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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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邂逅パーティー(上)

(ヒルまも一家)
※『ラプラスの悪魔』の次に位置します
※リクエスト作品


+ + + + + + + + + +
あの、関東勢が初めて関西常勝の神を打ち倒した年。
それから20年という年月が経過した。
今回、誰が言い出したかは定かではないが、その時の関東大会を盛り上げたメンバーを中心に、20周年記念パーティーが開催される運びとなった。
「ハァアア~・・・・。絶対ヒル魔の差し金だろォ」
「ハ、それ以外に考えられないよなあ」
「ハァ。それでも他校の連中と会うのは久しぶりだろ。いいじゃねぇか」
泥門高校ハァハァ三兄弟と呼ばれた三人は、会場であるホテルを前にため息をついた。
周囲を取り巻く環境が変化しても、関係は変わらず、今に至っている。
三人は嫌な予感がしつつも、久しぶりに他校の面子と顔を合わせられるとあってか、会場へと足を踏み入れたのだった。

会場は某ホテルの大広間を貸し切って行われた。
500人は入るだろう広々としたその場所も、大勢の人々でごった返している。
会場がホテルということで、それなりの格好をした面々は、大きく様変わりした者も多数いるようで、顔を合わせても判然としないことも多々あった。
「お、金剛・・・ありゃ雲水か?」
「じゃ、ねぇか? ごく普通に混じって会話してる・・・」
と、そこを通りかかった一休が二言三言会話をすると、途端に彼につかみかかられた。
「って、阿含じゃねぇか!」
「やべぇ、今俺普通に挨拶するところだった・・・!」
三人がこそこそと足を進めていくと、人混みの中からするりと抜け出してきた小さな人影。
彼は三人を見て、ぴたりと足を止めた。
「十文字くん、黒木くん、戸叶くん、久しぶり!」
「お、セナじゃねぇか」
「こないだのヒル魔の家で会った以来か?」
「そうだね」
かつてよりは身長も体重もかなり増したとはいえ、彼らから比べれば、小さなままの彼。
微笑んで立つ姿は若い頃から変わりはない。
「やー! 三人とも、久しぶり!」
今はセナの妻である鈴音も三人の元に歩み寄っていく。
三人はぱちくりと目を瞬かせた。
心持ち重い足取り、そして緩く弧を描く腹部。
「その、腹・・・」
「まさか・・・」
えへへ、とセナが頭を掻き、鈴音が胸を張る。
「えっへん! まも姐が妊娠した、っていうから、私も負けじと三人目、なのだー!」
「は、三人目かよ! 多くねぇか?」
「ハァアア? ってトガ、てめぇだって三人いんじゃねぇか、子供ォ」
「黒木だって三人だろ」
「ハァ、テメェらどんだけ作れば気が済むんだよ」
「テメェだって子供いんだろ!」
「よお三兄弟!」
「「「兄弟じゃねぇえ、サル!!!」」」
「うわあ息ピッタリ」
わあわあと泥門高校の面子が集まり始める。そこにのんびりとした声が掛けられた。
「随分と賑やかだねぇ」
「キッドさん! お久しぶりです」
穏やかな紳士然とした彼に、背後には鉄馬の姿もある。
彼らは今、アメフト協会に所属しているのだと聞いている。
あれほどに夢を追うことに躊躇いがあった彼は、結局一番夢を追い求める若者たちの手助けをする立場になったのだ。
「今回は久しぶりにみんなが来るっていうからねぇ。あっちには太陽の番場氏や原尾氏もいたよ」
「へえ! どうでした?」
「どうって・・・元気そうだったよ」
「どんな年の喰い方してんだろうな」
他の連中も見に行こうぜ、と誘うモン太に、セナもついていって会場内を歩いていく。
アメフト引退後は芸能界で活躍している桜庭と赤羽だとか。
一際抜きん出て背の高い巨深軍団に囲まれたりだとか。
