ごとりと音がして、うつろな目をした首が床に転がる。
床に広がるのは鉄錆の匂い。
「・・・血は、赤いのね」
触れるそれは温かかったのに、外気に触れて急激に冷たくなっていく。
ぬめるような感触にまるで夢見る少女のような微笑みを浮かべた彼女に、陰りはない。
「安心してね。私、料理は得意なの」
「掃除も得意だから、すぐ綺麗にするわ」
「貴方は筋張っていて堅いから、ゆっくり煮込んであげる」
「甘いモノは苦手だって言ってたから砂糖は控えめにするわね」
「髪はどうしようかしら。綺麗に剃って洗ってから考えるわ」
「爪はどうかしら。手は綺麗だったし、そのままとっておこうかしら」
「痛いことや悪いことばかり言っていた舌は焼いちゃうわ。よく回ってたから美味しいわね」
「目はすぐ萎びちゃうって聞いたことがあるわ。薬に漬け込んで、取っておいてあげる」
「全部捨てないわ。全部綺麗に」
きれいに、きれいに。
残さないで全部。
き れ い に 食 べ て あ げ る 。
青い目の女が、にい、と、笑った。
「・・・これはお前の願望か、糞マネ」
「違うわよ! ただ、料理の映画かと思って!」
「タイトル見てフツーは判るだろ、大体棚だって別れてただろうが!」
「だって、バラエティの方に入ってたの! じゃなきゃホラーなんて借りるわけないでしょ!」
「ありえねぇ! そんなミスでお前はこんな糞DVDに金出したのか?!」
「ああもうどうしよう・・・これからビーフシチュー作ろうと思ってたのに…」
「そんなもん作った日にはたたき出す」
「私だって嫌よ! うー、じゃあメインは肉じゃがに変更。肉は明日に回すわ」
「じゃあ責任もって明日の夕飯も作れよ」
「うん」
「ついでにこんな胸くそ悪ィもん見せたお前に罰ゲームな」
「ええ?! 私だって一緒に見たのに!」
「嫌って程疲れねぇと夢に出そうだ」
「・・・それって明日の朝食も作る羽目になる?」
「ケケケ」
***
というわけでエイプリルフール用SSでした。このSSをアップしたとき、どこかいじってしまったらしく「つづきはこちら」をクリックしても何も出ないという恐ろしい事態を引き起こしてしまい、まさにこれはエイプリルフールには最適だったという嫌な思い出のものになりました。(後書きのみ後日書き直しました)
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同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。