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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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3/16にアップしたヒルまもパロ小説の続きを書いてみました。

・まもりが子供
・ヒル魔が人外
・まだまだ続くらしい
・既にヒルまもなのか怪しくなってきた

というのが許せる方は『つづきはこちら』からどうぞ。

+ + + + + + + + + +
つれてこられた場所の広大さに、改めてまもりは口をかぱっと開いてただただ立ちつくすしか出来なかった。
こんな巨大な建物、地上でも見たことない。
「バカ面晒してねえでさっさとこっちに来い」
「はいっ」
置いて行かれたら帰れない。
慌ててまもりはヒル魔の後を追う。ヒル魔は勝手知った場所という感じで、ずんずん奥に進んでいく。
早足のヒル魔に追いつこうと必死になっていたら、段々息苦しくなってくる。
どういうことだろう。ヒル魔は大丈夫そうなのに、なぜまもりだけが。
息苦しさに喘いで足を止めると、ヒル魔は訝しげにこちらを伺っている。
なんでこんなに息が切れるのか。
ぜいぜいと喘いでいると、後ろからぽんと頭に手を置かれた。
「来たのか」
ムサシだった。喘ぐまもりは息苦しいのを堪えて笑顔で頭を下げる。だがふらついてしまったのを、ムサシは無言で抱き上げると腕に抱えた。
「お前、弟子ならちゃんと面倒を見ろ」
「見てるだろ」
「人間にゃここは標高が高すぎる。忘れてるぞ」
ヒル魔は忌々しげに舌打ちする。
「ご、ごめんなさい」
「まもり嬢ちゃんが謝ることじゃない」
「ちょうどいいジジイ、そいつちょっと抱えてろ」
「何処に行く」
「登録」
ああ、と納得したムサシはまもりを抱えたまま踵を返す。
「あ、え、ムサシ様?!」
「大丈夫だ。アイツはお前さんの登録をしに行っただけだ。本人連れて行く必要はないから、その間俺がここを案内しよう」
「そ、そうですか・・・あっ、歩けます!」
「まだ息苦しいだろう」
それは事実だったので、まもりはありがたくお言葉に甘えた。
神殿は広く、天井が高いので圧迫感がない。
「ムサシ様は、雷と風のどちらの性質なのですか?」
「・・・ん? ヒル魔に聞いてないのか」
「ええ、教えてくださらないので」
「俺は…」
そこまで言いかけて、突然後ろから声が掛けられる。
「ハ? 隠し子か?」
「ハァ? なんでこんな人間の子供がここに?」
「ハァァアア? 意味がわからねぇ!!」
ムサシよりは低いが、立派な体格の男が三人。
目を丸くするまもりを不躾にじろじろ見る視線は好意的ではなく、まもりは困惑する。
「あの…」
「お前ら、こいつはヒル魔の弟子だぞ」
「「「ハァアアアァア!?」」」
あの悪魔…じゃねぇ仙人が弟子とるのか?! とどよめく様子に、まもりはどうしていいのか判らず更に困惑する。
「じゃあなんでヒル魔がいねぇんだよ」
「アイツは登録に行ってる」
「じゃあホントに弟子になったの最近なんだな」
「へーえ」
三人の中でも中心人物のような十文字傷の男が嘲るようにまもりを笑った。
「西の風神様の手を煩わせるようなガキが、ねぇ」
「え?」
きょとん、とまもりは目の前の男を見て、その後抱いてくれているムサシを見た。
「・・・え、西の風神様・・・・・・ですか?」
「ああ」
東西南北、神殿を中心に四方の地域を定め、その天候の管理をする者たちを束ねる者がいる。彼らはそれぞれの地域の風神・雷神と呼ばれる。
当然天空には八人しかいないとてもエライ人だ。
「ムサシ様がですか?!」
「そうだ」
聞くなりまもりは驚き慌てふためき腕から降りようともがくが、がっちりと押さえられていてそれはなかった。
「とんだご迷惑をお掛けしましたッ!! だからお放し下さーい!」
「おい、暴れるとまた息切れするぞ」
そんな二人を見て三人はぼそぼそと会話を続ける。
「っつーか知らなかったんか」
「それで平然としてたんか」
「・・・・・・さすが悪魔、弟子もろくに教育しやしねぇ」
その一言を聞いて、まもりの顔に怒りが浮かんだ。
「ひどいじゃないですか!!」
「はぁ?!」
「山で迷っていた私を拾ってくださったヒル魔さまをそんな風に言うなんて許せません!」
ムサシの腕の中で、まもりが怒る。
「んだとぉ?!」
「おいヤメロよ十文字」
「今のはお前が悪い」
周囲の二人が押さえつけるのを見て、ムサシはその手で軽く十文字の頭をはたく。
「イテ」
「悪いなまもり嬢ちゃん。ここは俺とこの二人に免じて許してやってくれ」
「・・・いえ、そんな。ムサシ様に謝られることじゃありませんから」
「ケッ」
「ちょっとは反省しろ、お前」
ぎゃあぎゃあわめいていると、体格のいい男がてくてく歩いてくる。
「あれーどうしたのみんな。仕事の時間だよ~」
「あ、やべ。俺ら東の雲晴らして来なきゃ」
「ムサシ様、失礼します」
「おう」
ぱたぱたと足音軽く三人がその場を去る。十文字と呼ばれた彼だけはまもりを見てふん、と鼻を鳴らしたが。
入れ違いにやってきた栗頭の男性はムサシよりも大きかったが、柔和な顔のおかげで怖くはない。
「ムサシ、誰? その子」
「ヒル魔の隠し子だ」
