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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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絶対勝者(下)


+ + + + + + + + + +
「嫌な男に捕まって抵抗しねぇテメェじゃねぇだろ」
「っ、だって」
「『だって』?」
鸚鵡返しにするヒル魔くんを睨む。
けれど私が睨み付けたところで全然堪えてないみたい。
「き、嫌いよ」
思いっきり叫びたかったのに、声は思った以上に小さくて自分でびっくり。
「ホー?」
絶対信じてない。にやにや笑って全然気にしてない。
「嫌い嫌い嫌い! 大嫌いなんだから!」
「ホホー?」
ぐい、と後頭部を掴まれてヒル魔くんの胸に顔を押しつけられた。
「相変わらず抵抗もなしで、ンな真っ赤な顔してやがるのにか?」
「・・・!!」
ばくばく言う心臓が煩くてたまらない。
でも、認めたくない。負けたくない。
「さっさと言え」
言う? 何に? ぐるぐる回る思考の渦の、発端を思い出す。
返事。酷薄の・・・じゃなかった告白の。
好きって言われたことの。
・・・待って。
「私のことが、好き、なの?」
「テメェ一度耳鼻科に行った方がいいんじゃねぇか」
いや、それより脳外科か、なんて飄々と言われて私はむっと眉を寄せた。
「さっき聞いたことも覚えてられないなんてなァ」
完全にバカにしている。・・・んもう! 見てらっしゃい!
「ヒル魔くん、私に惚れたのね?」
「ア?」
もぞもぞ動いてヒル魔くんの胸から顔を上げて、まっすぐに見上げる。
視線をばっちり合わせて息を吸い込んだ。
「恋愛はね、惚れた方が負けなのよ! だからヒル魔くんの方が負けってことよ!」
どうだ! と言わんばかりの態度で言い放ったらヒル魔くんは僅かに目を見開いた。
あ、かわいいかも。
・・・ヒル魔くんがかわいいなんて私も相当危ない人みたいだわ。
そんなことを考えてたら、不意に近づいた影に気づくのが遅れた。
「え」
ふに、って感触が唇にあった。今、何、されたの?
ミントの匂いが一段と強くなった。影が少し離れて、ヒル魔くんの顔になる。
「誰が負けだと?」
「なっ、ななななな・・・・!!」
「叫んだら今度は舌入れるぞ」
「っ!?」
慌てて自分で自分の口を塞いで、超至近距離のヒル魔くんの眸を見つめる。
今この人なんかすごい事言った気がします。
ということは、さっきの・・・やっぱりキスだったのかしら。
ちょっと! 人の初キスを! 何平然と奪ってくれてるのヒル魔くんてば!!
焦る私を見下ろして、ヒル魔くんは口角をつり上げた。
「惚れた方が勝ちだ。実際今、テメェは何か俺に勝ってるか?」
「・・・しゅ、主導権とか」
口を塞いでいた手を離し、ぎゅう、とヒル魔くんのジャケットを握りしめて言ってみたけれど。
「ねぇだろ」
一刀両断。言葉を失った私の手をぐいっと自分の背中に回させて、もう一回抱きしめられた。
背中・・・広い。
「おら、言え」
はいかYesでしか認めない答えを執拗に求められる。
言いたくない。非ッ常に言いたくない!
だからせめて、それ以外で答えよう。
「・・・悔しい」
お互いにお互いを抱きしめるようなこの格好で、初めてヒル魔くんの身体に触れた。
足とか背中とか、一部分じゃなくて、全部に。
あったかい。冬なんて忘れそうなくらい、あたたかすぎる。
「こんなに嬉しいとか、悔しい」
思い切りヒル魔くんを抱きしめる。がっしりした、男の人の身体。
喉の奥で笑って、ヒル魔くんが私の髪に唇を寄せる。
「糞素直じゃねぇなァ」
「素直じゃない人代表のヒル魔くんに言われるのは甚だ心外です」
「ホー」
ふわ、と身体が浮いた。私を抱き上げるのはたくましい腕。
「な、なに」
「もうすぐ授業のお時間デスヨ」
「・・・っ」
慌てて腕時計を見ると、予鈴が鳴る直前。
嘘、もうそんな時間!? って、ヒル魔くん、何、私をお姫様抱っことかしてるの?!
「な、なんでこんな体勢、ちょっと!」
「ア? テメェ今腰抜けてんだろ」
「・・・」
なんでばれてるの。
少し先ほどより高くなった視点から見れば、ヒル魔くんは当然とばかりにやにやと笑った。
「あんだけもたれ掛かってきておいて何抜かす」
「・・・ち」
「違うっつーんならここで下ろすぞ」
まだ屋上にいる私たち。
ここで下ろされて腰が復活するまで・・・ダメだわ、立ち上がれないし戻りづらくて風邪引いちゃう。
でもこのまま教室まで運ばれたら間違いなく私とヒル魔くんが付き合ってる認定されるわけで。
恥ずかしすぎる! と暴れてみたけれど全然ものともしない。
ヒル魔くん、部活引退してても鍛えてるんだなあ・・・。
「別にいいだろ。見せびらかしとけ」
ケケケ、と笑うヒル魔くんは器用に私を抱いたまま扉を開き、階段を下りる。
ああ、まだ予鈴前でざわめく生徒の声が聞こえる。
「痛ッ!!」
がぶ、と首筋に噛みつかれた。突然のことと痛みに声を上げたけれど、ヒル魔くんは全く気にせず咬み跡を舐めた。
「何?! ちょ・・・やめて! もう!」
ヒル魔くんの頭を押しやろうと思ったけど、固められた髪が手のひらにちくちくと痛いだけでろくに力も入らない。
嘘みたい。いつもの私の力はどこに行っちゃったのかしら。
「とりあえず、手付けだ」
「え?」
楽しげに笑うヒル魔くんは本当に上機嫌で、そうさせているのがアメフトではなく私だと思ったら、急に力が抜ける。
ああ、また顔が熱い。ぽす、とヒル魔くんにもたれ掛かって嘆息した。
私を抱えているなんて思わせない軽い足取りでヒル魔くんは歩いて行く。
「行くぞ」
廊下にさしかかる直前、掛けられた声を合図に私は瞳を閉じた。

<了>

***
思いっきり押せ押せのヒル魔さんが書きたくなって書いてみました。
ネットを彷徨ってたらとっても面白い作家さんがいらしたのでその書き方をまねてみようと思いましたがあえなく挫折した感満載です。
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無題
うっはー…(*´д`*)
鳥さんの小説はいっつも、私をドキドキさせるけど、
今回のはいつにも増して
ドキドキと妄想と興奮が止まらないーー!
RM 2010/10/15(Fri)09:32 編集
無題
いつも、ヒルまもの小説が更新されるのを楽しみにしています。
ヒルまも大好きです!
ユカチカ 2010/10/14(Thu)18:44 編集
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