旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
「まもって髪綺麗だよねー」
「ホント。天使の輪が出てる茶髪って珍しいよ」
「まもの色は天然だからでしょ」
「そりゃそうだけどさー」
お昼休み、お弁当を食べながらアコと咲蘭、友達二人の会話を聞いていた。
自分の前髪をちょっと摘んでみる。
なんてことない赤みを帯びた茶色。
生まれたときから同じ。ずっと同じ。
ずっと、ずっと、ずっと・・・同じ。
「・・・ね、まもって髪伸ばさないの?」
「え?」
一瞬自分の思考に嵌りかけて、咲蘭の声に引き戻される。
「綺麗なんだから、伸ばせばいいのに」
「部活の邪魔になるから伸ばすのはちょっと、ね」
そう。中学校の時はテニス部だったからずっとこの長さだった。
「でも今はマネージャーだし、別にいいんじゃないの」
「うーん・・・」
どうしようかな。
そう呟いたところで、予鈴が鳴った。
みんなが帰ってからの部室掃除。土埃とか結構入ってきているから、掃除はまめにしないとすぐ汚くなる。
さかさかホウキで床を掃き清めていく。今はいつもどおりヒル魔君と二人で何を話すわけでもない。
不本意だけど、もう慣れてしまった。
「ずっと同じ、か」
なんとなく呟いた声は結構大きかったみたいで、ヒル魔くんは不審そうにこちらを見ている。
パソコンから視線を動かさせるほどの事言ったかしら。
「糞マネ、立ったまま昼寝でもしてたか」
「そこまで器用ではないわね」
「ほー、では不器用な糞マネにオウカガイしますが、髪の毛は伸ばすのデスカ?」
あれ、私、髪のことヒル魔くんに言ったかしら。
びっくりした私の顔を見て、ヒル魔くんは相変わらず質の悪そうな笑みを浮かべた。
「昼休みにお前らが喋ってた内容は糞男子生徒どもの興味対象らしくてな」
「・・・呆れた。私の髪の毛がどうなるかなんてヒル魔くんも興味あるの?」
この人、ホントに余計な情報まで仕入れてくるのね。
「俺の興味は別の所だな」
「なにそれ」
「『この先もお前がまもり姉ちゃんスタイルを貫くかどうか』だ」
「・・・なにそれ」
「芸がないな、糞マネ」
今度は上手く切り返せなかった。
「糞マネ、優しい俺が丁寧に教えてやろう」
音も立てずにヒル魔くんが椅子から立ち上がる。
「優しいって言葉が裸足で逃げるわよ」
彼は私の嫌味なんて軽く無視してこちらに近寄ってくる。
「お前は思い込むと確固たる事実が目の前に現れない限り、自分の考えを基準にして考える」
「そんなこと・・・」
彼は大して開いてない距離を一歩ずつ、ゆっくりと縮めていく。
「そして自分の考えが一カ所でも変われば周囲が変わると思ってる。当然だ、自分の考えが基準なんだから」
「・・・・・・」
目の前に、白いシャツに緑のジャケットの、見慣れた格好の彼が迫ってくる。
見ていられなくなって、俯いた。黒い靴のつま先が視界に入る。
「だがお前が変わらなかったことで、糞チビは変わらなかったか?」
磐戸戦のセナを思い出す。
真摯に、反らさずに、私を見つめたあの眸は、私の知らないセナのものだった。
セナは、私の考えなど関係なく変わっていた。
「お前が固執してたのは『セナを守る』ことじゃなくて『セナを守る自分でいる』ことだ」
「・・・・・・・・・」
ヒル魔くんは優しく丁寧に、私が認めたくなかった、私自身もそこまで突っ込まれたくなかった、事実を口にした。
そしてマネージャーを続けるかどうか悩んだ私に、つい先日存在意義を教えたその手が私の髪を一房すくい取る。
