旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
部長である牛島が倒れたというニュースに、現場となった部室へアメフト部一同は全速力で向かった。
しかし、皆して顔が笑っている。
手に用意周到にカメラを持っていたり、ビデオを用意したりしている奴らもいる。
「なんで?!」
「なんで倒れたの?!」
「相内に殴られたとか?」
「変なモン拾い食いしたとか?」
「古野に呪われたとか!」
「陸が縛ったんじゃねぇの!?」
「俺ここですよ!」
「横目の鉄道模型がぶつかったとか!」
「何ィ?! 許さねぇ!」
「憶測で怒るんじゃねぇよ!」
ちなみに会話は、お前らこそ馬の群れか、という勢いで走りながらである。
「やれやれ・・・みんな早いよ・・・」
「あっさり着いてきながら言うんじゃねぇよキッド!」
最後尾を走る仁科がわめいた。
轟音を響かせて部室のドアを開く。
と。
そこにはベンチで伸びている牛島と、途方に暮れている井芹の姿。
予想外の取り合わせに、皆一様に黙る。
「・・・あれっ、みんな・・・」
部室の扉が開いたことに気づいた井芹の顔がぱっと明るくなる。
「来てくれたんだ!」
途端に誰かが部室のドアを閉めた。一気に皆部室から距離を置いて円陣を組む。
「・・・どうするよ、なんか怪しいぜ・・・」
「この取り合わせとは思わなかった・・・」
「てっきり相内さんがいるか一人で倒れてるかだと思ったのに・・・」
ボソボソと部室を背に喋る皆の背後で、再び扉が開いた。
「わーん! 酷いよみんな!!」
半泣きで出てきた井芹に皆一様に怒声を浴びせる。
「来るな井芹!」
「テメェ一体何しでかしやがった!」
「先輩何やったんですか?! 自首した方が・・・」
わいわいと騒ぐ面子に、井芹もキレる。
「うるせぇぇええ!! 聞けよテメェら!!」
あまりの剣幕に皆言葉を飲む。その隙に井芹が一気に説明した。
「今日の俺のクラスはHRが短かったからさっさと部室に来て着替えてたら後から来た牛島がフラフラしててどうしたんだって聞いたら調子が悪いっつっていきなりベンチに倒れてそのまま寝ちまったんだが放置してていいのかそれとも保健室に連れて行くべきか連れて行くにしても誰か居ないと俺一人じゃ運べないっつーんで連絡入れてみんなが来るのを待ってたんだよ!!」
ぜーはーぜーはー。
息継ぎもせず一気に喋った井芹は、他に質問は、という顔で皆を見る。
「・・・じゃあ、牛島は誰に何かされたわけでも、自分でなんかしたわけでもなく倒れたの?」
「そう」
「体調悪くて、たまたま井芹がいただけ?」
「そう」
「相内さんはいないの?」
「今日はまだ見てない」
「・・・なーんだ」
なんだー、ガッカリ、という単語があちこちから聞こえてくる。
せっかくからかいのネタになると思ったのに、とぼやく面々の中、ふとキッドが口を開いた。
「ところでさぁ、牛島のバンダナを取ったところって、見たことある?」
途端に皆の瞳が怪しく光った。
誰もそのバンダナを取ったところを見たことがない。
見てみたい・・・! という皆の気持ちが一つになった。
「相内命とか書いてるんじゃねぇの?」
「バンダナ焼けしてはずせないだけだろ」
「それだったらはずして肉って書いてやろうぜ」
「いや、牛の方がいいんじゃねぇの」
わいわいと好き勝手にわめきつつ、部室の扉を開いてからは皆そーっと中に入る。
倒れたままの牛島の頭に立つのは陸。一番逃げ足が速いからだ。カメラを構える者数名の他に、いざとなったら早撃ちでボールを投げて当てて再び昏倒させようというもくろみのキッドはやや離れて立つ。
皆が固唾を呑んで見守る中、陸がおそるおそる牛島のバンダナに手を掛ける。
そーっと。
取ってみたら・・・そこには。
「お?」
