旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ひんやりとした床に下ろされるつま先も。
道着の合間から時折見える肌も。
全てが、白い。
徐々に肌寒いような空気を帯びてきた中、蛭魔護はいつものように剣道場に通っていた。
彼は日本に来る前から剣道をたしなんでいて、こちらに帰国してからはこの道場でめきめきと頭角を現した。
凛とした佇まいに、同じ道場の子からは勿論、その保護者からも人気は高い。
母譲りの整った優しい顔、未だ成長途中のほっそりとした肢体。
そんな外見とは裏腹の力強い太刀筋を持ち、回転の速い頭脳に誰もが魅了される。
「集合!」
並べられて座り、黙想し、解散が告げられる。
「今日はこれまで!」
「ありがとうございました!」
掃除道具を手に走り回る後輩たちを背に、護は着替えるべく更衣室へと向かう。
「あ、あの!」
「はい?」
護は掛けられた声にくるりと振り返る。
そこには同じ教室の女生徒が立っている。
年は彼女の方が数年上だ。
「あのね、私・・・」
護はにっこりと笑った。
帰宅した護を、姉であるアヤが出迎える。
「おかえり」
「ただいまー。今日の夕飯何?」
「今日は回鍋肉とあんかけチャーハンとレンコンのきんぴら、かき玉汁」
リビングに行くと、ソファでまもりがあかりに授乳していた。
「おかえり、護。ご飯は・・・」
「いいよ、自分でやるからお母さんはそのままで。あかり、ただいま」
んく、んく、とお乳を飲むあかりの頬を撫でて、キッチンへと向かう護の前に妖介が顔を出す。
「お-、おかえり。ご飯大盛り?」
「ううん、普通にでいいよ。足りなかったら後でおかわりするから」
「そう?」
あっという間に目の前に並んだ食事に、護はありがたく箸をつけた。
「いただきまーす」
「はいどうぞ、召し上がれ」
そろそろ授乳も終わる頃、と視線を向ければ。
けぷ、とまもりの肩で満足そうにげっぷをするあかりが目に入った。
「母さん、お茶飲む?」
「そうね、もらうわ」
妖介は手際よくお茶を入れる。
「あかりはよくお乳飲むし、よく寝るし。きっと大きくなるわね。アヤを抜くかもよ?」
「そんなに大きくなくていい」
アヤがそう突っ込んでまもりの元にお茶を運んだ。
「お母さんくらいの大きさでいいよね」
「そうそう。理想的だし」
「だってアヤは格好いいじゃない」
わいわいと会話を弾ませる家族を見ながら、護は食事を続ける。
「お父さんは?」
「そろそろ帰って来るんじゃない?」
と、ドアが開く音。噂をすれば、だ。
まもりがあかりを妖介に渡し、自らは玄関に向かう。
「おかえりなさい」
結婚してから何年経っても変わらない習慣。
母が家にいる時は、帰宅した家族を出迎えることと決めているのだ。
用事があるときは無理だけれど、ほとんど毎回まもりは顔を出す。
「夕飯は?」
「喰う」
ヒル魔の声を聞きつけ、うつらうつらしだしたあかりを定位置のベビー布団に載せて。
妖介はもう一人分の夕飯をキッチンへと再び戻った。
「護も今飯か」
「うん。剣道で遅くなったの」
「そういや随分遅かったね」
「うん、ちょっとね」
護はそう笑って肩をすくめたが。
「・・・あんまりハメ外すんじゃねぇぞ」
ヒル魔は少々の沈黙の後、そう言って眸を細めた。
<続>
道着の合間から時折見える肌も。
全てが、白い。
徐々に肌寒いような空気を帯びてきた中、蛭魔護はいつものように剣道場に通っていた。
彼は日本に来る前から剣道をたしなんでいて、こちらに帰国してからはこの道場でめきめきと頭角を現した。
凛とした佇まいに、同じ道場の子からは勿論、その保護者からも人気は高い。
母譲りの整った優しい顔、未だ成長途中のほっそりとした肢体。
そんな外見とは裏腹の力強い太刀筋を持ち、回転の速い頭脳に誰もが魅了される。
「集合!」
並べられて座り、黙想し、解散が告げられる。
「今日はこれまで!」
「ありがとうございました!」
掃除道具を手に走り回る後輩たちを背に、護は着替えるべく更衣室へと向かう。
「あ、あの!」
「はい?」
護は掛けられた声にくるりと振り返る。
そこには同じ教室の女生徒が立っている。
年は彼女の方が数年上だ。
「あのね、私・・・」
護はにっこりと笑った。
帰宅した護を、姉であるアヤが出迎える。
「おかえり」
「ただいまー。今日の夕飯何?」
「今日は回鍋肉とあんかけチャーハンとレンコンのきんぴら、かき玉汁」
リビングに行くと、ソファでまもりがあかりに授乳していた。
「おかえり、護。ご飯は・・・」
「いいよ、自分でやるからお母さんはそのままで。あかり、ただいま」
んく、んく、とお乳を飲むあかりの頬を撫でて、キッチンへと向かう護の前に妖介が顔を出す。
「お-、おかえり。ご飯大盛り?」
「ううん、普通にでいいよ。足りなかったら後でおかわりするから」
「そう?」
あっという間に目の前に並んだ食事に、護はありがたく箸をつけた。
「いただきまーす」
「はいどうぞ、召し上がれ」
そろそろ授乳も終わる頃、と視線を向ければ。
けぷ、とまもりの肩で満足そうにげっぷをするあかりが目に入った。
「母さん、お茶飲む?」
「そうね、もらうわ」
妖介は手際よくお茶を入れる。
「あかりはよくお乳飲むし、よく寝るし。きっと大きくなるわね。アヤを抜くかもよ?」
「そんなに大きくなくていい」
アヤがそう突っ込んでまもりの元にお茶を運んだ。
「お母さんくらいの大きさでいいよね」
「そうそう。理想的だし」
「だってアヤは格好いいじゃない」
わいわいと会話を弾ませる家族を見ながら、護は食事を続ける。
「お父さんは?」
「そろそろ帰って来るんじゃない?」
と、ドアが開く音。噂をすれば、だ。
まもりがあかりを妖介に渡し、自らは玄関に向かう。
「おかえりなさい」
結婚してから何年経っても変わらない習慣。
母が家にいる時は、帰宅した家族を出迎えることと決めているのだ。
用事があるときは無理だけれど、ほとんど毎回まもりは顔を出す。
「夕飯は?」
「喰う」
ヒル魔の声を聞きつけ、うつらうつらしだしたあかりを定位置のベビー布団に載せて。
妖介はもう一人分の夕飯をキッチンへと再び戻った。
「護も今飯か」
「うん。剣道で遅くなったの」
「そういや随分遅かったね」
「うん、ちょっとね」
護はそう笑って肩をすくめたが。
「・・・あんまりハメ外すんじゃねぇぞ」
ヒル魔は少々の沈黙の後、そう言って眸を細めた。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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