旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
糞マネの様子が変わったのは、一足遅く糞インフルエンザに掛かり、一週間部活に出てこられなかった後のことだ。
糞デブと糞ジジイと道を分かち、次の目標をライスボウルに設定した。
この段階で俺の進学先は最京大に決定。
社会人枠で糞ジジイ、関東大学枠で糞デブとなれば関西は俺、となる。
実に簡単な話だ。
他の連中は放っておいてもアメフトが一番強い大学、という看板につられて来るだろうから戦力確保は問題なかった。
特に糞ドレッドなんかはその典型だな。
当然ながら選手層の厚さは泥門の比ではない。現に部員は二〇〇人を越える。
俺も身体能力だけではレギュラーメンバー入りが危ぶまれる位置にいる。
そうなればもう一つの能力、頭脳戦に持ち込むのが俺のやり方だ。
そこに欠かせない、外側からの情報伝達手段を持っているのは糞マネだ。
生憎と俺は他の連中にこの戦力を渡すつもりは全くなかった。
当人としても口では散々文句を言いながらついてきたから、大したこだわりはなかっただろう。
と、単純にそうとだけ考えていたわけだが。
「なんだ、テメェら喧嘩でもしたのか?」
まもりちゃんが遠いぞ、と。
糞ドレッドが今年入った女子マネを両脇に侍らせながら突っ込んできた。
ドリンクを飲みながらニヤニヤと笑う顔にちらりと視線だけ投げた。
そんなことは言われなくても判ってる。
糞マネは俺とは丁度グラウンドを挟んで反対側にいる連中にドリンクを配ったりしながら動いていて、こちらに来る気配はない。
無言でガムを膨らませていると、俺の傍らにも女子マネが駆け寄ってきた。
「はい、ヒル魔くんのドリンクでぇす! あとタオルも!」
「・・・おー」
それに口をつけながら、俺は選手のデータを探すべく視線を動かした。
「あ、データですかぁ? はいっ!」
「・・・おー」
ドリンクを寄越した女子マネが束になったデータを寄越す。
データはデータだが、そのまとまりのなさに俺は内心げんなりした。
・・・どうせ寄越すなら表にしてフリップに挟んでペンと一緒に渡せ。
ちらりと視線を向ければ、糞マネより低い位置にある女が笑顔でこちらを伺っている。
『私ってば気が利いて使えるいい女子マネでしょ!』
・・・という自己満足が顔に書かれていて鬱陶しいことこの上ない。
・・・が、とりあえず目的は果たしたので突っ込むこともせず、飲み終えたドリンクのボトルを押しつける。
女子マネは不服そうな顔をしてこちらを見ていたが相手にはしない。
「栗尾さーん、こっちもお願ーい」
「はぁーい・・・」
美人とは言い難く、愛嬌があるという表現がしっくりくる女子マネが渋々立ち去り、俺は小さく息をついた。
「ディオールだな」
「ア?」
「随分なお嬢様なんだろ? あの子」
ひく、と鼻をうごめかせて糞ドレッドが俺の傍らで笑うのを見て、ああ香水の話か、と気づいた。
なんだかこう、糞ドレッドの野郎が世界大会から随分と懐いた気がするのは俺だけじゃないだろう。
糞マネも『なんだかんだで阿含くんってヒル魔くんのこと好きよね』なんつー、気色の悪い事を抜かしてやがったし。
・・・しかし。
「糞化粧臭ェ」
ジャージで厚塗り甚だしい化粧で練習出ても意味ねぇだろうに。
汗で流れちまうか、油で浮くかだろ。
俺の内心を察知したか、糞ドレッドはにやりと笑う。
「それが女ってやつだろ」
したり顔で纏わり付く糞ドレッドの背後から、糞丸ハゲの低い声が響く。
「練習再開するぞ! 集まれ!」
その声に俺たちは練習へと戻る。
結局こっちをちらちらと見つつも、一度も近寄ってこなかった糞マネのことを意識から閉め出すために。
