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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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それすらも、青

(ヒルまも)


+ + + + + + + + + +
じりじりと腹の底が焦げ付く感じ。
焦げて出た煙は俺の体内を一杯にしようとその黒い触手を伸ばし、心臓をつかみ取ろうと画策する。
体内が黒く燻され、それは表皮にも及び、黒く塗りつぶされる。
それは俺を染めるだけに留まらず、表面へと広がる。
段々と全てが色あせていき、黒に飲み込まれていき。
結果全ては、黒になる。
「・・・ヒル魔くん! ちょっと、ヒル魔くんってば!」
「――――――――・・・ア?」
ぱちり、と目を瞬かせる。
目の前数㎝に糞マネの顔。
近すぎる。
部室に来たものの、なんとなく気分が乗らなかった。
ただぼんやりと椅子に座っていたのだが、いつの間にこいつはここまで近づいたのか。
「ぼーっとしちゃって。何か悪い物を食べたか飲んだか身体に埋め込んだのかしたの?」
「体調が悪いっていう選択肢はなしか」
「そんな顔してないわよ」
こんなにいい天気でぼんやりしてるなんてらしくないわね、と笑われる。
「俺らしいってなんだ」
「・・・やっぱりなにか埋め込んだりしたんじゃないの?」
「答えろ」
「とりあえず着替えてグラウンドに出る事じゃないかしら」
見て、と言ってドアを開いて、見えるのは真っ青な空。
「ほら、絶好のアメフト日和よ」
それがあまりにも清々しい笑顔で、俺は脱力する。
俺だって稀にはこんな焦燥に囚われることだってあるのだと説明したかったが、したところでらしくない、と一笑されそうでその後は飲み込んだ。
「こんなにいい天気なんだもの、外で叫んだ方がいいわよ」
「オヤ糞風紀委員様が騒音推奨」
「ここに溜め込むよりはずっといいわ」
近寄ってきた糞マネに、とん、と軽く指先で胸元をつつかれる。
「大丈夫よ。ヒル魔くん一人の焦燥で汚れる空じゃないわ」
「・・・そりゃ、随分な表現デスコト」
見透かされたことに返答が一瞬遅れた。それだけで糞マネは全てを承知した、という顔でにこりと笑う。
その瞳までもが全てを飲み込むような清々しい青。
俺は仕方ない、という素振りで立ち上がってロッカールームへ向かう。
 
 
俺の中に燻る黒は、グラウンドに出る頃には青が全て浚って飲み込んでしまっていて、単純な自分に俺はため息を空に吐き出した。

それすらも、青。

***
青春ですねヒル魔さん! 思いの外青い感じになりました。たまにはまもりに何もかも見透かされるのもアリかな、と。思い悩む彼、というのが想像できなくていつも苦労します。
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