旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
「妖一がどうしてそんなに呼び方にこだわるのか、不思議だったの」
まもりの唇からこぼれ落ちた名前にヒル魔はぴたりと足を止めた。
どこか強ばった響きが失せて―――滑らかに彼の耳を打つ。
「名前なんて気にしてなさそうだったから、余計に」
「日本人とは思えねぇ発言だなァ」
「妖一の口からそんな発言が出るなんてね」
からかうヒル魔にまもりは肩をすくめて笑う。
「必要以上にファンの女の子たちと親しくしないでね?」
その発言にヒル魔は眉を上げ。
「そりゃテメェにも言えることだ。その辺の野郎にフラフラついて行くんじゃねぇぞ」
にやりと口角を上げて笑う。
あまり平穏とは言い難い言葉の掛け合い。
それでも二人の言葉からは、今までそこはかとなく混じっていたぎこちなさが失せていた。
たかが名前一つ。
たかが呼び方一つ。
それだけで随分と違うのだと気づいたまもりは、ふと口を開く。
「ねえ」
「ア?」
「欲しいものがあるんだけど・・・」
まもりの言葉に、ヒル魔は楽しげに眸を細めた。
そうして。
後日、二人はアメリカを代表する超がつくほどの高級店に来ていた。
ヒル魔の手帳の効力か、それとも彼自身の有名度からかは分からないが、二人は早々に応接室へと通された。
アクセサリー類に元からあまり興味のないまもりは、先ほどから店員が持ってくる指輪の価格にいちいち驚いている。
「高くなくていいわよ! ちょっと! そんなに高いの要らない!!」
まもりがこういうのでいいの、と指さすのはシンプルで価格もまあまあ、というものなのだが。
「煩ェ、そんなに糞安ィモンつけさせるか」
ヒル魔の選ぶものはそれより0が一つ多い。
しかもダイヤモンドが豪華にちりばめられているものばかり見るのだ。
二人の意見は折り合いがつく様子がない。
「んもう! 妖一の金銭感覚がおかしいのよ!」
いくら一生モノとはいえ、限度があるとまもりは憤慨するが。
「人のこという前にテメェの糞庶民な感覚をどうにかしやがれ」
ヒル魔は鼻で笑っていなすばかり。
目の前で展開する事態に、店員は辛抱強くタイミングを待って。
会話が途切れたのを見計らい、それぞれにいいと言う指輪の説明をする。
『こちらはプラチナのみですが、内側にダイヤが入っています』
「見えない位置にあるなら余計にダイヤなんて要らないわ」
呟くまもりに、ヒル魔はぴんと片眉を上げる。
「見える位置にあればいいんだろ」
「宝石は元から必要ないの!」
『男女で別のデザインにすることも出来ますよ』
もはやこのまま二人で会話させても延々と平行線を辿りそうだと判断した店員は、他の男女別のデザインの指輪を見せる。
けれどまもりにはどれも高すぎるようにしか見えない。
「それにしても高すぎるわよ・・・」
ぼやくまもりに、ヒル魔が呟く。
「エンゲージリング分も上乗せだからな」
「え?」
まもりはその言葉に目を丸くする。
「それとも指輪は二つ欲しいのか」
「・・・そんなこと考えてたんだ」
まもりは思わず笑い出し、ヒル魔は眉を寄せる。
根本的に勘違いしていたのだと気づけば、理解は早い。
「ううん。あのね、私はただ高い指輪をもらいたいわけじゃないの」
自らを飾る宝飾品が欲しい訳じゃない。
いたずらに彼に与えられるだけの関係でいたいわけでもない。
「妖一と夫婦だっていう『証』が欲しいだけなのよ」
「ホー」
そうして。
二人の指には互いに指輪が嵌められた。
シンプルでいて美しい曲線を描くプラチナの指輪。
その内側には青いダイヤモンドが息づいている。
『あなたを幸せにしたい』
そんな願いの込められた指輪を手にした二人の生活は、まだ、始まったばかり。
***
まっぴ様リクエスト『ゆめのあとさきシリーズのまもりちゃんがアメリカに行ってすぐの頃。天然まもりちゃんがチームメイトに横恋慕(いつの時代の言葉?)され、やきもきしているかわいそうなヒル魔さんww。一方、ヒル魔さんの方も人気があって、自分のことを棚に上げて気になって仕方がないまもりちゃん。場合によったら、二人を引き離すために実力行使されそうになるみたいなスリリングな場面があるともっとうれしい(ヒドイ)です』でした。
場合によったら、の方まで頑張ろうと試行錯誤したのですが、それ以前のところで書くことが多くなってこれ以上の盛り込みが無理でした・・・。ここの二人は一番安定した関係になっていくので、きっと意志のすりあわせとか立場とか色々あったんだろうなぁ、と書き出したら止まらなくなりました。『アウトライン』から随分と時間が経ってしまってそちらも大変申し訳ありません。
なにはともあれ、リクエストありがとうございました!
