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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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いざ、戦場へ

(軍隊上司ヒル魔とその副官まもり)

+ + + + + + + + + +

椅子にふてぶてしく構えて放たれたヒル魔の言葉に、まもりの顔が盛大に引きつった。
彼はそれを特に笑うでもなく、飄々と彼女を見上げて更に続ける。
「軍人の能力の必須項目にポーカーフェイスってあった気がするな」
「この決定に平然としていられる貴方の方がおかしいわ」
「その貴方ってのよせ。他人行儀だ」
「他人です」
「上司と部下だろ」
「階級は私の方が上です!」
「俺の方が役職は上だ」
怒りで肩を震わせながら、まもりはその場を去ろうとしたが、振り返った先で部下たちが真剣にこちらを見ていたので諦めた。
「・・・で、本気なの」
「だから言ってるだろ。次の行軍は俺たちの隊が前線に行く」
「どうして・・・」
ほぼ負け戦なのだ。前線に立とうものなら怪我は必至、下手をしたら死ぬ。
死ぬのだ。
軍はそういうところだけれど、今回の行軍は特にそういう目的であるけれど。
でも。
「お前、自分の立場わかってるか? ここは軍隊でお前は俺の副官で後ろの連中は軍人だ。俺たちが戦わねぇで誰が戦うんだ」
「判ってるわよ」
激しい練習に練習を重ね、全ては実戦で勝つために努力している軍人たち。
先ほど振り返った先の皆の目を思い出す。
あれは本気の目だ。
皆本気で勝つ気でいる。誰一人負け戦だと思っていない。
戦うことにずっとずっと怯えていたセナでさえも。
誰もが、勝利に餓えている。

彼がここに赴任したとき、隊員たちを今のように集めて言い放った。
『お前らはハッキリ言って軍人としちゃどいつもこいつも中途半端だ』
そうばっさりと切り込んで、部下をぐるりと見回した目は怜悧だった。
その時は誰もがつまらなそうに生きていた。どの隊にいてもつまはじきにされた者たちが、結局吹きだまりと称されたこの隊に組み込まれていたのだ。
隊長は気の良さだけが取り柄のような男で、その上司がまもりだった。
とはいえまもりは直接行軍には関わりのない、名を貸しただけの参謀だったのだけれど。
そこにやってきたのがヒル魔だった。
彼はとかく不穏な噂が多い人物で、その役職についていながら実力が伴っていないと評されていた。
噂ばかりが先立ち、誰も彼を知らなかった。
『だが取り柄は一つありゃあいい』
そう不敵に笑って隊員たちの特性を見抜き、指示した作戦を遂行するうちに、誰もがその手腕と強さに引き込まれていく。
いくらでも敵の裏をかき、誰にもその素顔を見せない。
冷徹と思いきや情熱的、かと思えば子供じみた悪戯を平気で行う。
目に余る行為にまもりが注意に行った先で売り言葉に買い言葉。
結局まもりも名前だけでなくこの隊に引きずり込まれた。

「さあ、行くぞ」
ヒル魔が高らかに出陣を告げる。
隊員たちの陶酔したような歓声が隊舎を揺らした。
その中で一人まもりだけは不服そうな顔で沈黙する。
―――――結局、私も同じ穴の狢なんだって認めたくないのよ。
それを表情だけで見抜いたヒル魔は、やはり楽しそうに笑った。

***
アイシーク○ストみたいな中世風ファンタジーを書きたいけれど配役を魔王と姫にして話を作らないあたりがひねくれ者です。 ヒル魔は平民出身のたたき上げの軍人でまもりは上級貴族出身の文官。
気が向いたら長編にして書きたい一品。

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