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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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証の箱(上)

(ヒルまも)
※大学生の二人です。他のシリーズとはつながっていません。
※リクエスト作品。

+ + + + + + + + + +
例えば、帳簿をまとめていたりするとき。
例えば、部屋の掃除を任されているとき。
いつものように、いつもの通り、何の疑いもなく蛭魔妖一の家事の一切を担っていたりする現在。
・・・私の存在って一体何だろう。
そう考え至った姉崎まもり(20歳)が料理を作る手の動きを止めたのは、至極当然の成り行きだった。
高校の時から、まもりはマネージャーとしてヒル魔の面倒を見ていた。
けれど、全て彼が中心だったわけではない。
当初一番の中心はセナだったし、彼がアイシールド21と同一人物だと知れた時からは部員全てに平等に接していたはずだ。
それなのに。
高校を卒業し、何故か同じ大学に行くことになり、同じ部活で高校時代と同じように部長とマネージャーという関係を続けている。
傍目から見れば間違いなく腐れ縁。高校二年から実に四年以上も付き合い続けているのだと互いの関係の長さに驚く。
今は同じマンションの隣の部屋に生活している。
どうやらヒル魔が手を回したようだが、当初は不慣れな土地に見知った人物が隣にいる心強さを優先させてそのことは不問にしていた。
今になって思えば、その時に憤然と文句を連ねるべきだったのだ。
ごく当たり前のように生活能力の乏しいヒル魔の面倒を見るハメになり、学業と部活とアルバイトを成り立たせようと頑張ると、自分の時間はあまりにも少なかった。
それでも最後の学生生活、高校の時には出来なかった恋愛にも挑戦しようと意気込んでいたのに、結果として未だ彼氏の一人も出来ずじまい。あれほど男子生徒の多い部活にいたにも関わらず、だ。
ふう、とため息をつく。
この先、部活も引退して就職活動に専念し、就職して新しい環境に入ってそこで彼氏を見つけて・・・という人生設計を思い浮かべてみたけれど、どうにも現実感がわかない。
保育園か小学校の先生になるのが希望だから、そのための勉強はずっとしてきたし、そうなることに迷いはない。
けれどその職場で恋愛云々というのがあまりに自分にそぐわないような気がする。
大体女性が多い職場だろうし相手を見つけるのは至難の業かも―――言い訳じみているのは重々承知。
かといって別の人間関係を、と考えてもなんだかぼんやりしていて像を結ばない。
うんうん唸っていたら。
「おい、鍋吹いてるぞ」
「あら大変」
ガスの火を弱めて、声の主の方を見る。
いつも通り黒い服を着ていつも通りの顔つきをした蛭魔妖一(多分20歳)がそこに立っている。
足音がしないのはもう慣れたし、近くにいることにも違和感がない。
というかここはヒル魔の家なので彼が居ることはなんらおかしいことはない。
「何しけたツラしてやがる」
「私の将来設計についてちょっと考えてたの」
「ア?」
訝しげなヒル魔を余所に、まもりは黙々と料理を作る。
が、ふと思いついてヒル魔に質問をすることにした。
「ヒル魔くん、就職はどうするの?」
「俺がンなもんすると思ってるのか」
人に頭を下げるということが出来なそうだとは思っているが、いざとなればそれくらいしそうだし、どちらとも言えない。
「社会人アメフトやるならアリかなー、って。でも、起業もしそうなのよね。どっち?」
ヒル魔は人を使うことが脅迫手帳抜きにしても巧いので、そういう道もあっさりと極めそうだ。
まもりの言葉にヒル魔はにやりと口角を上げる。
「俺の将来設計、聞きたいか?」
「あるの? 行き当たりばったりみたいな気がしたけど」
「無計画に進むなんざ糞無鉄砲なマネするわけねぇだろ」
「そっか」
過去に、部員もギリギリの数しかいない弱小の泥門高校アメフト部でクリスマスボウルに行く、という無謀きわまりないと思えた夢を叶えた彼の計画と実行力。彼の人生もきっと、端から見ればとんでもない形の計画を元に着実に積み重ねられていくことだろう。
「まず起業して徐々に事業規模を拡大、五年以内に一部上場を果たす。平行して社会人アメフト部を創設、三年以内にJAPAN X BOWLで優勝する。その後は世界進出だ。会社もアメフトもな」
生き生きと目標を語るヒル魔に、まもりは肩をすくめた。
納得する気持ちが大きく、そんな途方もない目標を掲げるなんて、という否定意見は出てこない。
「随分な自信ですこと。そこに集まる人は大変でしょうね」
「当然だろ。覚悟しろよ」
腕を組んで見下ろすヒル魔の発言にまもりは眉を寄せた。
「え?」
一体何を覚悟するの、と。
表情だけで語ると、ヒル魔がぴん、と片眉を上げた。
「テメェの就職先は俺の会社だ」
「・・・何言ってるの?」
「それはこっちの台詞だ」
まもりは眉を寄せて包丁をまな板に置いてヒル魔に向き直った。
動揺したときに刃物を持つのは非常に危険だ。
怪我などしたりさせたりしたらとんでもないコトになる。いろんな意味で。
「私の将来の夢、知ってるわよね?」
知らぬはずがあるまい、と匂わせればヒル魔はあっさりと頷いた。
「糞保母か糞教師だろ」
「ふぁ・・・は、いりません! もう!」
相変わらずの発言に注意しつつ、まもりは言葉を続ける。
「ヒル魔くんが起業する業界は保育園関係でも学校関係でもないわよね?」
「おー」
「だったら! 私がヒル魔くんの会社に入るはずないでしょ! 保母さんにも先生にもなれないじゃない!」
ごく当たり前に反論したまもりだったが。
「俺の会社に入るのとテメェが夢諦めんのとイコールにはならねぇだろ」
さらっと問い返され、まもりは呆気にとられた。

<続>
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