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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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Don’t Disturb

(まもり独白)
※暗いです。(死にネタではありません)
※セクシャルな表現が含まれます。苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

+ + + + + + + + + +
部室の床に落とされていた服を拾い上げ、身につける。
俯き加減で全ての服を身につけ、立ち上がる。
ドアから出るときに一応振り返って眺めても、ヒル魔くんはちらりともこちらを見ない。
「・・・じゃあ」
「ああ」
短くても応答があるだけ、まだましなのかもしれない。
私はうっすらと口元に笑みを掃くと、外へと出た。
日はもうとっぷりと暮れて、家路につくよりこれから夜遊びに行くような人影の方が多い。
その中ですれ違ったカップルは、幸せそうに手を繋いで歩いていた。
寄り添うその姿を視線で追う。
(・・・いいな)
そう思った途端、つんと鼻の奥が痛くなる。
私は俯くと、きつく唇を咬んで足を速めた。


私は自宅に戻り、バスタブの中でゆっくりと思いを巡らせる。
ヒル魔くんと身体を繋ぐようになったのは、セナの正体が知れた試合の後からだった。
記憶が曖昧になるくらい酒に酔っていたことは確かだ。
夢うつつだった。
目が覚めたときあれは夢だったと思いこめたくらい全てが曖昧だった。
翌日から顔を合わせたヒル魔くんもまったく平常だったから、それが現実に起こった事ではないと思っていたのだ。
けれど日を置いて再び触れてきた手に、それは夢ではなかったのだとようやく知る。
それからだ。
普段は部活の事しか言葉を交わさないのに、時折思い出したかのように彼は私を抱く。
けっして乱雑な手つきではないけれど、平素の状態との落差に時折ついて行けない。
けれど拒めない。
最初に彼が手を差し伸べてきたのは、私が彼に泣いて縋ったからだ。
それだけはかろうじて覚えている。そして彼はそれに乗っただけだ。
感情を伴わない、熱だけをやりとりするだけの、刹那的な関係。
もうどれくらい彼に抱かれただろうか。両手の指ではもう足りない。
この身体は次第に彼の手管に馴染んだ。
身体をまさぐる手があたたかいのを知っている。
その唇が、舌が、全身を這って甘い刺激をくれるのを知っている。
でも抱かれている最中に彼を見る事はどうしても出来なかった。
男は好きでもない女を抱けるのだという。
きっと今だけ、利害が一致しているだけだ。
今は関東大会中で忙しく、彼の負担は試合で勝ち進むたびに増えていく。
だから手近なところでストレスも発散出来て都合がいいのだろう。
涙がこぼれるのは快感からで。
喉が詰まるのは突き上げられる勢いに呼吸がままならないから。
いつも身体を繋ぐ最中は力の入らない腕で顔を隠す。
こんな顔を見られたくない。
とても醜くて、見せられない。
最初のうちは何度かその腕を払おうとしていたけれど、必死になる私の様子についには諦めたようだった。
時折聞こえる舌打ち。
不機嫌そうなそれを耳が拾い上げるたび、心が震えた。
与えられる快感に身体が馴染んでいくたびに、心のどこかが壊れていくような気がする。
それはただ気のせいで、ましてやそれを辛いなんて思ってはいけないのだ。
だって、それではあまりに私は身勝手すぎる。
(―――手を繋いで、ただ隣に寄り添うような、本物の恋人同士になってみたかった、なんて)
私が最初にヒル魔くんに縋った理由は、ただの逃げだったのだから。
この気持ちは眠らせてしまおう。
いつまでも目覚めないように、心の奥深く。
誰の声も届かないところへ。


私は沈み込んだ気持ちのまま、膝を抱える。
視界が滲むのは湯気のせい。
顔が熱いのは湯船に浸かっているから。
胸が痛くて仕方ないのは、もう。
全部、全部、気のせい、だ。




***
これギリギリ裏じゃなくて大丈夫ですかね・・・。
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