
ジャックが手当たり次第に一番染みる消毒液で選手たちの傷を消毒して叩き出していくがなかなか進まない。
まもりも消毒に回ろうとするが、そうすると途端に質問攻めになってしまい動けなくなる。
これじゃ練習どころじゃないのでは、と目を回すまもりの耳に、銃声が響く。
これは。
『オラこの糞バカ共!! いつまでもくっちゃべってんじゃねぇ!!』
ヒル魔が鬼神のような顔で救護室を襲撃に来た。もとい、選手たちを叩き出しに来た。
『練習になんねぇだろうが!』
けれどそこは百戦錬磨のアメフト選手たち。
ヒル魔がいくらがなり立ててもそうそう引かない。
『なんだよー、テメェが結婚してるって言わないからいけねぇんだろ!』
『そうだそうだ、こんな美人捕まえておいて紹介もなしかよ!』
紹介しろ-、飲みに行くぞ-、奥さんも連れてこい、という大合唱にヒル魔の額に青筋が浮かぶ。
『・・・よっぽどバラされてぇみてぇだなァ』
すちゃ、とどこからともなく出された脅迫手帳。途端に選手たちが硬直した。
『わっわわ! わかった、出るから!』
『秘密をバラされるのだけは勘弁!!』
ぎゃーぎゃー言いながら選手たちは飛び出していく。
まるで台風一過、という感じの室内でまもりは呆然と立ち尽くした。
残ったのはジャックとまもりとヒル魔のみ。
「ったく。テメェ、ちゃんと俺の妻だって言ってんのか?」
「言ってるわよ。さっきの皆さんだってヒル魔くんに奥さん紹介しろとかそういうこと言ってたでしょ!」
「呼び方違ぇだろ!」
「そんなことどうでもいいじゃない!!」
ぎゃあぎゃあと日本語で言い合う二人をジャックはしばらく見守っていたが。
頃合いを見計らい、苦笑しながら口を挟んだ。
『悪いけど、まもりさん。掃除手伝ってくれるかい?』
『はい!』
その様子を見て、ヒル魔はフンと鼻を鳴らして救護室を去っていった。
<続>
『初めまして。ヒル魔まもりです。主人がお世話になってます』
まだなんとなく言い慣れないが、間違いではないのだ。
『しゅ・・・』
絶句した選手は上から下までまもりを再三見直して。
それから。
『こんな美人が来たと思ったら! もう結婚してるなんて!! しかもあの悪魔となんて!!』
まるでこの世の終わりみたいな騒ぎっぷりに今度はまもりが硬直する。
けれどジャックは慣れたもので、治療をさくさく終えると選手の座っていた椅子を蹴った。
『うっわ!』
『ほらさっさと練習に行きなさい。噂の悪魔に蜂の巣にされるよ』
ここで時間をつぶしてるとね、とそう続けると選手は治療前より調子悪そうにふらふらしながら外へと出て行った。
『悪い奴らじゃないんだけどね。こんなことがしばらく続くと思うよ』
『はぁ』
ラルフの時もそうだけれど、このオーバーアクション、やはり慣れない。
『きっと今日はお客さんが多くなるだろうね。まもりさん、これを』
『はい?』
まもりは渡された物を手に首を傾げた。
名札。ごく普通のもの。
けれどそこに併記されているのが。
『【ヒル魔まもり/既婚】って・・・』
『そう入れておかないと、君がヒル魔の奥さんだって知っていても口説く連中が出てくるからね』
『そうでしょうか』
穿ちすぎなのでは、と首を傾げるまもりだったが、ジャックはにっこりと笑う。
『いいから。ヒル魔も気が気じゃないだろうし、言うとおりにしておきなさい』
ジャックの読みはあたりだった。
『なんてこったい! ヒル魔の嫁?!』
『あの野郎、いつからこんな美人な嫁さんを!!』
『あんな奴やめて俺と結婚しませんか?!』
『ヒル魔の野郎! ぶっ殺す!!』
最初の選手がグラウンドに戻ってから、大勢の選手が数分でどやどやと入れ替わり立ち替わりまもりの元にやって来たのだ。
中には騒ぎに便乗して訳も分からずやって来る者もいたようで、まもりのを見て本気で口説くも名札を見て盛大に落胆していた。
聞いていないと空とぼけようにも名札に大々的に書かれていれば反論のしようもなく。
そして肝心の怪我の内容は擦りむいたり切ったり打ったり、というののごく小さなものばかり。
『これくらい手当の必要ないでしょ! 君ら予想通りすぎだね!』
『イッテー!!』
ジャックが手当たり次第に一番染みる消毒液で選手たちの傷を消毒して叩き出していくがなかなか進まない。
まもりも消毒に回ろうとするが、そうすると途端に質問攻めになってしまい動けなくなる。
これじゃ練習どころじゃないのでは、と目を回すまもりの耳に、銃声が響く。
これは。
『オラこの糞バカ共!! いつまでもくっちゃべってんじゃねぇ!!』
ヒル魔が鬼神のような顔で救護室を襲撃に来た。もとい、選手たちを叩き出しに来た。
『練習になんねぇだろうが!』
けれどそこは百戦錬磨のアメフト選手たち。
ヒル魔がいくらがなり立ててもそうそう引かない。
『なんだよー、テメェが結婚してるって言わないからいけねぇんだろ!』
『そうだそうだ、こんな美人捕まえておいて紹介もなしかよ!』
紹介しろ-、飲みに行くぞ-、奥さんも連れてこい、という大合唱にヒル魔の額に青筋が浮かぶ。
『・・・よっぽどバラされてぇみてぇだなァ』
すちゃ、とどこからともなく出された脅迫手帳。途端に選手たちが硬直した。
『わっわわ! わかった、出るから!』
『秘密をバラされるのだけは勘弁!!』
ぎゃーぎゃー言いながら選手たちは飛び出していく。
まるで台風一過、という感じの室内でまもりは呆然と立ち尽くした。
残ったのはジャックとまもりとヒル魔のみ。
「ったく。テメェ、ちゃんと俺の妻だって言ってんのか?」
「言ってるわよ。さっきの皆さんだってヒル魔くんに奥さん紹介しろとかそういうこと言ってたでしょ!」
「呼び方違ぇだろ!」
「そんなことどうでもいいじゃない!!」
ぎゃあぎゃあと日本語で言い合う二人をジャックはしばらく見守っていたが。
頃合いを見計らい、苦笑しながら口を挟んだ。
『悪いけど、まもりさん。掃除手伝ってくれるかい?』
『はい!』
その様子を見て、ヒル魔はフンと鼻を鳴らして救護室を去っていった。
<続>
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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