地方公務員としてやっぱり地味に働いている石丸を素通りしたりとか。
プロレスラーに転向して成功している峨王と大田原に押しつぶされそうになったりとか。
色々な人々と会話をしてぐるりと会場を一周した二人は、鈴音の待つスペースへと戻ってきた。
彼女は腹を気遣い、傍らの椅子に座っている。
「そういえば、ヒル魔さんは?」
「さっき栗田先輩とムサシ先輩は見たけど、雪さんとヒル魔先輩はまだ見てねぇな」
「ゆっきーはさっき来てたよ」
医者として多忙な彼は、それでもこういった集まりがあれば律儀に参加してくれる。
「ホント?」
「それでも、こんだけ人いれば見つからないかも・・・」
「でもヒル魔さんだよ?」
「だよなあ」
と。
会場の入り口付近で、どよめきが起きる。
「な・・・」
「ヒル魔!」
その声はざわめきながら広がっていく。
「で、でも、若すぎるぞ?!」
「悪魔は年喰わないのか・・・!?」
どよめきを聞きつけて、三人はそちらへと足を進める。
人混みをかき分けて、目にしたのは、天を突く金髪。
不機嫌そうに歪んだ顔は年を取っておらず、まるで悪魔そのもの。
しかも体格が良くなってないか、と周囲はざわついている。
漆黒のスーツに合わせたシャツはシルバーグレー、更にネクタイもダークグレー。
シンプルな装いが、余計に威圧感を出している。
その顔が、セナたちを見つけてぱっと綻んだ。
「こんにちは、セナさん、モン太さん、鈴音さん!」
「・・・やっぱり」
「なんで妖介くんが来てるの?」
頬を掻き苦笑する彼を、周囲は気味が悪そうに見ている。
「いやー・・・父さんが何か悪巧みしてるって気づいた母が、俺をお目付役に、って寄越したんです」
それに納得しつつ、鈴音が尋ねる。
「で、肝心の妖兄は?」
「それが、ちょっと目を離した隙に逃げ出しちゃったんですよねー・・・」
俺の髪立てさせておいて、どこいったんだあの糞親父、とぼやく彼は、耳や背丈こそ違うが、それ以外は彼と生き写しだった。
「お三方はうちの父を見てないんですね?」
「うん。まだ今日は会ってないよ」
「目立ちそうなもんだけどな」
「ムサしゃんが向こうにいたから、そっちにいるんじゃない?」
鈴音の助言に、顔を上げた妖介だったが。
「んはっ、ヒル魔の息子?! スゲー超そっくりじゃん!」
水町が駆け寄ってきて、ばしんと彼の背中を叩く。
周囲はぎょっとしたようだが、妖介は気分を悪くした様子もなく笑みを浮かべてぺこりと挨拶する。
「こんにちは。初めまして。水町さんですね」
「うわ、ヒル魔そっくりなのにすっげ礼儀正しい!! 怖ッ!!」
「お前、それは失礼だろ」
ぎゃははは、と腹を抱えて笑う水町の頭を掴んで、筧が顔を出す。
「久しぶりだね、妖介くん」
「こんにちは、筧さん。杏奈ちゃんはお元気ですか?」
「ああ。今度また遊びに行くって言ってたよ」
「そうですか。楽しみにしてます」
ごく穏やかに笑うヒル魔、というのに戦々恐々としていた周囲は、どうやら彼が息子で本人とは全然違う性格だと認知したようだった。
「そういえば、まも姐は来てないの?」
「あかりと護が熱出しちゃって、家で付き添ってます」
「え?! 平気なの?」
「ええ。アヤも一緒にいますから、大丈夫ですよ」
鈴音と会話をしていた妖介は、ぐるりと周囲を見渡し、そして何かに気づいたようだった。
「ちょっと失礼します」
「ん?」
「どうしたんだ?」
見送る面々の、視線の先。
賑やかな会場の片隅で、頭を付き合わせているのは。
「やあ。随分久しぶりだね」
「ケケケ、まだ生きてやがったか」
「随分な挨拶だね。その言葉、そっくりそのままお返しするよ」
どこか邪悪な空気を醸し出す男二人。
王城の高見と、ヒル魔。頭脳系腹黒QBとして鎬を削った二人だ。
現在、高見は外科医として名声を馳せている。
そんな二人に、ずかずかと人影が近寄った。

<続>
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