旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ねえ、と糞マネが問いかけた。
疲れないの、と。
ナニガ、と応じる。
だって、と続ける。
テスト前で部活は禁止期間で朝夕ぎっちりみっちり詰まった練習はねぇし授業は左耳だけ聞いてる俺のどこが疲れるって?
授業はちゃんと受けなさいよ! 左耳だけじゃなくて全部で! そう文句を言われる。
いつもの説教か、と返せば。
そうじゃないの。ヒル魔くん、疲れないの? と来たもんだ。
テメェなあ、堂々巡りが好きなのか。俺は建設的な話以外はするのも聞くのも好きじゃねぇ。
そうじゃないの。 ほら二回目。
揚げ足とらないの! そうじゃなくて、ヒル魔くんは。 何だ?
そんなに、一人で気を張ってて。
表面に出さないようにしてて。
誰にも気づかれないで。
誰も知らないで。
頑張って頑張って息が詰まるくらいに気を張ってて。
怒っても嬉しくても悲しくても辛くても全部全部全部隠してて。
ねえ。
疲れないの?
廊下を歩きながら話していたけれど、いつの間にやら足は屋上に向かっていた。
立入禁止? そんな場所、俺にはねぇな。
「なんだかね、ヒル魔くんって時々怖いのよ」
「時々と来たか。常に、っつーのが普通だぞ糞マネ」
錆の浮いた鉄の扉を開く。屋上に人影はない。
ただでさえテスト期間。天気は快晴、絶好のアメフト日和。できないが。
俺はすたすたとフェンスの側に近寄った。
糞マネがついてくる気配。
不意に、俺はそのフェンスの上に立つ。
「ちょ・・・っと! 何、やってるのよ!」
危ないわ、そう言いながらも糞マネは俺の背後に立たない。
傍らに回り込んで、俺を見上げる。
「ねえ、降りて。危ないわ」
「立ってるだけだろ」
そう、立ってるだけだ。
俺は今、後一歩踏み出せば間違いなく地獄への切符を手に入れる位置にいる。
見渡す先には、違うけれど同じような家々が集い、どこにでもあるような町並みが続いている。
平穏という文字が似合う、そんな町。
吹く風がゆさりと髪を揺らした。
「怖いの。ヒル魔くん、そういうところが怖いのよ」
視線を向けなくても、青い瞳がこちらを見ているのが分かる。
「気を張りすぎてて、ある日急にぷつんって切れちゃいそうなの。最後の最後まで黙ったままで」
鳥の声が聞こえる。長閑だ。
「死なねぇよ」
「まだ、クリスマスボウルに行ってないから?」
死ぬには、天気があまりには良すぎるな、と考えて。
俺は答えず、飛び降りた。
屋上のコンクリートの上に音もなく着地すると、糞マネの細い呼吸音が耳についた。
俺は後ろ向きに飛んだのだ。間違っても地上へではない。
「びっ・・・くりした・・・」
呆然と呟いた直後、危ないじゃない!! と物凄い剣幕でまくし立てる糞マネの顔にやっと、視線を向ける。
にやりと笑ってやると、一気にその顔が赤くなった。
握りしめた手が、ぶるぶると震えている。
「本当に、心配してるのよ!」
安堵とか怒りとか、色々な感情が複雑に絡み合って糞マネの瞳が潤んでいた。
「本当に・・・っ」
中でも一際輝くその感情については、無自覚ときたもんだ。
だが、その方が俺には都合が良いのもまた事実。
俺は眸を細める。
今、俺が武器もなく背中を見せたとしても、こちら側に引き戻そうとする女はテメェ一人。
俺がいつの間にか溜め込んだ感情に溺れそうになっているのを察知するのも。
無意識にその栓を引き抜いて俺を掬い上げるのも。
なにもかも、全部。
こんな感情が俺にあるなんて。
それが悪くないなんて思ってしまうことまでも。
気づきたくなかった。
気づかないでいたかった。
・・・ああ。
なんだか無性に、ただ、泣いてしまいたかった。
***
まもりちゃんに図星を指されて動揺してるヒル魔さん。
自覚した途端色々挙動不審になるなんて、よくあるよくある(笑)
ちゃんと二人が高校生らしい話になった! ・・・かも!
