旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
更に翌日。
魔物が出るから近寄らない方がいいよ、と地元の民から言われている場所に、ヒル魔とまもりは足を踏み入れる。
人が立ち入らない緑は鬱蒼としており、身体に特殊な薬効のある薬を塗布していなければ漂う無数の虫に襲われること間違いなしだ。
「なんでこんな場所を行くんです? 危ないって地元の人も言っていたでしょう」
「俺とテメェだけなら問題ねぇだろ」
「まあ、普通の魔物程度なら」
ヒル魔は多分銃を携帯しているし、まもりは術を使える。
虫に刺されて変な伝染病をもらう方がよっぽど危険だし、その対策をしているのだから問題はないだろう。
多分。
「そろそろだ」
深い緑の合間から、湿った土の匂いと流れる水の音がする。
「随分水量がありますね」
緑の合間から見ても、白い水飛沫が見て取れる。
獣道を滑るように降りると、河原に出た。
そこから更に川上に進むと。
「・・・わあ!」
勢いよく落ちる滝。はるか天上から滑り落ちる水は飛沫をあたりにまき散らしている。
「凄いですね」
滝の激しい水音だけが響くが、それ以外はしんとして静かだった。
「よし」
ヒル魔は周囲をぐるりと見回して、おもむろに上着を脱いだ。
「?! 何やってるんです?!」
「ア? テメェも脱げ」
「嫌ですよ!!」
何を、と後退るまもりにヒル魔は舌打ちする。
「テメェ、今日も俺が用意した物一式着てるんだろ」
「? ええ」
「下着じゃねぇ。アレは水着だ」
まもりはぱちぱち、と瞬いた。
そういえば今日の下着、随分と素材が変わってるな、と思ったが。
ヒル魔はそれ以上まもりに何を言うわけでもなく着替え、さっさと滝壺に身体を沈ませた。
とぷん、と音を立てて。
一瞬、まもりは滝の音も忘れた。
重たい、なにか強大なモノがゆったりと水の中に沈み込んだような、そんな気がしたのだ。
じりじりと身体に纏わり付く湿気。いくら森の中が涼しくとも、季節は夏だ。
ヒル魔が沈み込んでからしばらくして、まもりはおずおずと服に手を掛けた。
水着姿になると、そっと足を水に差し入れる。
「冷た・・・」
それでも、ヒル魔は平然と泳いで対岸までたどり着いているし、水温になれてしまえばきっと心地いいはずだ。
まもりは散々逡巡したが、思い切って肩まで一気に水の中に入った。
「~~~!」
冷たさにぐっと息を詰める。けれど、すぐに暑さを一瞬にして吸い取る水の心地よさを感じた。
よし、とまもりは大きく息を吸うと水面に頭まで沈めた。
途端に普段は意識しない髪がゆらりと水の抵抗を受ける。
(青い)
水の中は深く澄んで、青い。足下を何か魚が通り抜ける感覚がある。
息継ぎを繰り返しながら、まもりはゆっくりと水の世界を泳いだ。
程なくヒル魔の元へとたどり着く。
「泳げるんだな」
「一応、訓練しましたから」
軍人たるもの、あらゆる場所に向かい任務を遂行せねばならない。
文官だった彼女にしても例外ではなく、泳ぎはきっちりと習った。
泳げない軍人などいないのだ。
「軍服を着たままの方が得意ですけどね」
「そーか」
まもりは濡れた髪を掻き上げながら、ふとヒル魔の顔を見上げた。
そうして、瞳を細める。
「綺麗ですね」
「ア?」
ヒル魔は訝しげにまもりを見返した。
「髪。濡れると少し金色が濃くなるんですね」
緑と青と薄暗い茶と灰色とがたゆたうこの場所で、ヒル魔の姿は目が眩みそうに輝いて見える。
少々の沈黙と共に視線を享受していたヒル魔は。
「・・・くしゅっ!」
まもりのくしゃみで意識を引き戻された。
<続>
