旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
「俺の領域にずかずか入って無防備な姿見て掃除してメシ食わせておいてまだ気づかねぇのか」
「いやだからそれって、便利な家政婦っていうことでしょ!?」
「糞鈍い鈍いと思っていたが、想像を絶する鈍さだな」
とんでもない体勢にバランスが取れず、わたわたするまもりの腰を捕らえて、ヒル魔は嘆息した。
「自宅に上げる、っつーことはテメェは俺の無防備な姿を見ることになる」
「? そうね」
「私物を片付ける、っつーことは俺の情報を得ることになる」
「殆ど洗濯物じゃない」
「メシを作るっつーことは俺の食生活を支えることになる」
「まあ、そうかしら」
それで? と小首を傾げたまもりを、ヒル魔は少しの間の後。
「ひゃっ」
ぐい、と抱き寄せてその腕に納めた。
「テメェがその気になれば、俺を殺すことが可能な距離にいるわけだ」
「・・・!?」
急に告げられた物騒な内容に、まもりは抱き寄せられたことに抗議する前に目を見開き彼を見つめた。
「寝込みを襲うことも、銃を奪って撃つことも、食事に毒を盛ることだって出来るだろ」
「や、そ、・・・んなこと、しないわよ!!」
「するかしねぇかじゃねぇ。可能性として出来るだろ、っつってんだ」
「そう、だけど」
「俺が命の危険があるのに他人を自分の領域に入れる訳がねぇ」
「私、入ってるでしょ」
「他人じゃねぇだろ」
その一言にまもりは瞠目した。そうして、間近にあるヒル魔を無言のまま見つめる。
ヒル魔はにやにやと笑ったままだ。
「テメェは俺のもんだ」
まもりは言葉も発することが出来ず、ぱくぱくと口を開閉させた。
いつそんな話になったのだ。
そもそも二人に恋愛感情はなく、今まで同じ屋根の下にいても色っぽい話の一つもなかったのに。
「なっ・・・自意識過剰だわ!」
「ホー。じゃあ言わせてもらうが」
ヒル魔は眸を細める。
「名前呼んだくらいで赤面して固まるのは何故だ?」
「それは、ヒル魔くんが私のこと名前で呼ぶことなんてなかったしびっくりしただけで」
「驚くなら判るが、赤面は?」
「・・・」
大体、と彼は飄々としたまま続ける。
「俺の事が嫌でたまらねぇなら、全力で逃げるはずだろうが」
抵抗もしないで、と言われてまもりは問う。
「逃げさせてくれるの?」
「俺は去る者は追わねぇ主義だぞ」
デス・マーチの時の参加不参加の問いかけ。
あまりの厳しさに逃げだそうとした部員を恐怖で縛り付けることもしなかった。
「逃げねぇのか?」
にやにやと笑う彼の手は、いつの間にか離されている。
誰もまもりを縛り付けていない。
それでも彼の眸は笑っておらず、先ほどの台所での一幕ではまもりを引き留めた。
「じゃあ、もしかして、ヒル魔くんは私のことが好きなの?」
恐る恐る尋ねてみるが、ヒル魔はふんと鼻を鳴らすだけ。
「テメェは俺のもんなのは確定だ。好きだの嫌いだの言う以前にな」
あくまで軽い口調だが、そういう口調の時こそ彼の言うことは重い。
「テメェもそうだろ」
傲岸不遜な態度そのままのヒル魔に、まもりは口を覆い、俯く。
しばしの沈黙の後。
「・・・違うと思う」
「ア?」
「私がヒル魔くんに好きとかあり得ない」
あり得ないわ、とまもりはもう一度繰り返してヒル魔を見る。
「だって好きとか愛してるとかそういうのって、もっとこう・・・劇的なんじゃないの?」
困惑しきり、という顔のまもりをヒル魔はじっと見つめている。
その沈黙に気づかずまもりは更に続けた。
「こんな風になし崩しでたまたま一緒にいるだけなのに、ヒル魔くんが恋愛対象とかそういうんじゃ」