疲れないの、と。
ナニガ、と応じる。
だって、と続ける。
テスト前で部活は禁止期間で朝夕ぎっちりみっちり詰まった練習はねぇし授業は左耳だけ聞いてる俺のどこが疲れるって?
授業はちゃんと受けなさいよ! 左耳だけじゃなくて全部で! そう文句を言われる。
いつもの説教か、と返せば。
そうじゃないの。ヒル魔くん、疲れないの? と来たもんだ。
テメェなあ、堂々巡りが好きなのか。俺は建設的な話以外はするのも聞くのも好きじゃねぇ。
そうじゃないの。 ほら二回目。
揚げ足とらないの! そうじゃなくて、ヒル魔くんは。 何だ?
そんなに、一人で気を張ってて。
表面に出さないようにしてて。
誰にも気づかれないで。
誰も知らないで。
頑張って頑張って息が詰まるくらいに気を張ってて。
怒っても嬉しくても悲しくても辛くても全部全部全部隠してて。
ねえ。
疲れないの?
廊下を歩きながら話していたけれど、いつの間にやら足は屋上に向かっていた。
立入禁止? そんな場所、俺にはねぇな。
「なんだかね、ヒル魔くんって時々怖いのよ」
「時々と来たか。常に、っつーのが普通だぞ糞マネ」
錆の浮いた鉄の扉を開く。屋上に人影はない。
ただでさえテスト期間。天気は快晴、絶好のアメフト日和。できないが。
俺はすたすたとフェンスの側に近寄った。
糞マネがついてくる気配。
不意に、俺はそのフェンスの上に立つ。
「ちょ・・・っと! 何、やってるのよ!」
危ないわ、そう言いながらも糞マネは俺の背後に立たない。
傍らに回り込んで、俺を見上げる。
「ねえ、降りて。危ないわ」
「立ってるだけだろ」
そう、立ってるだけだ。
俺は今、後一歩踏み出せば間違いなく地獄への切符を手に入れる位置にいる。
見渡す先には、違うけれど同じような家々が集い、どこにでもあるような町並みが続いている。
平穏という文字が似合う、そんな町。
吹く風がゆさりと髪を揺らした。
「怖いの。ヒル魔くん、そういうところが怖いのよ」
視線を向けなくても、青い瞳がこちらを見ているのが分かる。
「気を張りすぎてて、ある日急にぷつんって切れちゃいそうなの。最後の最後まで黙ったままで」
鳥の声が聞こえる。長閑だ。
「死なねぇよ」
「まだ、クリスマスボウルに行ってないから?」
死ぬには、天気があまりには良すぎるな、と考えて。
俺は答えず、飛び降りた。
屋上のコンクリートの上に音もなく着地すると、糞マネの細い呼吸音が耳についた。
俺は後ろ向きに飛んだのだ。間違っても地上へではない。
「びっ・・・くりした・・・」
呆然と呟いた直後、危ないじゃない!! と物凄い剣幕でまくし立てる糞マネの顔にやっと、視線を向ける。
にやりと笑ってやると、一気にその顔が赤くなった。
握りしめた手が、ぶるぶると震えている。
「本当に、心配してるのよ!」
安堵とか怒りとか、色々な感情が複雑に絡み合って糞マネの瞳が潤んでいた。
「本当に・・・っ」
中でも一際輝くその感情については、無自覚ときたもんだ。
だが、その方が俺には都合が良いのもまた事実。
俺は眸を細める。
今、俺が武器もなく背中を見せたとしても、こちら側に引き戻そうとする女はテメェ一人。
俺がいつの間にか溜め込んだ感情に溺れそうになっているのを察知するのも。
無意識にその栓を引き抜いて俺を掬い上げるのも。
なにもかも、全部。
こんな感情が俺にあるなんて。
それが悪くないなんて思ってしまうことまでも。
気づきたくなかった。
気づかないでいたかった。
・・・ああ。
なんだか無性に、ただ、泣いてしまいたかった。
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まもりちゃんに図星を指されて動揺してるヒル魔さん。
自覚した途端色々挙動不審になるなんて、よくあるよくある(笑)
ちゃんと二人が高校生らしい話になった! ・・・かも!
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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