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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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木枯らし一号

(ヒルまも)

+ + + + + + + + + +
徐々に夜が長くなり、吹き付ける風も冷たくなり始める秋。
制服のジャケットだけでは寒さを凌ぎきれなくなる頃。
無防備にさらけ出された彼の手を見て、まもりはヒル魔を見上げた。
「ねえ、ヒル魔くんは手袋しないの?」
「ア?」
「寒いでしょう?」
「ベツニ」
ヒル魔は唇を尖らせるまもりを一瞥し部室の鍵を閉めた。
「手袋一つあるだけで全然違うわよ」
「イラネ」
そのまま踵を返しすたすたと歩き始めるヒル魔に、まもりは小走りに追いつく。
「ヒル魔くんの手、指長いから既製品だと合わなそうよね。編もうか?」
まもりの手は毛糸の手袋に覆われている。
「いらねぇっつってんだろ」
「なんで?」
「必要ねぇから」
「なんで?」
「・・・」
ヒル魔は眉を寄せてなおも隣で声を上げるまもりを見下ろした。
「俺のポジションを考えろ」
「試合中はQBだからグローブ必要ないっていうのは知ってるけど、それとこれとは違うじゃない」
手袋は防寒具よ、とヒル魔の袖を引いて言うまもりにヒル魔は小さく舌打ちする。
「馴染みがないからそう思うだけで、してみたらいいかもよ」
ねえねえ、と纏わり付くまもりの手をヒル魔は振り払う。
そうして。
「ちょっ・・・と!」
まもりの手を、掴む。
「寒くねぇんだよ」
ほらな、と。
手袋越しにも、彼の手のひらがあたたかいのが知れて、まもりは口をつぐむ。
「この上手袋まで嵌めたら暑ィ」
判ったか、と言いたげな視線を受けて、まもりは少々言葉を失っていたが。
「・・・そっか。ヒル魔くんは心が冷たいから手が熱いんですね」
ヒル魔はピン、と片眉を上げる。
その手をまもりが握り返してきたことと、その頬が寒さばかりのせいでなく赤いことにはあえて目を瞑って。
「何かしこまってらっしゃるんですかね、糞風紀委員様?」
そこだけはからかっても。
「べつに?」
手は、そのままに。

ほんの僅か、寒さを知らぬ悪魔に手を引かれて、行く家路。


***
ネットに接続できない間にファイル整理をしていたら出てきた小話。
なんか前にも似たような話を書いたような気もしなくもない(曖昧すぎる)。
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