旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
買い込んだ日用品は明日の夜に届けられるという。
自力で持って帰ると再三言ったのだが、ヒル魔の脅迫手帳の前では誰も彼もが首を振り、彼の言うことに従った。
明日明後日に使う物くらいは手で持ってきたけれど。
まもりは改めて戻って来た新居を探索し始めた。
ヒル魔もその後に続く。
「この扉は何?」
「ウォークインクローゼット」
中を覗いても、空だ。
「ヒル魔くんの荷物はないの?」
「そこにあんだろ」
ヒル魔が指し示したのはリビングの片隅に積まれた段ボール箱が四つ。
「これだけ? 他は?」
「ねぇよ。これだけだ」
まもりの視線を受けて、ヒル魔はああ、と口を開いた。
「武器やらは別のところにある」
「やっぱり」
持っていないという選択肢はないわよね、と嘆息する。
そんなまもりの前にヒル魔はどこからともなく小銃を一つ取り出し、テーブルに置いた。
「テメェのだ。持ってろ」
「・・・え」
まもりの表情が強ばる。日本とは違うとはいえ、自らが武器を持つなんて。
ヒル魔はそんな彼女に構わず銃を持つためのホルターも共に置いた。
「この辺りの治安は良い方だ。だが、日本とは違う」
夜に女が一人で歩いていて何も起こらないのが普通の日本とは訳が違う。
ただでさえ慣れない場所、慣れない環境なのだ。
「俺がいるときはいい。だが、どうしたって一人で行動することはある」
「そう、よね」
「『絶対』の安全がねぇってのはテメェだって分かるだろ」
「うん」
「使わないに越したことはねぇがな」
まもりは恐る恐る銃に手を伸ばした。冷たい金属の感触にひやりとする。
触ったことがないとは言わない。
ヒル魔の私物の管理は適当で、高校時代はよく銃の片付けを手伝ったものだった。
「昔からヒル魔くんは、銃は持ってるし手入れもしてたけど、あんまり大事にしてるって印象がないのよね」
「ア?」
「ほら、ヒル魔くんって銃の片付けよく私にやらせてたでしょ? 大事な物なのに適当だなってよく思ってて・・・」
それにヒル魔は少し目を見開き、次いでケケケと笑い声を上げる。
「今までで俺の銃触らせたのはテメェだけだ」
他の連中は近寄らせなかった、という言葉に。
「ええ?! だって私、火炎放射器とか・・・」
「そういえば盛大に燃やしてクダサイマシタネ」
入部直後のライスの一件である。
「あっ、あれだってヒル魔くんが適当に置いておくから!」
焦るまもりの肩に、ヒル魔の手が触れる。
ホルターは肩と腰を固定して止めるタイプだ。
左胸の隣にケースが来るように着用する、らしい。
「糞ガキどもが銃触ってるの見たことあるか?」
作業しながらヒル魔が口を開く。
「・・・ないわ」
セナとモン太がアメリカで銃の試し撃ちをさせてもらった、というのは聞いたけれど。
そういえば、誰も彼の銃を触っていない。
ライスの一件でバズーカを撃ってはいたけれど、誰かが隙を見て銃を触ったりするようなことも、彼が他の生徒に命令して運ばせるところも見ていない。
記憶の限り思い返してみても、誰も。
「私、だけ?」
「おー。気づくのが随分遅かったな」
まもりはじわじわと頬を熱くする。
「随分、し、信用されてたの、ね」
「相変わらず糞ニブニブすぎる」
よし、と言われてのぞき込めば左胸の隣にケース、そこに銃が滑り込む。
「! 重い!」
こんなに小さいのに、と予想外の重さでバランスを崩したまもりを支え、ヒル魔は続けた。
「後で試し撃ちに行くぞ」
「ええ!?」
「実践でいきなり出来るのか?」
「・・・出来ません」
悔しそうに告げれば、ヒル魔は再びケケケと笑った。
<続>
