旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
戻るはずがない、と思っていた部屋に戻って来たまもりはくすりと笑った。
「やっぱり、貴方、は優しい人だったわね」
「ア? 何言ってんだ糞女」
当然のようにこちらについてきたヒル魔に、言葉を選びながらまもりは口を開いた。
「そもそも顔だけとかスタイルとか目立つだけなら私じゃなくてもよかったじゃないの?」
「ベツニ。たまたま側にいたからな」
そう素っ気なく言う彼に見えないように、まもりはひっそりと笑う。
多分彼は、まもりの身の上を調べて、その上でまもりを選んだのだろう。
そうでなければ、教育させるなんてリスクも手間もあることをしないだろう。
彼は無駄を嫌う人だから、元から綺麗な人を選ぶ事だって出来たはずだ。
自分の思考に沈み込むまもりの背後から、ヒル魔の声が飛んでくる。
「それに、まだ終わってねぇぞ。貴方呼び禁止だっつったろ」
「それは失礼したわ。もうお役御免かと思ってたから、つい」
「・・・・・・・・」
返事がない。
沈黙は嫌だと言ったはずだ。
まもりは振り返る。もし彼がいなければ、着替えてそっとこの場を去るつもりだった。
だが、予想は外れた。
「・・・・・・ッ」
思わず身を竦ませるほど近くに、ヒル魔が立っていた。眼鏡を外し、うざったそうに髪をかき乱す。
と、押さえられていた髪がぴんと立った。
いつもの姿の彼だ。
「・・・期日が来たら、終わりでしょ」
まもりは役目を果たした。目立つための広告塔のようなそれでも、仕事は仕事だった。
もう彼の側にいる必要はない。まもりは元の生活に戻るのだ。
こみ上げる気持ちのまま、キッとヒル魔を睨んでも、彼は頓着しない。
「せっかく婚約者と共にベッドの側にいるのに、何もしないっつーのもナァ?」
「は?」
何を、と思った次の瞬間。
まもりはベッドへと押し倒されていた。
「な、何!?」
「ヤる」
短いその一言に、まもりは二度三度と瞬きした後に思い至って愕然とする。
「な、なに言ってるの?! そりゃ婚約者って・・・それフリでしょ!?」
「黙れ」
ヒル魔にのし掛かられ、まもりはとっさに顔を背けた。逃れようともがく手足を押さえられても、顔だけはそのまま背ける。
「・・・なんのつもりだ」
不機嫌そうな声に、まもりはそれはこっちの台詞よ、と呟く。
「っや」
ぐい、と顎を掴まれて顔をこちらに向けさせられる。それによって自由になった左手が、ヒル魔の手を外そうとその手に爪を立てる。
その唇を奪おうとするヒル魔に、まもりは必死になって抵抗した。
「やめて・・・」
なおも抵抗し、諦めないまもりに、ヒル魔は舌打ちする。
「安い商売女みてーな抵抗するんじゃねぇよ」
蔑んだように言われて、まもりの抵抗が一瞬止まる。
安い商売女。それは、一ヶ月前の自分だった。
あの時私は彼に自分を買って欲しいと言った。彼とは契約を交わしたけれど、本質が変わる訳じゃない。
私、は。
婚約者のまねごとをしていた、ただの、商売女。
「んぅ!」
最初から遠慮も何もない口づけがまもりを襲う。
顎を押さえつけられているので口を閉じることも出来ず、ぬるりと侵入してきた舌を受け入れさせられてしまう。
散々に口腔を蹂躙した舌は最後にねろりと上唇を舐めて退く。
「はっ・・・」
息苦しさに喘ぐまもりの耳に、容赦ない言葉が冷たく追い打ちを掛ける。
「安心しろ、ちゃんと対価は払ってやるよ」
まもりは目を瞑り、首を振る。
そんなものは、いらない。
この夜をこんな気持ちのままに共に過ごせというのなら、お金などいらないと、本気で思える程に嫌だった。
自然と震える身体を押さえつける腕は緩むことなく、露わな首筋へとその顔が躊躇いなく埋められる。
ヒル魔の牙が首に突き立てられたとき、まもりは堪えられず大粒の涙をこぼした。
<続>