「弟子なの!? わーよかったねぇ! やっと弟子取ったのか~」
ムサシの冗談を軽く流したな、と思ったら。
「ええー?! 隠し子!?」
「「反応遅!」」
思わずまもりも突っ込んでしまったが、彼にムサシが冗談だ、と言ってちゃんとまもりを紹介する。
「お前さんの認識通り、この子はヒル魔の弟子だ」
「まもりです。よろしくお願いいたします」
「そっか、よかった~。僕は栗田、西の雷神だよ」
「雷神様・・・」
どう見ても穏和で優しそうで、雷なんて落としそうにないのに雷属性・・・。
そう思ったのが知れたのか、栗田はにこにこと笑顔を崩さず言った。
「雷はねー、あんまりなくてもいいんだよ。僕はどちらかというと雨を降らせるのが得意なの」
「だからって干ばつになるほど雷落とさねぇのは怠慢だな」
いきなり飛んできた声に、まもりはぱっと顔を輝かせる。
「ヒル魔さま!」
「まもり、お前の村の干ばつはそのデブのせいだぞ」
「あわわわ! ちょっとヒル魔、そりゃないよ! 僕だって仕事なんだから~!」
焦る栗田を見て、まもりはちょっと思案する。
「自然の周期に逆らって地上の人の都合のいいようにだけ天気を変える事なんてできませんよね」
「・・・ほう?」
「もしそういう風に私みたいな人一人のお願いで天気を勝手に変えられたら、地上は大混乱ですよね。だからヒル魔さまも口でどう仰ろうとムサシ様や栗田様にお願いして天気を変えようとはしなかったのではないですか?」
ムサシも栗田もその言葉で笑顔になる。
「ヒル魔には勿体ない弟子だな。どうだ、俺らのところで働かねぇか?」
「本当だよね~。僕らのところで働くなら毎日お菓子食べられるよ」
おかし・・・。
その言葉にまもりの顔つきが変わる。まもりは甘いものが何より好きなのだが、どうにもヒル魔が甘いものを好かないのでここのところサッパリ口にしていないのだ。
「このアホ風神雷神コンビ! 揃いも揃って人の弟子に登録した途端に声掛けるんじゃねぇ!」
「えっ」
その前だったら交渉したのかとまもりが発言の裏を読んで不安そうな顔をしたので思わずヒル魔は続きの言葉を飲み込んでしまう。
「・・・あはははっ!! すごーい、ヒル魔が怯んでる!」
その怒りはそのまま栗田へと向かった。
「このデブ! 笑いすぎだ!!」
「あはは、ごめんね~」
「謝ってねぇ!」
げしげし、と蹴られても栗田は笑ったままだ。
その様子を見ていたまもりは未だまもりを抱いているムサシに問いかける。
「あの、ムサシ様。ヒル魔さまの数少ないお友達って…栗田様ですか?」
「ああ」
「そうですか・・・。皆さん仲良くていいですね!」
笑顔で言いはなった彼女に、三人は顔を見合わせて苦笑するしかなかった。
と。
「ん? まもり嬢ちゃん、何か動いたぞ?」
「え?」
まもりが抱えていた球体が、確かにもぞりと動いた。
「お、そろそろか。ジジイ、そいつ下ろせ」
まもりが床に降りると、球体が動いて包みからこぼれ落ちる。
「あ!」
まもりが慌てて手を伸べても間に合わず、床に転がり落ちて割れた。
だが、その破片と共になにかが動く。
「あ・・・・・・!」
『それ』はもぞもぞと割れた球体から動き出し、まもりの目の前に姿を現した。
「猫?」
「猫か? これ」
「猫っぽいけどね…」
茶色の虎縞模様がついた『それ』は濡れそぼった毛のまま、まもりの差し伸べた手の所によろよろと歩み寄る。
「かっ・・・かわいい!」
感激しながら抱き上げると、『それ』がか細くヒァーと啼いた。
「猫にしちゃ随分とまあ短足だな」
「というか丸すぎる」
「卵が丸かったからかな?」
「「そんな訳あるか!」」
愛おしそうに丸い『それ』を抱き上げたまもりは、困惑しつつも会話をしていた大人三人を見上げる。
「この子は何ですか?」
「あ、ああ。仙人に付随する使いの獣だ」
「仙人になるときは、必ずその獣の卵を持ち歩く。まずこの卵が孵化しないと仙人の素質はゼロ」
「まず第一の試練突破だね! おめでとう!」
「え? でもヒル魔さまの獣は・・・」
「俺のはケルベロスだ」
「獣はみんな共通じゃないんですか?」
「持つヤツの性質なんかで色々変わるらしい。鳥や馬のヤツもいるぞ」
「へぇ・・・」
まじまじと見つめる手の中の毛玉。
『それ』はとても可愛らしく、次第に乾いてきた毛色は茶色というよりオレンジがかった黄色みたいだ。こちらを見上げているので、指先に当たるのは多分しっぽだろう。短い鍵しっぽだ。
「後で名前を決めてやるといい。それはまもり嬢ちゃんの半身だからな」
「そうなんですか」
そしてまもりはその子を懐に入れると、ヒル魔たちに向かって小首を傾げた。
『それ』は猫にあるべきくびれが全くない、見事な球状の生き物だった。申し訳程度に耳としっぽと足はあるけれど、いかんせん形がそれらしくないので。
「ところでこの子は猫、なんでしょうか」
「「「それは俺(僕)たちが知りたい」」」

こうしてまもりの仙人への道のりはまた一歩進んだのであった。

***
栗田&三兄弟登場。まもり付随の獣の元ネタも別のマンガから頂いたので、判る方には判るかと。
そういえば衣装の説明をしてなかったので補足なんですが、この世界では中国風の服です。
十/二/国/記や彩/雲/国/物/語みたいなのを想像して貰えるとありがたい。
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