旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
まもりは鎖の先を見つめる。
じゃらりと重いその先には、ケルベロスがふんふんと鼻を鳴らして歩いている。
普段からほとんど放し飼いみたいなものだが、練習のない時などにこうやって散歩するのだ。
「いい天気ね」
「ワフ」
話し掛ければ、まるで理解しているかのような応答。
ヒル魔と結託しているときは名の通り地獄の番犬のような振る舞いだけれど。
こうやってまもりがついて行ける速度で歩くケルベロスは、普段の凶暴さを潜めて随分とおとなしい。
普段からそうしていればかわいいのに、と思うのだけれど。
「・・・それはヒル魔くんにも言えるか」
「ワフ?」
首を巡らせるケルベロスに笑って見せて、まもりは空を見る。
悪魔じみて恐ろしさを演出するあの男は、ひどく分かりづらく優しい。
それは振り返ってよくよく考えてみれば優しさだったのか、と思うほどのもので。
ケルベロスが不意に道の端に避けた。
見れば対向から自転車が来ていた。
相手に噛みつくことなくまもりに注意を促すように動く、賢いケルベロスにありがとうと囁く。
「ねえ、ケルベロス」
「ワフ」
「ペットと飼い主が似るって本当なのね」
するとケルベロスはぴたりと止まり、文句を言うようにつーんと横を向いた。
「え? どうしたの?」
ケルベロスは一向に動こうとしない。
どうしたのだろう、と首を傾げて歩き出すよう鎖を引いてみるが、びくともしない。
小柄でもがっしりとした身体は、まもりの非力な腕では引きずることが出来ない。
「ケルベロス、早く帰ってご飯にしよう?」
けれど普段なら否応なく走り出すくらいの効力を発する『ご飯』の一言にも反応しない。
「ケルベロスぅ」
困ったように鎖を引くまもりの背後から。
「何やってんだ」
不意に声が掛かる。
振り返ればヒル魔が立っていた。
練習はないはずだが、自主的に走っていたのだろう。
「あ、ヒル魔くん」
ケルベロスが急に動かなくなったの、と言われて彼の眉がぴんと上がる。
「何かヘンなモン喰わせたんじゃねぇのか? 糞シュークリームとか」
「ケルベロスはシュークリーム好きよ! じゃなくて」
まもりは発言を思い返す。
「さっき、『ペットと飼い主が似るって本当なのね』って言ったら急に」
「ホー」
ヒル魔はつーんと横を向いたケルベロスににやりと口角を上げて隣に並ぶ。
「そりゃ怒るなァ」
「なんで?! どこが?!」
「こいつと俺はペットと飼い主なんつー間柄じゃねぇからだ」
なあ、と言えばケルベロスは肯定するようにふんと鼻を鳴らした。
まもりは首を傾げる。
「だって、ヒル魔くんが連れてきた子でしょうに」
ケルベロスがやって来た経緯は栗田に聞いている。
けれど彼はケッと短く笑った。
「連れてきたんじゃねえ。ついてきただけだ」
「気に入られたんでしょ?」
「いーや。俺の側にいた方がメシが効率よく手に入るからな」
「そうなの?」
「ワッフ」
頷くケルベロスに、まもりは肩をすくめる。
「じゃあ、こっちの方が正しいのね」
「ア?」
「ワフ?」
まもりはにっこりと笑って告げた。
「類は友を呼ぶ、って言葉」
ヒル魔とケルベロスは顔を見合わせ。
それぞれに顔を背けたのだけれど、その様子がまた似ていて更にまもりの笑いを誘ったのだった。
***
犬と散歩するまもりちゃんが書きたかったのだけれど、なんだかこんな話に。
『似通うものたち』でのまもりちゃんから視点でした。
じゃらりと重いその先には、ケルベロスがふんふんと鼻を鳴らして歩いている。
普段からほとんど放し飼いみたいなものだが、練習のない時などにこうやって散歩するのだ。
「いい天気ね」
「ワフ」
話し掛ければ、まるで理解しているかのような応答。
ヒル魔と結託しているときは名の通り地獄の番犬のような振る舞いだけれど。
こうやってまもりがついて行ける速度で歩くケルベロスは、普段の凶暴さを潜めて随分とおとなしい。
普段からそうしていればかわいいのに、と思うのだけれど。
「・・・それはヒル魔くんにも言えるか」
「ワフ?」
首を巡らせるケルベロスに笑って見せて、まもりは空を見る。
悪魔じみて恐ろしさを演出するあの男は、ひどく分かりづらく優しい。
それは振り返ってよくよく考えてみれば優しさだったのか、と思うほどのもので。
ケルベロスが不意に道の端に避けた。
見れば対向から自転車が来ていた。
相手に噛みつくことなくまもりに注意を促すように動く、賢いケルベロスにありがとうと囁く。
「ねえ、ケルベロス」
「ワフ」
「ペットと飼い主が似るって本当なのね」
するとケルベロスはぴたりと止まり、文句を言うようにつーんと横を向いた。
「え? どうしたの?」
ケルベロスは一向に動こうとしない。
どうしたのだろう、と首を傾げて歩き出すよう鎖を引いてみるが、びくともしない。
小柄でもがっしりとした身体は、まもりの非力な腕では引きずることが出来ない。
「ケルベロス、早く帰ってご飯にしよう?」
けれど普段なら否応なく走り出すくらいの効力を発する『ご飯』の一言にも反応しない。
「ケルベロスぅ」
困ったように鎖を引くまもりの背後から。
「何やってんだ」
不意に声が掛かる。
振り返ればヒル魔が立っていた。
練習はないはずだが、自主的に走っていたのだろう。
「あ、ヒル魔くん」
ケルベロスが急に動かなくなったの、と言われて彼の眉がぴんと上がる。
「何かヘンなモン喰わせたんじゃねぇのか? 糞シュークリームとか」
「ケルベロスはシュークリーム好きよ! じゃなくて」
まもりは発言を思い返す。
「さっき、『ペットと飼い主が似るって本当なのね』って言ったら急に」
「ホー」
ヒル魔はつーんと横を向いたケルベロスににやりと口角を上げて隣に並ぶ。
「そりゃ怒るなァ」
「なんで?! どこが?!」
「こいつと俺はペットと飼い主なんつー間柄じゃねぇからだ」
なあ、と言えばケルベロスは肯定するようにふんと鼻を鳴らした。
まもりは首を傾げる。
「だって、ヒル魔くんが連れてきた子でしょうに」
ケルベロスがやって来た経緯は栗田に聞いている。
けれど彼はケッと短く笑った。
「連れてきたんじゃねえ。ついてきただけだ」
「気に入られたんでしょ?」
「いーや。俺の側にいた方がメシが効率よく手に入るからな」
「そうなの?」
「ワッフ」
頷くケルベロスに、まもりは肩をすくめる。
「じゃあ、こっちの方が正しいのね」
「ア?」
「ワフ?」
まもりはにっこりと笑って告げた。
「類は友を呼ぶ、って言葉」
ヒル魔とケルベロスは顔を見合わせ。
それぞれに顔を背けたのだけれど、その様子がまた似ていて更にまもりの笑いを誘ったのだった。
***
犬と散歩するまもりちゃんが書きたかったのだけれど、なんだかこんな話に。
『似通うものたち』でのまもりちゃんから視点でした。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
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