自力で持って帰ると再三言ったのだが、ヒル魔の脅迫手帳の前では誰も彼もが首を振り、彼の言うことに従った。
明日明後日に使う物くらいは手で持ってきたけれど。
まもりは改めて戻って来た新居を探索し始めた。
ヒル魔もその後に続く。
「この扉は何?」
「ウォークインクローゼット」
中を覗いても、空だ。
「ヒル魔くんの荷物はないの?」
「そこにあんだろ」
ヒル魔が指し示したのはリビングの片隅に積まれた段ボール箱が四つ。
「これだけ? 他は?」
「ねぇよ。これだけだ」
まもりの視線を受けて、ヒル魔はああ、と口を開いた。
「武器やらは別のところにある」
「やっぱり」
持っていないという選択肢はないわよね、と嘆息する。
そんなまもりの前にヒル魔はどこからともなく小銃を一つ取り出し、テーブルに置いた。
「テメェのだ。持ってろ」
「・・・え」
まもりの表情が強ばる。日本とは違うとはいえ、自らが武器を持つなんて。
ヒル魔はそんな彼女に構わず銃を持つためのホルターも共に置いた。
「この辺りの治安は良い方だ。だが、日本とは違う」
夜に女が一人で歩いていて何も起こらないのが普通の日本とは訳が違う。
ただでさえ慣れない場所、慣れない環境なのだ。
「俺がいるときはいい。だが、どうしたって一人で行動することはある」
「そう、よね」
「『絶対』の安全がねぇってのはテメェだって分かるだろ」
「うん」
「使わないに越したことはねぇがな」
まもりは恐る恐る銃に手を伸ばした。冷たい金属の感触にひやりとする。
触ったことがないとは言わない。
ヒル魔の私物の管理は適当で、高校時代はよく銃の片付けを手伝ったものだった。
「昔からヒル魔くんは、銃は持ってるし手入れもしてたけど、あんまり大事にしてるって印象がないのよね」
「ア?」
「ほら、ヒル魔くんって銃の片付けよく私にやらせてたでしょ? 大事な物なのに適当だなってよく思ってて・・・」
それにヒル魔は少し目を見開き、次いでケケケと笑い声を上げる。
「今までで俺の銃触らせたのはテメェだけだ」
他の連中は近寄らせなかった、という言葉に。
「ええ?! だって私、火炎放射器とか・・・」
「そういえば盛大に燃やしてクダサイマシタネ」
入部直後のライスの一件である。
「あっ、あれだってヒル魔くんが適当に置いておくから!」
焦るまもりの肩に、ヒル魔の手が触れる。
ホルターは肩と腰を固定して止めるタイプだ。
左胸の隣にケースが来るように着用する、らしい。
「糞ガキどもが銃触ってるの見たことあるか?」
作業しながらヒル魔が口を開く。
「・・・ないわ」
セナとモン太がアメリカで銃の試し撃ちをさせてもらった、というのは聞いたけれど。
そういえば、誰も彼の銃を触っていない。
ライスの一件でバズーカを撃ってはいたけれど、誰かが隙を見て銃を触ったりするようなことも、彼が他の生徒に命令して運ばせるところも見ていない。
記憶の限り思い返してみても、誰も。
「私、だけ?」
「おー。気づくのが随分遅かったな」
まもりはじわじわと頬を熱くする。
「随分、し、信用されてたの、ね」
「相変わらず糞ニブニブすぎる」
よし、と言われてのぞき込めば左胸の隣にケース、そこに銃が滑り込む。
「! 重い!」
こんなに小さいのに、と予想外の重さでバランスを崩したまもりを支え、ヒル魔は続けた。
「後で試し撃ちに行くぞ」
「ええ!?」
「実践でいきなり出来るのか?」
「・・・出来ません」
悔しそうに告げれば、ヒル魔は再びケケケと笑った。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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