旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
糞マネがいない間、何かにつけて色々と不便だった。
新人のマネージャーたちの他にも複数人のマネージャーがいるんだが、どうにも手より口の方ばかり動かしがちだ。
仕事が出来りゃぁまだいいが、データの処理も遅い、怪我の対処も遅い、少し睨めば涙ぐむ。
そのくせ気が利くつもりなのか、俺にはやたらめったら糞化粧臭ェマネが纏わり付いてくる。
今まで女が近寄ってきたことはねぇが(この見てくれだ、自覚はある)、ここまであからさまに纏わり付かれると気分が悪ィ。
「フー・・・姉崎さんが戻ってきてくれて助かったな」
「ああ。一週間くらい大丈夫だと思ったが、なかなか」
ロッカールームで着替えながら隣で話す赤羽と番場の会話を耳に挟む。
「いくら春先でもここは汗臭かった」
「練習の後に掃除とは思っていてもそうそう要領よくできんのがよく判ったな」
「フー・・・姉崎さんの手際の良さが他の女子マネにも伝わるといいんだが」
「・・・それは酷だろう。姉崎ぐらい気が利く女性はそうそういないぞ」
そういえば、汗や泥が混じった匂いが今日はしないな、と気づく。
きっと糞マネが惨状を見て悲鳴を上げ、あのモップで掃除をしたのだと思うと口角が上がった。
汗の染みたアンダーシャツを脱ぎ捨て、着替え終える。
いつもなら洗い物も放置して出て行くのだが(そして糞マネが怒りながら籠を手に回収しに来る)、気が向いてシャツを手にロッカールームを出る。どういう反応するか、見物だ。
「あ! ヒル魔くん洗濯物持って来てくれたんだ! ありがとう!」
・・・予想外だ。
俺の目の前にいるのは着替えていてもやはり糞化粧臭ェ女子マネ。栗尾とか言ったか。
肝心の糞マネは部室内に残ってはいたが、データ処理の最中らしくこちらには目もくれない。
栗尾の声で俺が出てきたことには気づいているはずなのに、異様なくらいの無視。
「はい! ここに入れて下さぁい!」
ぱ、と差し出される籠。
そして視界の端からちらちらと飛んでくる糞マネの視線。
見れば目の前の栗尾もちらりと糞マネの方を見ている。
・・・なんだか糞面倒な予感がしやがる。
俺は舌打ちしてシャツを放り投げた。
「えっ」
目の前の籠ではなく、部室内の洗濯機横にある籠に。
「どけ」
目の前に立つ栗尾を押しのけ、俺は糞マネの向かいに腰を下ろした。
「糞マネ、コーヒー淹れろ」
「今データまとめてるところだから手が離せないわ」
顔を上げもしないで糞マネは手を動かし続ける。
相変わらずアナログ仕事は早いな、テメェ。
「あのぉ、コーヒーなら私が淹れまぁす!」
そこに栗尾がすっ飛んできた。
「姉崎さんがお休みの間は、ヒル魔くんも私が淹れたコーヒー飲んでたもんねッ!」
ねッ! のところでこちらに向かって全開の笑顔。
糞ドレッドの口癖じゃねぇが・・・ウゼェ。
そうしてこちらをちらりと伺う糞マネの視線。
笑みのない、どこか傷ついたようなそれ。なんだそのツラ。
「俺は糞マネに淹れろ、っつってんだ」
「えー、だって姉崎さんは忙しいのにぃ」
甲高く、語尾が伸びる緩い声。
鼻につく化粧の臭い。
俺の額に青筋が立つのに、糞マネが一足先に気づいた。
「あ、栗尾さん、やっぱり私が淹れるからいいわよ」
「えぇー。そんな事言ってぇ、姉崎さんがその仕事ヒル魔くんにやらせるつもりなんでしょぉ」
糞マネの目が見開かれる。
「いっつもヒル魔くんが姉崎さんのフォローしててぇ、姉崎さんばっかり楽してるっていうかぁ」
「そんなこと、ないわ」
糞マネの声が震える。
「一週間姉崎さんがいなくったってぇ、私がいれば仕事できるし、ヒル魔くんだって楽出来るでしょぉ?」
ね? と笑顔で首を傾げる女を見て、俺は口角を上げた。
多分、俺のその笑みは空恐ろしいくらい優しかったんだろう。
糞マネは正しく理解して蒼白になるし、栗尾は誤解して顔を赤くしたくれぇだからな。
<続>
