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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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青とプラチナ(3)



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昨日のうちに用意した服は、どう頑張ってもヒル魔がつけたキスマークを全て覆うに至らなかった。
かといって絆創膏では間に合わないし、首に包帯を巻いて初日から変な印象を持たれたくない。
こんなことだったらハイネックのものを買っておけば良かったと思っても後の祭り。
あーでもないこーでもないと頑張るまもりの背後にヒル魔が立つ。
「別に構わねぇだろ。見せつけとけ」
「見せつけるって! ・・・って」
まもりは胡乱げな顔で既に準備が済んでいるヒル魔を睨め付けた。
「・・・最初からこのつもりで?」
「勿論」
飄々とそんな風に言うヒル魔に、まもりの中で何かが切れる。
「仕事の初日なのに! 絶対に変な目で見られるでしょー!!」
絶叫して手にした服を投げつけたのだけれど。
ヒル魔はにやにやと笑って謝罪の一つもしなかったのだった。

ふてくされて口を利かないまもりを車に乗せ、ヒル魔は道路をひた走る。
昨日も見た道筋を通り、あの建物へ。
『おはようございます』
『おはよう! やあ、今日からよろしくね、まもりさん!』
ラルフが笑顔でまもりを出迎え、そうして彼女の首筋に散るものに視線が向く。
『・・・ヒル魔・・・』
『ア? 二人の夫婦生活に何か文句でも?』
にやりと笑うヒル魔に、まもりは赤くなり言わなくて良いの、と彼の背中を叩くが二人は頓着しない。
『文句っていうかさー・・・。他の選手の士気が下がるでしょ』
『人の嫁見てギャアギャア騒がれちゃこっちが困るんだよ』
まもりをぐい、と抱き寄せヒル魔は笑う。
『こいつは俺のだからな』
「言わなくていいってば!」
勿論この場所は彼ら以外にも従業員がいる。
彼らは賑々しい様子、加えて今日から来るというドクターに興味津々でこちらを覗き込んでいたので。
それらしき女性が悪名名高きあの悪魔に抱きしめられている様子を見て、彼女に手出しするのは絶対に止めよう、と考えたとか。

『・・・そんな理由で遅くなってすみません』
『それは大変でしたね』
くすくすと笑ってコーヒーを淹れてくれたのは四十代後半の温厚そうな紳士ドクターだった。
ドクターは二人いて、いずれは基本一人ずつでシフトを組む。
今まで働いていたドクターが一人退職したため、ヒル魔がまもりを呼び寄せたのだ。
ジャックと呼んで下さい、と言った彼はカルテを出してきた。
『ヒル魔が言っていたと思うけれど、ここでの仕事は怪我人の手当が主だ。たまに病気になる奴もいるけどね』
『そうですか』
カルテには各選手の今までの怪我遍歴がずらずらと書かれている。
ヒル魔のは・・・なかった。
『ヒ・・・じゃなかった、ヨウイチのはないんですね』
『ヒル魔は秘密主義だからねー、今までもう一人いたドクターが専門で診てたんだよ』
そのドクターは女医で、何くれとなく彼の面倒を見ていたのだという。
少々面白くない、というまもりの様子にジャックは苦笑する。
『ああでも、ヒル魔とどうこうっていうことはないと思うよ。私より年上だったし既婚者だったしね』
どちらかというと息子みたいに面倒見ていたね、という言葉にまもりは胸をなで下ろす。
『そう・・・』
殊更アメフトに関してはストイックなところがある彼のこと、変な事はしてないだろう。
・・・多分。
でも昨日の夜の手際もそんなに悪くは・・・。
『・・・まもりさん? 大丈夫ですか?』
『ははははい! 大丈夫です!』
うっかり昨日のことを思い出してしまい、まもりはまた真っ赤な顔になってジャックを心配させてしまったのだった。


『ジャックー、手当よろしくー』
『今度はなんだい?』
『腕やっちまった』
ドアを開けて入ってきた黒人選手を招き寄せて座らせる。
自力で歩いてきたから大したことはなさそうだ。
腕を強打したらしく、痣になっている。
『筋を痛めてるね。テーピングしようか。まもりさん』
『はい』
しばらくは様子見も含め、まもりはジャックの助手として働くことになっている。
テーピングの入ったカートを押していくと、選手が目を丸くする。
『へえ! 随分な美人助手じゃないか! ジャック、どこで見つけてきたんだい?!』
紹介しろよ、と騒ぐ彼にジャックはにやりと笑って見せる。
『いいよ、紹介しよう。今日からここで働くヒル魔まもりさんだ。助手じゃなくてドクターだよ』
『ヒル魔・・・?』
途端、選手は硬直した。


<続>
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