まもりの唇からこぼれ落ちた名前にヒル魔はぴたりと足を止めた。
どこか強ばった響きが失せて―――滑らかに彼の耳を打つ。
「名前なんて気にしてなさそうだったから、余計に」
「日本人とは思えねぇ発言だなァ」
「妖一の口からそんな発言が出るなんてね」
からかうヒル魔にまもりは肩をすくめて笑う。
「必要以上にファンの女の子たちと親しくしないでね?」
その発言にヒル魔は眉を上げ。
「そりゃテメェにも言えることだ。その辺の野郎にフラフラついて行くんじゃねぇぞ」
にやりと口角を上げて笑う。
あまり平穏とは言い難い言葉の掛け合い。
それでも二人の言葉からは、今までそこはかとなく混じっていたぎこちなさが失せていた。
たかが名前一つ。
たかが呼び方一つ。
それだけで随分と違うのだと気づいたまもりは、ふと口を開く。
「ねえ」
「ア?」
「欲しいものがあるんだけど・・・」
まもりの言葉に、ヒル魔は楽しげに眸を細めた。
そうして。
後日、二人はアメリカを代表する超がつくほどの高級店に来ていた。
ヒル魔の手帳の効力か、それとも彼自身の有名度からかは分からないが、二人は早々に応接室へと通された。
アクセサリー類に元からあまり興味のないまもりは、先ほどから店員が持ってくる指輪の価格にいちいち驚いている。
「高くなくていいわよ! ちょっと! そんなに高いの要らない!!」
まもりがこういうのでいいの、と指さすのはシンプルで価格もまあまあ、というものなのだが。
「煩ェ、そんなに糞安ィモンつけさせるか」
ヒル魔の選ぶものはそれより0が一つ多い。
しかもダイヤモンドが豪華にちりばめられているものばかり見るのだ。
二人の意見は折り合いがつく様子がない。
「んもう! 妖一の金銭感覚がおかしいのよ!」
いくら一生モノとはいえ、限度があるとまもりは憤慨するが。
「人のこという前にテメェの糞庶民な感覚をどうにかしやがれ」
ヒル魔は鼻で笑っていなすばかり。
目の前で展開する事態に、店員は辛抱強くタイミングを待って。
会話が途切れたのを見計らい、それぞれにいいと言う指輪の説明をする。
『こちらはプラチナのみですが、内側にダイヤが入っています』
「見えない位置にあるなら余計にダイヤなんて要らないわ」
呟くまもりに、ヒル魔はぴんと片眉を上げる。
「見える位置にあればいいんだろ」
「宝石は元から必要ないの!」
『男女で別のデザインにすることも出来ますよ』
もはやこのまま二人で会話させても延々と平行線を辿りそうだと判断した店員は、他の男女別のデザインの指輪を見せる。
けれどまもりにはどれも高すぎるようにしか見えない。
「それにしても高すぎるわよ・・・」
ぼやくまもりに、ヒル魔が呟く。
「エンゲージリング分も上乗せだからな」
「え?」
まもりはその言葉に目を丸くする。
「それとも指輪は二つ欲しいのか」
「・・・そんなこと考えてたんだ」
まもりは思わず笑い出し、ヒル魔は眉を寄せる。
根本的に勘違いしていたのだと気づけば、理解は早い。
「ううん。あのね、私はただ高い指輪をもらいたいわけじゃないの」
自らを飾る宝飾品が欲しい訳じゃない。
いたずらに彼に与えられるだけの関係でいたいわけでもない。
「妖一と夫婦だっていう『証』が欲しいだけなのよ」
「ホー」
そうして。
二人の指には互いに指輪が嵌められた。
シンプルでいて美しい曲線を描くプラチナの指輪。
その内側には青いダイヤモンドが息づいている。
『あなたを幸せにしたい』
そんな願いの込められた指輪を手にした二人の生活は、まだ、始まったばかり。
***
まっぴ様リクエスト『ゆめのあとさきシリーズのまもりちゃんがアメリカに行ってすぐの頃。天然まもりちゃんがチームメイトに横恋慕(いつの時代の言葉?)され、やきもきしているかわいそうなヒル魔さんww。一方、ヒル魔さんの方も人気があって、自分のことを棚に上げて気になって仕方がないまもりちゃん。場合によったら、二人を引き離すために実力行使されそうになるみたいなスリリングな場面があるともっとうれしい(ヒドイ)です』でした。
場合によったら、の方まで頑張ろうと試行錯誤したのですが、それ以前のところで書くことが多くなってこれ以上の盛り込みが無理でした・・・。ここの二人は一番安定した関係になっていくので、きっと意志のすりあわせとか立場とか色々あったんだろうなぁ、と書き出したら止まらなくなりました。『アウトライン』から随分と時間が経ってしまってそちらも大変申し訳ありません。
なにはともあれ、リクエストありがとうございました!
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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