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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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深淵と小箱(2)

+ + + + + + + + + +
休んで、何をしようか。
遊びに行く、と言っても友人などいないし一人で出かける性分でもない。
下手に実家に帰ればいつぞやのように見合い写真が山になっているだろうし、第一説明が面倒だ。
かといって自宅に籠もるには本が少ないし―――まもりの本は私物も含め執務室の方が圧倒的に多い―――やることがない。
やはり休みたくない。
部下はそんなまもりの答えをじっと待っている。
それは初めてのお使いの用事を待つ子供のようにも見えた。
ヒル魔はそんなまもりと部下とを交互に眺め、部下に向かっておもむろに口を開いた。
「テメェらの仕事ぶりが心配で任せてられねぇんだとよ」
「えっ」
「た、頼りないですか・・・」
それに部下達がざわめいた。
「違います」
「違うのか? テメェが休めない理由がそれ以外にあるのか?」
ヒル魔の言葉に、まもりは唇を惹き結んだ。
彼らの仕事ぶりが心配だということはない。
本当に最初の頃は多々気にする部分はあったが、今は彼ら一人一人の意識も変わり、仕事ぶりは問題ない。
まもりは判っていて言っているであろうヒル魔を睨め付けた。
ヒル魔は平然とそれを見下ろし、ぷう、とガム風船を膨らませる。
彼らはしばしの間にらみ合っていたが、ヒル魔が不意に部下達へと視線を向けた。
「テメェら今週中に今月中の仕事全部、元帥と俺の決裁いるやつだけでもいい、片付けろ」
「ええ!? ちょっと、何ですかその命令・・・むぐっ」
まもりの声を無視し、その口を手のひらで覆ってヒル魔は更に続ける。
「糞元帥はそれくらい片付ければ心置きなく休んで下さるそうだ」
「むー!」
じたばたと暴れるまもりと飄々としたヒル魔を横目に、ムサシが口を開く。
「元帥だけじゃなく、お前の分も?」
「あれ、ヒル魔も同じ時に休むって事?」
栗田の言葉に、ヒル魔はにやあ、と口角を上げる。
「見張ってねぇとこの糞仕事の虫元帥はお休みしてくださいませんからねェ」
ケケケ、と笑う声に、部下の半分は納得し、半分は不信感を顔に出した。
責任者二人が揃って休むってどういうことだろう、という仕事からの気持ちと。
二人で休むなんてデートですか、という好奇心からの気持ちと。
「休んで欲しいんだろ?」
確かに見張ってないとどんなに体調不良でも仕事に来てしまうまもりのことだ、帳簿上は休みとして実際には来かねない。
やっぱり二人は付き合ってるのかなあ、違うのかなあ、という好奇心が入り交じってみたり。
様々な思惑の混ざった視線を受けて尚、ヒル魔はにやにやとした表情を消さない。
少々の沈黙が降りた。
と。
「おら、さっさと仕事しに行け!」
「は、はいぃぃぃいいい!!」
突如表情を変えたヒル魔にせっつかれた部下達はセナの悲鳴をBGMに慌ただしく執務室を後にする。
部下達が全員出たのを確認してから、ヒル魔はまもりの口から手を離した。
「っもう! 一体何考えてるんですか!!」
「そりゃー、部下の健康保持についてだなァ」
「どこが! あの様子じゃ徹夜する者も出そうじゃないですか!」
「あいつらなら一日二日の徹夜で倒れるような生半可な鍛え方してねぇよ」
それよりも、と。
ヒル魔の手がまもりの頭に乗る。
「・・・なんですか、これ」
「テメェも俺の部下だろ」
労ってやろう、と。
よしよし、とでも言いそうな手の動きに、まもりは苛立ちその手を避ける。
「私は貴方よりも役職上は上です!」
バカにするな、という勢いを込めて上げた腕も彼は難なく避ける。
「だからテメェも俺の健康保持について考えなきゃいけねぇんじゃねぇか?」
「・・・!!」
あっさりと言いくるめられて、まもりは頬を紅潮させる。
恨みがましい視線も、涙が僅かににじんでいては誘っているようなものだ。
「テメェ・・・」
ヒル魔は思わずまもりの頬に触れようとして。
「失礼しまッス!」
「元帥! とりあえずこの書類の決裁をお願いします!」
ノックもそこそこに飛び込んできたモン太とセナの二人組にあっさりとまもりの視線が離れる。
ヒル魔の手が空を切った。

<続>
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同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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