段々ヒル魔の目が据わってきているのにまもりはここにきてようやく気づいた。
ぱくん、と語尾を飲み込む。
「テメェは恋に恋する糞小学生か」
「そんなこと」
「あるだろ。実際に今、糞甘臭ェ持論展開しやがっただろうが」
「ちが」
ヒル魔は舌打ちすると、ぐい、とまもりに顔を近づけた。
あまりの近さに、キスをされるかも、と身体を硬くする。
息が掛かるくらいの距離に自然と息を抑えてしまった。
「・・・逃げねぇのか?」
二度目の問いかけは低い囁き。
まるで蛇に睨まれた蛙のように身じろぎ一つ出来ないまもりに、ヒル魔は口角を上げる。
「まもり」
「ッ、名前、呼ばないで・・・」
「いつもは糞マネって呼ぶなって煩ェくせに」
低く喉の奥で笑うヒル魔から逃れるのは簡単だ。
何せ、単に膝に載せられているだけで、身体を押さえられている訳ではないのだ。
ただ身体を引いて足を床に付き、数歩下がるだけでいい。
今なら冗談に出来る。何勘違いしちゃったの、と笑える。
まもりに選択肢を委ねたヒル魔は、それでもじっとまもりを見つめる。
じりじりと火傷しそうな視線の強さだけで、動けない。
「これは、恋、なの?」
「さぁな」
浅くなる呼吸に、応じるヒル魔の声も掠れる。
「テメェの夢も俺がまとめて面倒みてやる」
まもりの頬に彼の指が触れた。
「テメェは俺のもんだからな」
柔らかく肌を辿るぬくもりに、まもりは震える吐息を零す。
やがて。
まもりが小さく頷いたとき、契約のように唇が重なった。
***
amor様リクエスト『大学に行っても相変わらずの二人だけどそんな関係を打破する話』でした。
いつもひねりすぎるので、たまには直球ストレートでチャレンジしましたよ!
最近押せ押せなヒル魔さんがプチマイブームのようです。
リクエストありがとうございました~!
「いやだからそれって、便利な家政婦っていうことでしょ!?」
「糞鈍い鈍いと思っていたが、想像を絶する鈍さだな」
とんでもない体勢にバランスが取れず、わたわたするまもりの腰を捕らえて、ヒル魔は嘆息した。
「自宅に上げる、っつーことはテメェは俺の無防備な姿を見ることになる」
「? そうね」
「私物を片付ける、っつーことは俺の情報を得ることになる」
「殆ど洗濯物じゃない」
「メシを作るっつーことは俺の食生活を支えることになる」
「まあ、そうかしら」
それで? と小首を傾げたまもりを、ヒル魔は少しの間の後。
「ひゃっ」
ぐい、と抱き寄せてその腕に納めた。
「テメェがその気になれば、俺を殺すことが可能な距離にいるわけだ」
「・・・!?」
急に告げられた物騒な内容に、まもりは抱き寄せられたことに抗議する前に目を見開き彼を見つめた。
「寝込みを襲うことも、銃を奪って撃つことも、食事に毒を盛ることだって出来るだろ」
「や、そ、・・・んなこと、しないわよ!!」
「するかしねぇかじゃねぇ。可能性として出来るだろ、っつってんだ」
「そう、だけど」
「俺が命の危険があるのに他人を自分の領域に入れる訳がねぇ」
「私、入ってるでしょ」
「他人じゃねぇだろ」
その一言にまもりは瞠目した。そうして、間近にあるヒル魔を無言のまま見つめる。
ヒル魔はにやにやと笑ったままだ。
「テメェは俺のもんだ」
まもりは言葉も発することが出来ず、ぱくぱくと口を開閉させた。
いつそんな話になったのだ。
そもそも二人に恋愛感情はなく、今まで同じ屋根の下にいても色っぽい話の一つもなかったのに。
「なっ・・・自意識過剰だわ!」
「ホー。じゃあ言わせてもらうが」
ヒル魔は眸を細める。
「名前呼んだくらいで赤面して固まるのは何故だ?」
「それは、ヒル魔くんが私のこと名前で呼ぶことなんてなかったしびっくりしただけで」
「驚くなら判るが、赤面は?」
