旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
護は目の前で頭を下げる生徒を見てゆるりと表情を変える。
「仕方ないですね」
「! では・・・」
ぱ、と喜色を浮かべて顔を上げ口を開いた男に、護はにっこりと笑った。
天使と称される、柔らかな顔で。
「貴方みたいな小さな男に使われるほど僕はやすくないんですよ」
『安く』とも、『易く』とも。
どちらの意味でも話は通じる。
そしてそのまま視線を目の前のパソコンに移した。
せわしなくキーボードを叩く手は止まらない。
「僕を強引に祀り上げて体のいい位置に据え置こうだなんて随分と腐った頭ですね」
表情は温和で、声音も優しいのに、彼の口をついて出るのは尖った言葉の群れ。
それに喜色を浮かべたはずの男はそのままの表情で凍りつくこととなった。
「な・・・、ひ、人が頭を下げて頼んでるっていうのに!」
男は次第に怒りに肩を震わせ、バン、と机を叩いて怒りをあらわにする。
「貴方みたいな矮小な脳みそが入ってる頭を下げられたって価値のひとつもありません」
けれど護は手元のパソコンを見つめ、柔らかな表情を崩しもせずさらりと流した。
男は叩き付けた手を握り、再び声を荒げる。
「俺は生徒会長だぞ!? 学校内のありとあらゆる権限が使用可能な、最高役職だ! その俺の副会長に据え置いてやるっていうんだ、光栄だろ?!」
怒りに震える男の言葉にも彼は頓着しない。
「そういう言葉を隠れ蓑にして、便利に僕を使いたいだけでしょう」
護はポンとエンターキーを押して用事を済ませ、再び男に視線を戻した。
目にする男は、見た目と口先だけの派手さと到底現実不可能な公約を掲げて運良く当選した生徒会長なのだ。
生徒会長に就任した、という経歴があれば高校受験に有利。そんな打算だけで立候補した。
眸に知的な色の欠片もない、詐欺師予備軍とも呼べる性質の持ち主。
全校生徒が数人ならともかく、三桁を越えれば立候補者の人となりなど他クラス他学年が彼の実情を知りえるはずもなく。
体よく祀り上げられて仕事を回されて彼は初めて自分がいかに分不相応な役職についたのかを知ったのだ。
「自分にそういう能力がないと理解して辞職するならともかく、貴方は押し付けることしか考えていませんね」
「そんなことはない。俺はちゃんと仕事するつもりだ」
「僕が今聞く限り、貴方の仕事は僕がやった仕事の書類に判を押すだけですよね」
「そうだ。当たり前じゃないか」
自分は選ばれた人間だ。仕事は下の人間がやればいい。
誰が面倒な仕事なんてやるもんか、という言外の主張に、護は淡々と言葉を綴る。
「学校内の最高権力者であらせられる生徒会長様ともなれば職務も多岐を極め、権力と引き換えに多大な業務に忙殺される。簡単な文書作成なら更に下っ端を使うことが出来るが、少し複雑になればそれも難しい。だったらもっと使える奴をつれてきてやらせればいい」
「わかってるならおとなしく使われろよ」
不満そうな男に護はくすりと笑う。
「貴方は今、ご自分はまったく生徒会長には相応しくない器だと明言してるんですよ」
まったくめでたい頭ですね、と痛烈な皮肉を優しく柔らかく告げる護に、男は気色ばんだ。
が。
「呉橋佐和子。能美愛香。柳井玲菜」
唐突に告げられた名に、男の顔がぴしりと凍りついた。
「その年で女性を三股かけるあたりは英雄色を好む、とでも弁解するつもりですか」
見た目に相応しい軽率さですね、と護は付け足したが、男は聴いているのかいないのかわからない。
青ざめ固まり、だらだらと脂汗を垂らしている。
「生徒会長様の彼女になれる、けれど他に妬まれるからこの関係は秘密にしよう。そんな風に言って周囲に言わない女がいると思うんですか」
護はちらりと廊下を見た。
男もそちらに視線を投げかける。