魔物が出るから近寄らない方がいいよ、と地元の民から言われている場所に、ヒル魔とまもりは足を踏み入れる。
人が立ち入らない緑は鬱蒼としており、身体に特殊な薬効のある薬を塗布していなければ漂う無数の虫に襲われること間違いなしだ。
「なんでこんな場所を行くんです? 危ないって地元の人も言っていたでしょう」
「俺とテメェだけなら問題ねぇだろ」
「まあ、普通の魔物程度なら」
ヒル魔は多分銃を携帯しているし、まもりは術を使える。
虫に刺されて変な伝染病をもらう方がよっぽど危険だし、その対策をしているのだから問題はないだろう。
多分。
「そろそろだ」
深い緑の合間から、湿った土の匂いと流れる水の音がする。
「随分水量がありますね」
緑の合間から見ても、白い水飛沫が見て取れる。
獣道を滑るように降りると、河原に出た。
そこから更に川上に進むと。
「・・・わあ!」
勢いよく落ちる滝。はるか天上から滑り落ちる水は飛沫をあたりにまき散らしている。
「凄いですね」
滝の激しい水音だけが響くが、それ以外はしんとして静かだった。
「よし」
ヒル魔は周囲をぐるりと見回して、おもむろに上着を脱いだ。
「?! 何やってるんです?!」
「ア? テメェも脱げ」
「嫌ですよ!!」
何を、と後退るまもりにヒル魔は舌打ちする。
「テメェ、今日も俺が用意した物一式着てるんだろ」
「? ええ」
「下着じゃねぇ。アレは水着だ」
まもりはぱちぱち、と瞬いた。
そういえば今日の下着、随分と素材が変わってるな、と思ったが。
ヒル魔はそれ以上まもりに何を言うわけでもなく着替え、さっさと滝壺に身体を沈ませた。
とぷん、と音を立てて。
一瞬、まもりは滝の音も忘れた。
重たい、なにか強大なモノがゆったりと水の中に沈み込んだような、そんな気がしたのだ。
じりじりと身体に纏わり付く湿気。いくら森の中が涼しくとも、季節は夏だ。
ヒル魔が沈み込んでからしばらくして、まもりはおずおずと服に手を掛けた。
水着姿になると、そっと足を水に差し入れる。
「冷た・・・」
それでも、ヒル魔は平然と泳いで対岸までたどり着いているし、水温になれてしまえばきっと心地いいはずだ。
まもりは散々逡巡したが、思い切って肩まで一気に水の中に入った。
「~~~!」
冷たさにぐっと息を詰める。けれど、すぐに暑さを一瞬にして吸い取る水の心地よさを感じた。
よし、とまもりは大きく息を吸うと水面に頭まで沈めた。
途端に普段は意識しない髪がゆらりと水の抵抗を受ける。
(青い)
水の中は深く澄んで、青い。足下を何か魚が通り抜ける感覚がある。
息継ぎを繰り返しながら、まもりはゆっくりと水の世界を泳いだ。
程なくヒル魔の元へとたどり着く。
「泳げるんだな」
「一応、訓練しましたから」
軍人たるもの、あらゆる場所に向かい任務を遂行せねばならない。
文官だった彼女にしても例外ではなく、泳ぎはきっちりと習った。
泳げない軍人などいないのだ。
「軍服を着たままの方が得意ですけどね」
「そーか」
まもりは濡れた髪を掻き上げながら、ふとヒル魔の顔を見上げた。
そうして、瞳を細める。
「綺麗ですね」
「ア?」
ヒル魔は訝しげにまもりを見返した。
「髪。濡れると少し金色が濃くなるんですね」
緑と青と薄暗い茶と灰色とがたゆたうこの場所で、ヒル魔の姿は目が眩みそうに輝いて見える。
少々の沈黙と共に視線を享受していたヒル魔は。
「・・・くしゅっ!」
まもりのくしゃみで意識を引き戻された。
<続>
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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