「やっぱり、貴方、は優しい人だったわね」
「ア? 何言ってんだ糞女」
当然のようにこちらについてきたヒル魔に、言葉を選びながらまもりは口を開いた。
「そもそも顔だけとかスタイルとか目立つだけなら私じゃなくてもよかったじゃないの?」
「ベツニ。たまたま側にいたからな」
そう素っ気なく言う彼に見えないように、まもりはひっそりと笑う。
多分彼は、まもりの身の上を調べて、その上でまもりを選んだのだろう。
そうでなければ、教育させるなんてリスクも手間もあることをしないだろう。
彼は無駄を嫌う人だから、元から綺麗な人を選ぶ事だって出来たはずだ。
自分の思考に沈み込むまもりの背後から、ヒル魔の声が飛んでくる。
「それに、まだ終わってねぇぞ。貴方呼び禁止だっつったろ」
「それは失礼したわ。もうお役御免かと思ってたから、つい」
「・・・・・・・・」
返事がない。
沈黙は嫌だと言ったはずだ。
まもりは振り返る。もし彼がいなければ、着替えてそっとこの場を去るつもりだった。
だが、予想は外れた。
「・・・・・・ッ」
思わず身を竦ませるほど近くに、ヒル魔が立っていた。眼鏡を外し、うざったそうに髪をかき乱す。
と、押さえられていた髪がぴんと立った。
いつもの姿の彼だ。
「・・・期日が来たら、終わりでしょ」
まもりは役目を果たした。目立つための広告塔のようなそれでも、仕事は仕事だった。
もう彼の側にいる必要はない。まもりは元の生活に戻るのだ。
こみ上げる気持ちのまま、キッとヒル魔を睨んでも、彼は頓着しない。
「せっかく婚約者と共にベッドの側にいるのに、何もしないっつーのもナァ?」
「は?」
何を、と思った次の瞬間。
まもりはベッドへと押し倒されていた。
「な、何!?」
「ヤる」
短いその一言に、まもりは二度三度と瞬きした後に思い至って愕然とする。
「な、なに言ってるの?! そりゃ婚約者って・・・それフリでしょ!?」
「黙れ」
ヒル魔にのし掛かられ、まもりはとっさに顔を背けた。逃れようともがく手足を押さえられても、顔だけはそのまま背ける。
「・・・なんのつもりだ」
不機嫌そうな声に、まもりはそれはこっちの台詞よ、と呟く。
「っや」
ぐい、と顎を掴まれて顔をこちらに向けさせられる。それによって自由になった左手が、ヒル魔の手を外そうとその手に爪を立てる。
その唇を奪おうとするヒル魔に、まもりは必死になって抵抗した。
「やめて・・・」
なおも抵抗し、諦めないまもりに、ヒル魔は舌打ちする。
「安い商売女みてーな抵抗するんじゃねぇよ」
蔑んだように言われて、まもりの抵抗が一瞬止まる。
安い商売女。それは、一ヶ月前の自分だった。
あの時私は彼に自分を買って欲しいと言った。彼とは契約を交わしたけれど、本質が変わる訳じゃない。
私、は。
婚約者のまねごとをしていた、ただの、商売女。
「んぅ!」
最初から遠慮も何もない口づけがまもりを襲う。
顎を押さえつけられているので口を閉じることも出来ず、ぬるりと侵入してきた舌を受け入れさせられてしまう。
散々に口腔を蹂躙した舌は最後にねろりと上唇を舐めて退く。
「はっ・・・」
息苦しさに喘ぐまもりの耳に、容赦ない言葉が冷たく追い打ちを掛ける。
「安心しろ、ちゃんと対価は払ってやるよ」
まもりは目を瞑り、首を振る。
そんなものは、いらない。
この夜をこんな気持ちのままに共に過ごせというのなら、お金などいらないと、本気で思える程に嫌だった。
自然と震える身体を押さえつける腕は緩むことなく、露わな首筋へとその顔が躊躇いなく埋められる。
ヒル魔の牙が首に突き立てられたとき、まもりは堪えられず大粒の涙をこぼした。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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