新人のマネージャーたちの他にも複数人のマネージャーがいるんだが、どうにも手より口の方ばかり動かしがちだ。
仕事が出来りゃぁまだいいが、データの処理も遅い、怪我の対処も遅い、少し睨めば涙ぐむ。
そのくせ気が利くつもりなのか、俺にはやたらめったら糞化粧臭ェマネが纏わり付いてくる。
今まで女が近寄ってきたことはねぇが(この見てくれだ、自覚はある)、ここまであからさまに纏わり付かれると気分が悪ィ。
「フー・・・姉崎さんが戻ってきてくれて助かったな」
「ああ。一週間くらい大丈夫だと思ったが、なかなか」
ロッカールームで着替えながら隣で話す赤羽と番場の会話を耳に挟む。
「いくら春先でもここは汗臭かった」
「練習の後に掃除とは思っていてもそうそう要領よくできんのがよく判ったな」
「フー・・・姉崎さんの手際の良さが他の女子マネにも伝わるといいんだが」
「・・・それは酷だろう。姉崎ぐらい気が利く女性はそうそういないぞ」
そういえば、汗や泥が混じった匂いが今日はしないな、と気づく。
きっと糞マネが惨状を見て悲鳴を上げ、あのモップで掃除をしたのだと思うと口角が上がった。
汗の染みたアンダーシャツを脱ぎ捨て、着替え終える。
いつもなら洗い物も放置して出て行くのだが(そして糞マネが怒りながら籠を手に回収しに来る)、気が向いてシャツを手にロッカールームを出る。どういう反応するか、見物だ。
「あ! ヒル魔くん洗濯物持って来てくれたんだ! ありがとう!」
・・・予想外だ。
俺の目の前にいるのは着替えていてもやはり糞化粧臭ェ女子マネ。栗尾とか言ったか。
肝心の糞マネは部室内に残ってはいたが、データ処理の最中らしくこちらには目もくれない。
栗尾の声で俺が出てきたことには気づいているはずなのに、異様なくらいの無視。
「はい! ここに入れて下さぁい!」
ぱ、と差し出される籠。
そして視界の端からちらちらと飛んでくる糞マネの視線。
見れば目の前の栗尾もちらりと糞マネの方を見ている。
・・・なんだか糞面倒な予感がしやがる。
俺は舌打ちしてシャツを放り投げた。
「えっ」
目の前の籠ではなく、部室内の洗濯機横にある籠に。
「どけ」
目の前に立つ栗尾を押しのけ、俺は糞マネの向かいに腰を下ろした。
「糞マネ、コーヒー淹れろ」
「今データまとめてるところだから手が離せないわ」
顔を上げもしないで糞マネは手を動かし続ける。
相変わらずアナログ仕事は早いな、テメェ。
「あのぉ、コーヒーなら私が淹れまぁす!」
そこに栗尾がすっ飛んできた。
「姉崎さんがお休みの間は、ヒル魔くんも私が淹れたコーヒー飲んでたもんねッ!」
ねッ! のところでこちらに向かって全開の笑顔。
糞ドレッドの口癖じゃねぇが・・・ウゼェ。
そうしてこちらをちらりと伺う糞マネの視線。
笑みのない、どこか傷ついたようなそれ。なんだそのツラ。
「俺は糞マネに淹れろ、っつってんだ」
「えー、だって姉崎さんは忙しいのにぃ」
甲高く、語尾が伸びる緩い声。
鼻につく化粧の臭い。
俺の額に青筋が立つのに、糞マネが一足先に気づいた。
「あ、栗尾さん、やっぱり私が淹れるからいいわよ」
「えぇー。そんな事言ってぇ、姉崎さんがその仕事ヒル魔くんにやらせるつもりなんでしょぉ」
糞マネの目が見開かれる。
「いっつもヒル魔くんが姉崎さんのフォローしててぇ、姉崎さんばっかり楽してるっていうかぁ」
「そんなこと、ないわ」
糞マネの声が震える。
「一週間姉崎さんがいなくったってぇ、私がいれば仕事できるし、ヒル魔くんだって楽出来るでしょぉ?」
ね? と笑顔で首を傾げる女を見て、俺は口角を上げた。
多分、俺のその笑みは空恐ろしいくらい優しかったんだろう。
糞マネは正しく理解して蒼白になるし、栗尾は誤解して顔を赤くしたくれぇだからな。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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