「あ、牛島起きたか」
「かなり熱あったみたいだぜ、大丈夫か?」
「おー」
目が覚めたらそこは寮の自室。ぼんやりと横たわったまま声を掛けてきた連中を見る。
部員全員とはいかないが、鉄馬・馬場山・間などの口数がそう多くない面子だった。
「とりあえず運んでそこに寝かせただけだから、着替えとかは自分でやれよ」
鉄馬が無言で水を運んできた。それをありがたく頂いて、牛島は身体を起こす。
「・・・なんだよ」
なんとなく視線を寄越すくせに、こちらから見ると誰もがそっと視線を外す。
「いや、別に。ほらお粥。相内お手製だ」
「お?! 本当か!?」
「ああ。お前の風邪なんて移ったら悪いからここには来てねぇけどな。後で礼言えよ」
じゃあ俺たちはこれで、と言って部屋を出る。
そして皆して顔を見合わせ、肩をすくめてそれぞれの部屋に戻った。
牛島のバンダナを取ったところは誰も知らない。
知らないことになっている。
それから牛島は、倒れた後から多少部員たちが自分に優しくなったことに首を傾げたのだった。
***
ねむ様ともう一名様リクエスト『西部わいわい話』でした。・・・もう一名様の拍手ログが飛んでしまって具体的な日時が判りません・・・!大変申し訳ありません!17~18日あたりだと思うのですが。
西部の面々、泥門に負けず劣らず面白いキャラが目白押しなので書くのが楽しかったですw今まで書いたのはキッドメインだったので、別のキャラを選ぼうとしたわけです。が、なぜここで陸ではなく牛島を選んでしまったのか自分でも不明です(苦笑)バンダナの下は皆様のご想像にお任せしますw
リクエストありがとうございましたー!!
ねむ様・もう一名様のみお持ち帰り可。
しかし、皆して顔が笑っている。
手に用意周到にカメラを持っていたり、ビデオを用意したりしている奴らもいる。
「なんで?!」
「なんで倒れたの?!」
「相内に殴られたとか?」
「変なモン拾い食いしたとか?」
「古野に呪われたとか!」
「陸が縛ったんじゃねぇの!?」
「俺ここですよ!」
「横目の鉄道模型がぶつかったとか!」
「何ィ?! 許さねぇ!」
「憶測で怒るんじゃねぇよ!」
ちなみに会話は、お前らこそ馬の群れか、という勢いで走りながらである。
「やれやれ・・・みんな早いよ・・・」
「あっさり着いてきながら言うんじゃねぇよキッド!」
最後尾を走る仁科がわめいた。
轟音を響かせて部室のドアを開く。
と。
そこにはベンチで伸びている牛島と、途方に暮れている井芹の姿。
予想外の取り合わせに、皆一様に黙る。
「・・・あれっ、みんな・・・」
部室の扉が開いたことに気づいた井芹の顔がぱっと明るくなる。
「来てくれたんだ!」
途端に誰かが部室のドアを閉めた。一気に皆部室から距離を置いて円陣を組む。
「・・・どうするよ、なんか怪しいぜ・・・」
「この取り合わせとは思わなかった・・・」
「てっきり相内さんがいるか一人で倒れてるかだと思ったのに・・・」
ボソボソと部室を背に喋る皆の背後で、再び扉が開いた。
「わーん! 酷いよみんな!!」
半泣きで出てきた井芹に皆一様に怒声を浴びせる。
「来るな井芹!」
「テメェ一体何しでかしやがった!」
「先輩何やったんですか?! 自首した方が・・・」
わいわいと騒ぐ面子に、井芹もキレる。
「うるせぇぇええ!! 聞けよテメェら!!」
あまりの剣幕に皆言葉を飲む。その隙に井芹が一気に説明した。
「今日の俺のクラスはHRが短かったからさっさと部室に来て着替えてたら後から来た牛島がフラフラしててどうしたんだって聞いたら調子が悪いっつっていきなりベンチに倒れてそのまま寝ちまったんだが放置してていいのかそれとも保健室に連れて行くべきか連れて行くにしても誰か居ないと俺一人じゃ運べないっつーんで連絡入れてみんなが来るのを待ってたんだよ!!」