<続>
「仕方ないですね」
「! では・・・」
ぱ、と喜色を浮かべて顔を上げ口を開いた男に、護はにっこりと笑った。
天使と称される、柔らかな顔で。
「貴方みたいな小さな男に使われるほど僕はやすくないんですよ」
『安く』とも、『易く』とも。
どちらの意味でも話は通じる。
そしてそのまま視線を目の前のパソコンに移した。
せわしなくキーボードを叩く手は止まらない。
「僕を強引に祀り上げて体のいい位置に据え置こうだなんて随分と腐った頭ですね」
表情は温和で、声音も優しいのに、彼の口をついて出るのは尖った言葉の群れ。
それに喜色を浮かべたはずの男はそのままの表情で凍りつくこととなった。
「な・・・、ひ、人が頭を下げて頼んでるっていうのに!」
男は次第に怒りに肩を震わせ、バン、と机を叩いて怒りをあらわにする。
「貴方みたいな矮小な脳みそが入ってる頭を下げられたって価値のひとつもありません」
けれど護は手元のパソコンを見つめ、柔らかな表情を崩しもせずさらりと流した。
男は叩き付けた手を握り、再び声を荒げる。
「俺は生徒会長だぞ!? 学校内のありとあらゆる権限が使用可能な、最高役職だ! その俺の副会長に据え置いてやるっていうんだ、光栄だろ?!」
怒りに震える男の言葉にも彼は頓着しない。
「そういう言葉を隠れ蓑にして、便利に僕を使いたいだけでしょう」
護はポンとエンターキーを押して用事を済ませ、再び男に視線を戻した。
目にする男は、見た目と口先だけの派手さと到底現実不可能な公約を掲げて運良く当選した生徒会長なのだ。
生徒会長に就任した、という経歴があれば高校受験に有利。そんな打算だけで立候補した。
眸に知的な色の欠片もない、詐欺師予備軍とも呼べる性質の持ち主。
全校生徒が数人ならともかく、三桁を越えれば立候補者の人となりなど他クラス他学年が彼の実情を知りえるはずもなく。
体よく祀り上げられて仕事を回されて彼は初めて自分がいかに分不相応な役職についたのかを知ったのだ。
「自分にそういう能力がないと理解して辞職するならともかく、貴方は押し付けることしか考えていませんね」
「そんなことはない。俺はちゃんと仕事するつもりだ」
「僕が今聞く限り、貴方の仕事は僕がやった仕事の書類に判を押すだけですよね」
「そうだ。当たり前じゃないか」
自分は選ばれた人間だ。仕事は下の人間がやればいい。
誰が面倒な仕事なんてやるもんか、という言外の主張に、護は淡々と言葉を綴る。
「学校内の最高権力者であらせられる生徒会長様ともなれば職務も多岐を極め、権力と引き換えに多大な業務に忙殺される。簡単な文書作成なら更に下っ端を使うことが出来るが、少し複雑になればそれも難しい。だったらもっと使える奴をつれてきてやらせればいい」
「わかってるならおとなしく使われろよ」
不満そうな男に護はくすりと笑う。
「貴方は今、ご自分はまったく生徒会長には相応しくない器だと明言してるんですよ」
まったくめでたい頭ですね、と痛烈な皮肉を優しく柔らかく告げる護に、男は気色ばんだ。
が。
「呉橋佐和子。能美愛香。柳井玲菜」
唐突に告げられた名に、男の顔がぴしりと凍りついた。
「その年で女性を三股かけるあたりは英雄色を好む、とでも弁解するつもりですか」
見た目に相応しい軽率さですね、と護は付け足したが、男は聴いているのかいないのかわからない。
青ざめ固まり、だらだらと脂汗を垂らしている。
「生徒会長様の彼女になれる、けれど他に妬まれるからこの関係は秘密にしよう。そんな風に言って周囲に言わない女がいると思うんですか」
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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