<続>
糞デブと糞ジジイと道を分かち、次の目標をライスボウルに設定した。
この段階で俺の進学先は最京大に決定。
社会人枠で糞ジジイ、関東大学枠で糞デブとなれば関西は俺、となる。
実に簡単な話だ。
他の連中は放っておいてもアメフトが一番強い大学、という看板につられて来るだろうから戦力確保は問題なかった。
特に糞ドレッドなんかはその典型だな。
当然ながら選手層の厚さは泥門の比ではない。現に部員は二〇〇人を越える。
俺も身体能力だけではレギュラーメンバー入りが危ぶまれる位置にいる。
そうなればもう一つの能力、頭脳戦に持ち込むのが俺のやり方だ。
そこに欠かせない、外側からの情報伝達手段を持っているのは糞マネだ。
生憎と俺は他の連中にこの戦力を渡すつもりは全くなかった。
当人としても口では散々文句を言いながらついてきたから、大したこだわりはなかっただろう。
と、単純にそうとだけ考えていたわけだが。
「なんだ、テメェら喧嘩でもしたのか?」
まもりちゃんが遠いぞ、と。
糞ドレッドが今年入った女子マネを両脇に侍らせながら突っ込んできた。
ドリンクを飲みながらニヤニヤと笑う顔にちらりと視線だけ投げた。
そんなことは言われなくても判ってる。
糞マネは俺とは丁度グラウンドを挟んで反対側にいる連中にドリンクを配ったりしながら動いていて、こちらに来る気配はない。
無言でガムを膨らませていると、俺の傍らにも女子マネが駆け寄ってきた。
「はい、ヒル魔くんのドリンクでぇす! あとタオルも!」
「・・・おー」
それに口をつけながら、俺は選手のデータを探すべく視線を動かした。
「あ、データですかぁ? はいっ!」
「・・・おー」
ドリンクを寄越した女子マネが束になったデータを寄越す。
データはデータだが、そのまとまりのなさに俺は内心げんなりした。
・・・どうせ寄越すなら表にしてフリップに挟んでペンと一緒に渡せ。
ちらりと視線を向ければ、糞マネより低い位置にある女が笑顔でこちらを伺っている。
『私ってば気が利いて使えるいい女子マネでしょ!』
・・・という自己満足が顔に書かれていて鬱陶しいことこの上ない。
・・・が、とりあえず目的は果たしたので突っ込むこともせず、飲み終えたドリンクのボトルを押しつける。
女子マネは不服そうな顔をしてこちらを見ていたが相手にはしない。
「栗尾さーん、こっちもお願ーい」
「はぁーい・・・」
美人とは言い難く、愛嬌があるという表現がしっくりくる女子マネが渋々立ち去り、俺は小さく息をついた。
「ディオールだな」
「ア?」
「随分なお嬢様なんだろ? あの子」
ひく、と鼻をうごめかせて糞ドレッドが俺の傍らで笑うのを見て、ああ香水の話か、と気づいた。
なんだかこう、糞ドレッドの野郎が世界大会から随分と懐いた気がするのは俺だけじゃないだろう。
糞マネも『なんだかんだで阿含くんってヒル魔くんのこと好きよね』なんつー、気色の悪い事を抜かしてやがったし。
・・・しかし。
「糞化粧臭ェ」
ジャージで厚塗り甚だしい化粧で練習出ても意味ねぇだろうに。
汗で流れちまうか、油で浮くかだろ。
俺の内心を察知したか、糞ドレッドはにやりと笑う。
「それが女ってやつだろ」
したり顔で纏わり付く糞ドレッドの背後から、糞丸ハゲの低い声が響く。
「練習再開するぞ! 集まれ!」
その声に俺たちは練習へと戻る。
結局こっちをちらちらと見つつも、一度も近寄ってこなかった糞マネのことを意識から閉め出すために。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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