ぜーはーぜーはー。
息継ぎもせず一気に喋った井芹は、他に質問は、という顔で皆を見る。
「・・・じゃあ、牛島は誰に何かされたわけでも、自分でなんかしたわけでもなく倒れたの?」
「そう」
「体調悪くて、たまたま井芹がいただけ?」
「そう」
「相内さんはいないの?」
「今日はまだ見てない」
「・・・なーんだ」
なんだー、ガッカリ、という単語があちこちから聞こえてくる。
せっかくからかいのネタになると思ったのに、とぼやく面々の中、ふとキッドが口を開いた。
「ところでさぁ、牛島のバンダナを取ったところって、見たことある?」
途端に皆の瞳が怪しく光った。
誰もそのバンダナを取ったところを見たことがない。
見てみたい・・・! という皆の気持ちが一つになった。
「相内命とか書いてるんじゃねぇの?」
「バンダナ焼けしてはずせないだけだろ」
「それだったらはずして肉って書いてやろうぜ」
「いや、牛の方がいいんじゃねぇの」
わいわいと好き勝手にわめきつつ、部室の扉を開いてからは皆そーっと中に入る。
倒れたままの牛島の頭に立つのは陸。一番逃げ足が速いからだ。カメラを構える者数名の他に、いざとなったら早撃ちでボールを投げて当てて再び昏倒させようというもくろみのキッドはやや離れて立つ。
皆が固唾を呑んで見守る中、陸がおそるおそる牛島のバンダナに手を掛ける。
そーっと。
取ってみたら・・・そこには。
「お?」
「あ、牛島起きたか」
「かなり熱あったみたいだぜ、大丈夫か?」
「おー」
目が覚めたらそこは寮の自室。ぼんやりと横たわったまま声を掛けてきた連中を見る。
部員全員とはいかないが、鉄馬・馬場山・間などの口数がそう多くない面子だった。
「とりあえず運んでそこに寝かせただけだから、着替えとかは自分でやれよ」
鉄馬が無言で水を運んできた。それをありがたく頂いて、牛島は身体を起こす。
「・・・なんだよ」
なんとなく視線を寄越すくせに、こちらから見ると誰もがそっと視線を外す。
「いや、別に。ほらお粥。相内お手製だ」
「お?! 本当か!?」
「ああ。お前の風邪なんて移ったら悪いからここには来てねぇけどな。後で礼言えよ」
じゃあ俺たちはこれで、と言って部屋を出る。
そして皆して顔を見合わせ、肩をすくめてそれぞれの部屋に戻った。
牛島のバンダナを取ったところは誰も知らない。
知らないことになっている。
それから牛島は、倒れた後から多少部員たちが自分に優しくなったことに首を傾げたのだった。
***
ねむ様ともう一名様リクエスト『西部わいわい話』でした。・・・もう一名様の拍手ログが飛んでしまって具体的な日時が判りません・・・!大変申し訳ありません!17~18日あたりだと思うのですが。
西部の面々、泥門に負けず劣らず面白いキャラが目白押しなので書くのが楽しかったですw今まで書いたのはキッドメインだったので、別のキャラを選ぼうとしたわけです。が、なぜここで陸ではなく牛島を選んでしまったのか自分でも不明です(苦笑)バンダナの下は皆様のご想像にお任せしますw
リクエストありがとうございましたー!!
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鳥(とり)
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女性
趣味:
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自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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