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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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12.掴んだはずの手

(ヒル魔と鈴音)
※鈴→セナ気味(セナ喋ってません)

+ + + + + + + + + +
誰もがその身体を捕らえたと思った瞬間、その足に抜き去られた。
それに愕然とさせられ、誰もが彼を追うようになる。

「私もそうなのかなー」
土煙を上げてグラウンドを縦横無尽に走るセナを見て呟く。
「何が」
妖兄がいつの間にか背後にいた。派手な外見でどこに行っても目立つハズなのに時々こんなことがある。
もともと足音をあんまりさせないで歩いてるみたい。
唐突に質問されることにもなれちゃって、私は妖兄を見上げながら笑った。
「やー、セナの足は速いねって」
あのアメリカの地で、彼の走りを初めて見た。
頼りなくて幼くて、おどおどしていたのに、アメフトの試合となったらとんでもなく早かった。
「で?」
答えになってないと言外に示されて、補足しようと思ったけど、上手く言えない。
あの足に、私は魅せられたのだろうか。
歴戦の強豪たちと同じように。
「インラインスケート履いてるからいつもは負けないけど、フツーに走ったら絶対勝てないなあって思ったの」
「勝負の必要があんのか」
「ないよ」
ぷう、と妖兄のガムが膨らんだ。風船ガムと違って膨らませるのが難しいだろうに、よくできるもんだ。
「もともと土俵が違うんだから、変に考えんな」
「そうかな」
「お前が迎えに行ったら、糞チビはすぐ捕まるだろ」
ああ。
ぽろっと目から鱗が落ちた。
「そっか」
アメリカでインラインスケートを履いたまま飛び降りるたびに、セナが抱き留めようとしてくれたことを思い出す。
そう。どんなに試合で敵に捕まらないように走り続けていたって、フィールドの外、私から行けばセナはちゃんと止まってくれる。
私とは競う必要がないから、笑って待ってくれる。
フィールド内の敵と違って、掴んだはずの手が空を切ったり、振り払われたりはしないのだ。

そんなセナだから惹かれたんだ。

「そういうこった」
そう呟いて、妖兄は土埃が舞うグラウンドへと戻っていく。

面倒見のいい悪魔に、感謝。


***
鈴音ちゃんが書いてみたくなったので。ヒル魔さんは鈴音にはそこはかとなく甘いようです。
このコンビは兄妹みたいで楽しいです。瀧くんの立場がないなあ。
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