旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
今まで口に出して言えるほどの夢を持ったことがなかった。
いや、正確には持ったことがある。
ただそれは、思い出したくもない辛い過去と名前と共に闇へ葬った。
夢なんて見るもんじゃない。
そう常々口にしていても、あの悪魔の甘言に惑わされでもしたか、俺は次第に夢見がちになっていった。
あの夢の舞台へみんなと行けたら。
分不相応だ、勝てたとしても頂点を極めるにはまだ遠い、遠すぎる。
様々な不安要素を一つ一つ開いてはそれを打ち消すように響く仲間の声。
楽しげな顔。
苦しくて辛い練習も多々あるのに、誰一人音を上げない部員たち――――。
勝ちたい。
このメンバーであの、クリスマスボウルに行きたい。
そう口にした刹那。
衝撃。
弾かれる浮遊感、叩きつけられてまた衝撃。
ああ。
だから言ったじゃないか。
人間分不相応な夢を見るもんじゃないって。
夢見ても手折られるのは一瞬、その衝撃は腕一本どころか一度失い、今まで掛かってやっと育ち始めた俺の大切な何かを全て奪い去るものだった。
なのに俺はまたここにいる。
関東大会決勝戦の舞台、手折られた夢の残滓をわざわざ見届けに。
「心折られずに、か」
一人呟いてみる。
腕は思い通りに動かないし、ギプスの内側で籠もった熱が痛みを発している。
自分をたきつけた悪魔率いる泥門vs白秋を見届けようと思って、誰にも言わずここに来たのだけれど。
「来年はどうあの峨王止めるのか考えておかねぇとなー」
「回り込むにしても抜けませんでしたからね」
「大体あの巨体で一年ってありえねぇだろ」
「精液精液連呼してたよねーあははー下品ー」
「キッドも精液狙われたっけ?」
「うおっ! 鉄馬、お前けが人なのに何飛びかかってんだよ!」
「なにキッド一人シリアスモードなの? これ食えよ」
ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ。
気づけば周囲にはいつものメンバーが示し合わせたように集っている。
「・・・ちょっと感傷に浸らせるとかしてほしいよねぇ」
「なーに言ってんだよ。まあ俺は今年で引退だけどよ、お前らには来年があるだろ」
「そーそー。なんならキャプテン留年してまた参加してくれるってよ」
「ありえねえって!」
「おい相内! 何で俺のとこだけ甘い物山盛りにすんだよ!」
「別に先輩だけの分じゃありませんから! 自意識過剰なのは置いておいて、さー他のみんなもこっち食べて食べてー」
「むっかつく!!」
ちょっとした遠足モードになってきた西部ワイルドガンマンズにため息をつきつつも口角を上げる。
あの衝撃はガンマンズの部員みんなの夢を奪い去り、その後には何も残らないと思っていた。
けれど敗北は決して全てを失わせるものではないのだと、病院で目覚めた後に知った。
悔しさを隠しもしなかった皆は、口々に『来年こそは』と言いつのったのだ。
ヒル魔、俺は認めようと思う。
確かに俺は闘争心が強くて、夢を追うアメフトバカだ。
皆に早撃ちと褒めそやされた腕を折られてもなお、来年のクリスマスボウルを口に出して追うことに決めた男だ。
意外に諦めが悪いらしいよ、俺。
きっとおたくに言ったら『今更何言ってやがる』くらい言うだろうけどね。
あの全身が震える程の熱を一度知ってしまったら、もう引き返せない。
「来年こそはさぁ、行こうね、クリスマスボウル」
当たり前だ、と口々に同意する仲間に囲まれて、キッドは心底楽しげに笑った。
***
初キッドさん&西部ワイルドガンマンズ~! 西部にも目を向けさせてくださったねむ様に捧げます。
ねむ様のみお持ち帰り可。
あとがきは長くなったので反転で↓
多分ジャンプでざっと見たとは思うのですが、その時はまだアイシにはまってない頃なので28巻の内容はやはり衝撃でした。キッドさん・・・!あれ骨折よりも頭の怪我で腕の固定後再出場とか無理だったんじゃないかと思います。ヒル魔さんみたいな単純骨折ならギプスで固定して出場してもわりと平気ですが、脳震盪とかだとマジで死に至る可能性があるそうです。しかも頭切ってたら救護室どころじゃなくて即病院送りだったでしょうし。最近のジャンプで観戦者として出てくれて嬉しかった!アメフト見るのも嫌だ、とかなりかねないんじゃとかなり不安だったのでした。
いや、正確には持ったことがある。
