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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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シラナイヒト(7)



+ + + + + + + + + +
まもりは心配そうに二人を見送る。
もういいかな、と呟いてまもりは口を開いた。
「大丈夫かしら・・・」
そんな彼女に、背後から声が掛けられた。
「大丈夫ですよ」
「でも・・・」
「いくらヒル魔さんでも殺しはしませんから」
物騒な一言に、まもりは顔を引きつらせる。
「ああいう手合いには、思い知らせた方がいいんですよ」
紅茶を淹れましょう、と彼は柔和な笑みを浮かべる。
「シュークリームもありますよ。ご安心下さい、雁屋のではありませんから」
その一言にまもりは僅かに頬を染め、恨めしげに彼を見上げる。
「・・・雪光さんってどこまでご存じなんですか?」
それには彼はただ笑って答えることはない。
さすが、というか。やはり、というか。
ヒル魔とは学生時代からの付き合いだというだけある。
このホテルの総支配人の名は、雪光学。
それが目の前の青年であることを、まもりはつい先ほどヒル魔から聞かされたばかりだった。


ヒル魔が呼び出した青年に、携帯電話の画面を見せる。
彼は驚いたり挙動不審になったりすることはなかった。
内心どうやって説明したものか、と困っていたまもりはただ二人のやりとりを見守ってしまう。
「ヒル魔さんの気分的にも、この方が聞きやすいでしょう? 僕も説明しやすいですしね」
「どういうことだ」
青年の飄々とした様子、そうして親しげな口の利き方に、まもりは目を見開いた。
「姉崎様―――まもりさんとお呼びしても?」
「あ、はい」
律儀に断ってから、青年は口を開いた。
「まもりさんが三人の暴漢に襲われ掛けました。その時に男たちが持っていたカメラやビデオ、携帯電話はこちらで預かりました。男たちは別室で拘束してあります」
簡潔な説明にヒル魔の眉がきつく寄る。
「ロビーで挙動不審な男がいることに気づいていたのですが、事前に食い止められなくて申し訳ありませんでした」
頭を下げる青年にふんと鼻を鳴らし、ぐるりと顔をまもりに向けた。
「テメェの怪我はその縛り跡だけか」
「ええ。他は・・・」
助けて貰えたから、と言いたかったが、そういえば名前を聞いていないことを思い出す。
「あの、お名前を聞いていなかったのですが、こちらの方に助けていただいたので無事でした」
「ア? テメェ名乗ってなかったのか?」
ヒル魔が青年を見上げる。
「ええ。このところ変な手紙がありましたでしょう。その究明をするため一介のホテルマンのふりをしておりましたのでね」
「?」
一介のホテルマンの、ふり?
あの手紙のために?
困惑するまもりに、青年は改めて深々と頭を下げた。
「私の名前は雪光学。このホテルの総支配人を勤めさせていただいております」
「ええ?!」
驚き飛び上がるまもりを、二人は笑みを浮かべて見つめている。
「こいつは高校からの付き合いでな」
頷き、雪光はヒル魔に向き直る。
「それで、どうします? あの男たちもそうですが、黒幕の処分は」
「ああ」
その言葉にまもりは眉を寄せた。
「黒幕?」
「今回の一件は、三宅だけが動いたわけじゃないんですよ」
彼は封筒を一つ、ヒル魔に差し出した。
「証拠品は全てこの中にあります。以前仰っていたようなやり方でよろしければ、この下のジュニアスイートに用意があります」
「ケケケ、分かってるじゃねぇか」
不穏な空気を感じて、まもりは二人の顔を見比べる。
見た目に怖いヒル魔と、見た目に穏和な雪光と。
二人はよく似ていた。なんというかそう・・・空気が。
「黒幕はこの女だ」
ヒル魔はぴらりと一枚の写真を取り出した。
それは美しく、若い女性の写真。
予想していなかったもう一人の登場に、まもりはじっとそれを見ていたが。
「まもり」
「はい」
「これからこの女を呼び出す。テメェはこの女が来てから俺がこの部屋を出るまでの間、口を利くな」
「え?」
「出来るか?」
「は、はい」
頷くまもりを見て、ヒル魔は携帯電話を取りだした。
いかにも悪魔な笑みを浮かべて。


<続>
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同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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