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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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青とプラチナ(2)



+ + + + + + + + + +
むくれながら銃を外し、まもりは買い込んだ自分の物が届くまでに、ヒル魔の私物を片付けようと段ボールに手を伸ばした。
段ボールに詰められたヒル魔の洋服はかつてと同じ黒一色。
やはり嗜好はそう変わらないと言うことか。
「全部しまっちゃうね。チェストとか、あるの?」
「ベッドルーム」
「はーい」
扉を開いたまもりは、せっかく畳んだ洋服をどさりと床に落とした。
「どーした」
「だ、って!」
真っ赤になって硬直するまもりは、目の前のベッドを指さし振り返る。
対してヒル魔はやはり想定内とばかりに楽しげに笑うばかり。
部屋の中央にどっかりと鎮座するベッドはキングサイズ。
さぞゆったり眠れるだろう。
両端でそれぞれ寝ても振動が響かないかも知れない。
そう現実逃避したがる意識を、ヒル魔の楽しげな声が引き戻す。
「ベッドを別にする理由があるか?」
「あ、の」
まもりは沸騰しそうな脳内を宥めて思考をまとめようとする。
一応、もう結婚したわけで。
書類上とはいえ、もう夫婦なわけで。
そういうことをするのは全然問題ない、わけで。
いや、でも。
顔を合わせたのは今日の午前中。それこそ、約七年ぶり。
高校時代もはっきりと付き合っていた訳じゃない。
けれど、これは。
「・・・ぇっ・・・」
過ぎた羞恥はまもりの涙腺をたやすく破壊した。
それにヒル魔は半目になってまもりの泣き顔を見る。
「嫌ならそう言え」
「・・・う・・・っ」
まもりはしゃくり上げ、一枚だけかろうじて手に引っかかっていたヒル魔のシャツで顔を覆う。
頬と言わず耳も首筋も真っ赤だ。
ヒル魔はしばらくそんなまもりを無言で見つめていたが、返事がないことに焦れて距離を詰めてその後頭部を捕らえた。
「え」
瞳を覗き込まれてシャツを奪われて。
「嫌、じゃねぇんだろ」
単に恥ずかしさだけが先行したのだろう、と言い当てられて。
ほろりと落ちた涙を指で拭われ、まもりの唇がわななく。
彼の腕がまもりの身体に触れる。
抱きしめられて、思わず安堵の吐息が零れた。
「ヒル魔くん・・・」
「違ぇだろ」
いい加減にしろ、と笑みを含んだ声が、直接耳朶に。
声も呼気も、密着する熱も、何もかもが、刺激になって。
「まもり」
「っ!」
聞き慣れない名を囁かれただけで、背筋にぞくりと走るものがある。
どうしたら良いのか分からず、ただヒル魔の胸元に縋るまもりの顔を上げさせて。
「ん」
触れる唇。小さく震える身体を、ヒル魔は易々と抱き上げた。
「ちょ・・・っ」
止めようと差し伸べた手の抵抗空しく、ベッドへと押し倒される。
「ヒル魔くんっ」
「違ェ。ちゃんと呼べ」
ヒル魔はまもりの上にのし掛かり、キスを繰り返しながら囁く。
その執拗とも言えるキスに意識を飛ばしそうになりながら、まもりは涙の膜が張った瞳をヒル魔に向けた。
「ヨウイチ、・・・くん」
「惜しい」
余計なモンつけるな、と喉の奥で笑うヒル魔を見上げておずおずと口を開く。
「・・・ヨウイチ」
ぎこちなさが多分に詰まった、初めて呼んだ彼の名。
急に二人の距離が縮まったような感覚を覚え、まもりの顔がほころぶ。
「・・・まぁ及第点だな」
それにヒル魔も眸を細めてまもりの唇を深く、奪った。



けだるい身体を引きずって朝食の準備をしつつ、まもりはコーヒーを啜りながら新聞を読むヒル魔を眺める。
自分でやる気持ちは一切無いらしい。かといって手伝うと言い出したら彼が熱を出したと疑うだろうが。
「今日に荷物が届くように、ってわざわざ決めたのって・・・絶対狙ってたでしょ・・・」
おかしいと思ったのだ。
彼がその気になれば即日で荷物が届くようにさせるはずだ。
なのにそうしなかったのは。
ヒル魔はぴんと片眉を上げて視線を寄越す。
「当然だろ。新婚初夜に宅急便で邪魔されるなんざ糞つまらねぇことしたくねぇ」
「し・・・」
言われればそうだけど、と爽やかな朝とは裏腹の記憶―――有り体に言えば昨日のことを思い出して、まもりは更に赤くなる。
そんなまもりにヒル魔は口角をつり上げる。
「慣れろ」
「な、慣れないわよ!」
「嫌でも慣れるぞ」
ヒル魔がものすごく楽しそうな顔をしたので、ろくな事じゃないと察したまもりは慌ててシンクへと向き直ったが。
「毎晩ヤりゃあな」
「毎晩?!」
驚き声を上げて、まもりは手にしていたボウルをひっくり返した。

<続>
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