ただそれは、思い出したくもない辛い過去と名前と共に闇へ葬った。
夢なんて見るもんじゃない。
そう常々口にしていても、あの悪魔の甘言に惑わされでもしたか、俺は次第に夢見がちになっていった。
あの夢の舞台へみんなと行けたら。
分不相応だ、勝てたとしても頂点を極めるにはまだ遠い、遠すぎる。
様々な不安要素を一つ一つ開いてはそれを打ち消すように響く仲間の声。
楽しげな顔。
苦しくて辛い練習も多々あるのに、誰一人音を上げない部員たち――――。
勝ちたい。
このメンバーであの、クリスマスボウルに行きたい。
そう口にした刹那。
衝撃。
弾かれる浮遊感、叩きつけられてまた衝撃。
ああ。
だから言ったじゃないか。
人間分不相応な夢を見るもんじゃないって。
夢見ても手折られるのは一瞬、その衝撃は腕一本どころか一度失い、今まで掛かってやっと育ち始めた俺の大切な何かを全て奪い去るものだった。
なのに俺はまたここにいる。
関東大会決勝戦の舞台、手折られた夢の残滓をわざわざ見届けに。
「心折られずに、か」
一人呟いてみる。
腕は思い通りに動かないし、ギプスの内側で籠もった熱が痛みを発している。
自分をたきつけた悪魔率いる泥門vs白秋を見届けようと思って、誰にも言わずここに来たのだけれど。
「来年はどうあの峨王止めるのか考えておかねぇとなー」
「回り込むにしても抜けませんでしたからね」
「大体あの巨体で一年ってありえねぇだろ」
「精液精液連呼してたよねーあははー下品ー」
「キッドも精液狙われたっけ?」
「うおっ! 鉄馬、お前けが人なのに何飛びかかってんだよ!」
「なにキッド一人シリアスモードなの? これ食えよ」
ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ。
気づけば周囲にはいつものメンバーが示し合わせたように集っている。
「・・・ちょっと感傷に浸らせるとかしてほしいよねぇ」
「なーに言ってんだよ。まあ俺は今年で引退だけどよ、お前らには来年があるだろ」
「そーそー。なんならキャプテン留年してまた参加してくれるってよ」
「ありえねえって!」
「おい相内! 何で俺のとこだけ甘い物山盛りにすんだよ!」
「別に先輩だけの分じゃありませんから! 自意識過剰なのは置いておいて、さー他のみんなもこっち食べて食べてー」
「むっかつく!!」
ちょっとした遠足モードになってきた西部ワイルドガンマンズにため息をつきつつも口角を上げる。
あの衝撃はガンマンズの部員みんなの夢を奪い去り、その後には何も残らないと思っていた。
けれど敗北は決して全てを失わせるものではないのだと、病院で目覚めた後に知った。
悔しさを隠しもしなかった皆は、口々に『来年こそは』と言いつのったのだ。
ヒル魔、俺は認めようと思う。
確かに俺は闘争心が強くて、夢を追うアメフトバカだ。
皆に早撃ちと褒めそやされた腕を折られてもなお、来年のクリスマスボウルを口に出して追うことに決めた男だ。
意外に諦めが悪いらしいよ、俺。
きっとおたくに言ったら『今更何言ってやがる』くらい言うだろうけどね。
あの全身が震える程の熱を一度知ってしまったら、もう引き返せない。
「来年こそはさぁ、行こうね、クリスマスボウル」
当たり前だ、と口々に同意する仲間に囲まれて、キッドは心底楽しげに笑った。
***
初キッドさん&西部ワイルドガンマンズ~! 西部にも目を向けさせてくださったねむ様に捧げます。
ねむ様のみお持ち帰り可。
あとがきは長くなったので反転で↓
多分ジャンプでざっと見たとは思うのですが、その時はまだアイシにはまってない頃なので28巻の内容はやはり衝撃でした。キッドさん・・・!あれ骨折よりも頭の怪我で腕の固定後再出場とか無理だったんじゃないかと思います。ヒル魔さんみたいな単純骨折ならギプスで固定して出場してもわりと平気ですが、脳震盪とかだとマジで死に至る可能性があるそうです。しかも頭切ってたら救護室どころじゃなくて即病院送りだったでしょうし。最近のジャンプで観戦者として出てくれて嬉しかった!アメフト見るのも嫌だ、とかなりかねないんじゃとかなり不安だったのでした。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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