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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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むかしがたり

(デビルバッツとどぶろく先生)

※15000HITお礼企画作品

+ + + + + + + + + +
あ? あいつらの中学時代?
見た目はあんまり変わらねぇぞ、ヒル魔はあの頃からあの髪型だしムサシは老けてたし栗田は丸かったし。
制服が学ランだったくらいか? それ以外は今とそんなに変わらねぇ。
まあ、多少背が伸びたり体重が増えたりはしてるんだろうけどよ。
言っておくが、俺はあいつらが麻黄デビルバッツを作ったとき、顧問っつーことでいたが、あの当時だって三人だ、大した練習なんてできやしねぇ。栗田はマシンをしょっちゅう壊すし、ムサシはボールをぼんぼん蹴り飛ばしすぎるし、ヒル魔は練習しすぎだった。
だがな、三人ともえらく真剣でな。
一番中心で動いていたのは栗田だった。
意外か? でもあの栗田の熱意は真っ直ぐで、ヒル魔みてぇにひねくれてもいねぇし、ムサシみたいに一歩引いてる感じもねぇだろ?
あいつがヒル魔に火を付けて、ヒル魔と栗田の二人でムサシを口説き落として。
そこから全部始まったんだ。
初めての時の出会いがどうだったかは聞いてねぇから知らねぇが、まあヒル魔は大したもんだよ。
あの体裁ばっかり考える麻黄中学校の校長と教頭両方の弱みを握って辞めさせられた俺をもう一回呼び戻したんだからよ。
知ってるか? 脅迫手帳、それまではなかったんだ。
てっきり前々から持ってたのかと思ったが、よく考えたら中学ではヒル魔はアメフトを始めるまでクラスの連中ともほとんど関わらないヤツだったからな。脅迫とかそんなもん必要なかった。
俺が辞めさせられて復帰するまでの間は大した期間じゃなかったんだが・・・よくあんなにネタ集めたもんだ。
あ? 悪用? お前らも知ってるだろ、アイツはやる気のないヤツに無理矢理言うことを聞かせるなんて効率が悪いことはやらねぇ。
・・・なんだ、不満そうだな、ライン三兄弟。
お前らに限らずセナもモン太も最初はアメフトのアの字も知らないで引きずり込まれて、でもそこから嵌っただろ? お前らは嵌るのが多少遅かったかもしれんが、結局はアメフトに嵌ってんだろ。やる気がないのにトラック四十日間押せるか? 切っ掛けはどうあれ、着いてこれると思ったヤツしかヒル魔は残さねぇし必要としなかった。それだけ判ってりゃいいだろ。
ああそうそう、話が逸れたな。中学の時の三人はそりゃあ浮きまくってた。
あの三人、今だって揃って歩いてるとなんであの三人、って感じだろ? 栗田は人はいいがヒル魔は素行最悪だし、ムサシは一見保護者みてぇな外見だし、ってな。
だが不思議と三人が揃ってると楽しげで、うまくいってた。アメフトを始めたのが中学二年の途中からで、新規部員は集めようがなかったから、三人よりは増えなかった。元々目標は三人揃ってクリスマスボウルに行くことだったから、高校に行って仲間が増やせればいい、って踏んでたらしいんだな。
・・・まあ事情があってアメフト部がある高校には行けなかったんで、泥門に入って新規部員を増やそうとしたが、そこにムサシの穴だ。
俺はその時既にアメリカに行ってたから、詳しい事情はお前らと夕飯一緒に食うまで知らなかった。
・・・あ? 成績? 聞くまでもねぇだろ。ヒル魔の苦手科目? お前ら、アイツが俺に勉強聞きに来ると思うか? カウンティングなんて人外な技かますような頭のヤツに得意も苦手もあるかよ。
・・・交友関係? テメェら何聞きたいんだ?
ヒル魔の弱点?! そんなものあったら俺がとっくにネタにして借金チャラにするに決まってるだろ!
「・・・ホー、随分と楽しそうなお話されてラッシャイマスネ」
勢いよく開いた扉。
後ろから唐突に聞こえてきた声に、ロッカールームにたむろしていた一年生たちが硬直した。
恐る恐る振り返ると、入り口には仁王立ちした悪魔が一匹。
その後ろに栗田と、ムサシ、雪光が苦笑いしている。
今日は課外授業とかで二年生たちは校外に出ていたのだ。
一年生たちだけでも練習は出来るのだが、せっかくヒル魔の目が届かないからアイツの過去を知りたい、と彼らにせがまれて今まで部室で話していたわけだ。
「どうしたの? 中、入らないの?」
柔らかい声がする。まもり嬢ちゃんもいるらしい。
「テメェらさっさと出てこい! そのまま黒美嵯川土手百往復!!」
「ひぃいいいい!!」
飛び上がって悲鳴を上げ、ロッカールームから飛び出すセナを筆頭に一年生たちがバタバタと駆けだしていく。
「・・・糞酔っ払い、テメェが俺のネタ握るなんざ百年早い」
俺はこそこそと酒瓶を手に部室の入り口へと向かう。
未だ制服姿の二年生たちは入れ替わりに鞄を手にロッカールームに入る。
まもり嬢ちゃんだけはヒル魔に過剰な練習をさせるな、と食ってかかってるが、それをヒル魔は聞き流して鞄と銃器をロッカーに置いた。
俺はそんな二年生たちを眺めると、グラウンドへと歩いていく。
 