「・・・」
大体、と彼は飄々としたまま続ける。
「俺の事が嫌でたまらねぇなら、全力で逃げるはずだろうが」
抵抗もしないで、と言われてまもりは問う。
「逃げさせてくれるの?」
「俺は去る者は追わねぇ主義だぞ」
デス・マーチの時の参加不参加の問いかけ。
あまりの厳しさに逃げだそうとした部員を恐怖で縛り付けることもしなかった。
「逃げねぇのか?」
にやにやと笑う彼の手は、いつの間にか離されている。
誰もまもりを縛り付けていない。
それでも彼の眸は笑っておらず、先ほどの台所での一幕ではまもりを引き留めた。
「じゃあ、もしかして、ヒル魔くんは私のことが好きなの?」
恐る恐る尋ねてみるが、ヒル魔はふんと鼻を鳴らすだけ。
「テメェは俺のもんなのは確定だ。好きだの嫌いだの言う以前にな」
あくまで軽い口調だが、そういう口調の時こそ彼の言うことは重い。
「テメェもそうだろ」
傲岸不遜な態度そのままのヒル魔に、まもりは口を覆い、俯く。
しばしの沈黙の後。
「・・・違うと思う」
「ア?」
「私がヒル魔くんに好きとかあり得ない」
あり得ないわ、とまもりはもう一度繰り返してヒル魔を見る。
「だって好きとか愛してるとかそういうのって、もっとこう・・・劇的なんじゃないの?」
困惑しきり、という顔のまもりをヒル魔はじっと見つめている。
その沈黙に気づかずまもりは更に続けた。
「こんな風になし崩しでたまたま一緒にいるだけなのに、ヒル魔くんが恋愛対象とかそういうんじゃ」
段々ヒル魔の目が据わってきているのにまもりはここにきてようやく気づいた。
ぱくん、と語尾を飲み込む。
「テメェは恋に恋する糞小学生か」
「そんなこと」
「あるだろ。実際に今、糞甘臭ェ持論展開しやがっただろうが」
「ちが」
ヒル魔は舌打ちすると、ぐい、とまもりに顔を近づけた。
あまりの近さに、キスをされるかも、と身体を硬くする。
息が掛かるくらいの距離に自然と息を抑えてしまった。
「・・・逃げねぇのか?」
二度目の問いかけは低い囁き。
まるで蛇に睨まれた蛙のように身じろぎ一つ出来ないまもりに、ヒル魔は口角を上げる。
「まもり」
「ッ、名前、呼ばないで・・・」
「いつもは糞マネって呼ぶなって煩ェくせに」
低く喉の奥で笑うヒル魔から逃れるのは簡単だ。
何せ、単に膝に載せられているだけで、身体を押さえられている訳ではないのだ。
ただ身体を引いて足を床に付き、数歩下がるだけでいい。
今なら冗談に出来る。何勘違いしちゃったの、と笑える。
まもりに選択肢を委ねたヒル魔は、それでもじっとまもりを見つめる。
じりじりと火傷しそうな視線の強さだけで、動けない。
「これは、恋、なの?」
「さぁな」
浅くなる呼吸に、応じるヒル魔の声も掠れる。
「テメェの夢も俺がまとめて面倒みてやる」
まもりの頬に彼の指が触れた。
「テメェは俺のもんだからな」
柔らかく肌を辿るぬくもりに、まもりは震える吐息を零す。
やがて。
まもりが小さく頷いたとき、契約のように唇が重なった。
***
amor様リクエスト『大学に行っても相変わらずの二人だけどそんな関係を打破する話』でした。
いつもひねりすぎるので、たまには直球ストレートでチャレンジしましたよ!
最近押せ押せなヒル魔さんがプチマイブームのようです。
リクエストありがとうございました~!
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HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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