中学の時はもっと狭いグラウンドで、三人だけで走り回っていた。
さっきの話には出てこなかった一幕を思い出す。
『糞アル中、てめぇに指示だ』
『あ!?』
中学三年のヒル魔は、卒業式前に俺に札束とパスポートと飛行機のチケットを握らせた。
借金を返すには少なく、ただ受け取るには多い金額。
困惑する俺に、ヒル魔はにやりと笑った。
『テメェ借金で首回んねぇんだろ。アメリカに高飛びしろ』
『オォイ! いきなりで無茶苦茶な指示だな!!』
たかだが十五のガキに何を言われるかと思えばとんでもねぇ。驚く俺にヒル魔は淡々と続けた。
『泥門でアメフト部を作る』
『そうなんだってな』
俺は正直一年目は無理だろうと思ってた。素人集団なら余計、一年目は部活の素地を作るのだけで精一杯だろう。二年目ならなんとかなる、かもしれない。それだって奇跡に近い数字ではあるけれど。
『だからテメェはアメリカで高校に入ってない野郎を鍛えて泥門高校アメフト部に送り込め』
『・・・』
あまりに突拍子もない考えに俺は絶句した。一体何を考えるかと思えば、なんだそれは。
『こっちは素人連中ばっかり集めることになるだろ。テメェが一人でも送り込めばプレーに幅が出る』
『・・・わかった。やってみようじゃねぇか』
借金で首が回らないのは事実だし、新天地に行くのも面白そうだ。
その間、こいつらの活躍を聞くことが出来ないのは残念だが。
三人とも筆まめじゃねぇしな。ぼんやりとそんなことを考えていたら、唐突にヒル魔が言った。
『必ず俺たちは部員を集めてテメェの所に行く』
ひたりと据えられた眸は、眼光鋭く冷たいのに、奥底は酷く熱かった。
『必ずだ。それを楽しみに待ってろ、糞アル中』
にやりと笑った口元はいつも通りだった。


―――――そうしてヒル魔は本当に部員を連れてきた。
到底成し遂げられないと思われたデスマーチを全員で完走した。
一度負ければもう来年がないヤツの眸に余裕なんてなく、精神的にも負担が大きいポジションを譲らない頑迷さを幾度歯がゆく思ったか。
だが俺の言い分など聞くようなヤツじゃない、とほとんど諦めかけていたのに。
気が付けば徐々に増えたという部員たちは恐れつつもヒル魔に懐き。
ヒル魔と共にムサシを待ち続けた栗田は笑顔で練習し。
ムサシはしばしフィールドを離れつつも以前と同じ威力のキックを見せつけ。
そしてなにより。
「・・・だからヒル魔くんってば一人で何でもやりすぎなのよ! もうちょっと私にも仕事を寄越してよ!」
「パソコン出来ねぇ糞アナログマネにそんなことを言われてもナァ」
「そ・れ・い・が・い・に・も! あるでしょ?! ビデオチェックとか・・・」
「あーもー煩ェ糞マネ、いいからテメェはドリンク作って持ってこい!」
「もー!!」
くるくると表情豊かな有能マネージャー兼主務を手に入れて、ヒル魔の負担はぐっと減ったはずだ。
これでもう少し素直だともっといいんだろうがな、と思いながら酒瓶に口を付けた。

まあ、そこはまもり嬢ちゃんに彼女として頑張って貰えばいいだけの話だ。
俺は素直じゃないヒル魔の背中を見ながらこっそり笑った。 

***
昂様リクエスト『馬鹿共の日常の続き』でしたー。最初の部分が読みづらくて申し訳ないです。どぶろく先生ちゃんと書いたの初めてですね。語らせたら結構一人でぺらぺら喋ってくれたので楽しかったです♪
リクエストありがとうございましたー!!

昂様のみお持ち帰り可。

リクエスト内容(作品と合っているかどうか確認のために置きます)以下反転して下さい。
「馬鹿どもの日常の続きの感じで。部室に来た一年生全員が、溝六先生から中学時代の蛭魔栗田武蔵三人のエピソードを聞く。聞き終えた後二年生達が来て練習開始。さっきの話で蛭魔について溝六先生だけが知るエピソードがあり、溝六先生はそれを思い返した後、栗田武蔵、新デビルバッツメンバー、まもりと、それぞれ違う角度から蛭魔を支える存在を思い、あの悪魔も少しは負担軽くなったろやれやれと思う話」そのまんまな話になってしまったような。どぶろく先生はお父さんみたいな立ち位置ですね(笑)
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