「この髪が長くても短くても俺には大した問題じゃねぇ」
「っつ!」
くい、とそのまま引かれて、思わずそちらを見上げたら。
「お前は変わるか? ―――姉崎」
思った以上に真面目な光を灯して眇められた眸がこちらを見つめていた。
関東大会出場校のトーナメント抽選会場前に行くと、ヒル魔くんは既に到着していて、なにやら怪しげなミサイル発射セットの準備をしていた。
「ヒル魔くん、この髪型どうかしら」
まともな返事は期待せず、聞いてみる。
準備を終えたらしいヒル魔くんはちらりとこちらへと視線を寄越した。
「言ったろ。お前の髪型なんぞに興味はねぇ」
「そっか」
想定内すぎてちょっと笑える。
「だが悪くはねぇな」
「・・・え?」
ケケケと笑う悪魔はこちらを見ることもなく、時計を覗き込んでチームメイトを待ち始めた。
***
髪にキスくらいしてくれたっていいのに・・・。
鳥の書くヒル魔さんはツン要素が強すぎて大してデレが出てこない。 しかも頭も悪そうに感じます。
だめじゃん・・・。
「ホント。天使の輪が出てる茶髪って珍しいよ」
「まもの色は天然だからでしょ」
「そりゃそうだけどさー」
お昼休み、お弁当を食べながらアコと咲蘭、友達二人の会話を聞いていた。
自分の前髪をちょっと摘んでみる。
なんてことない赤みを帯びた茶色。
生まれたときから同じ。ずっと同じ。
ずっと、ずっと、ずっと・・・同じ。
「・・・ね、まもって髪伸ばさないの?」
「え?」
一瞬自分の思考に嵌りかけて、咲蘭の声に引き戻される。
「綺麗なんだから、伸ばせばいいのに」
「部活の邪魔になるから伸ばすのはちょっと、ね」
そう。中学校の時はテニス部だったからずっとこの長さだった。
「でも今はマネージャーだし、別にいいんじゃないの」
「うーん・・・」
どうしようかな。
そう呟いたところで、予鈴が鳴った。
みんなが帰ってからの部室掃除。土埃とか結構入ってきているから、掃除はまめにしないとすぐ汚くなる。
さかさかホウキで床を掃き清めていく。今はいつもどおりヒル魔君と二人で何を話すわけでもない。
不本意だけど、もう慣れてしまった。
「ずっと同じ、か」
なんとなく呟いた声は結構大きかったみたいで、ヒル魔くんは不審そうにこちらを見ている。
パソコンから視線を動かさせるほどの事言ったかしら。
「糞マネ、立ったまま昼寝でもしてたか」
「そこまで器用ではないわね」
「ほー、では不器用な糞マネにオウカガイしますが、髪の毛は伸ばすのデスカ?」
あれ、私、髪のことヒル魔くんに言ったかしら。
びっくりした私の顔を見て、ヒル魔くんは相変わらず質の悪そうな笑みを浮かべた。
「昼休みにお前らが喋ってた内容は糞男子生徒どもの興味対象らしくてな」
「・・・呆れた。私の髪の毛がどうなるかなんてヒル魔くんも興味あるの?」
この人、ホントに余計な情報まで仕入れてくるのね。
「俺の興味は別の所だな」
「なにそれ」
「『この先もお前がまもり姉ちゃんスタイルを貫くかどうか』だ」
「・・・なにそれ」
「芸がないな、糞マネ」
今度は上手く切り返せなかった。
「糞マネ、優しい俺が丁寧に教えてやろう」
音も立てずにヒル魔くんが椅子から立ち上がる。
「優しいって言葉が裸足で逃げるわよ」
彼は私の嫌味なんて軽く無視してこちらに近寄ってくる。
「お前は思い込むと確固たる事実が目の前に現れない限り、自分の考えを基準にして考える」
「そんなこと・・・」
彼は大して開いてない距離を一歩ずつ、ゆっくりと縮めていく。
「そして自分の考えが一カ所でも変われば周囲が変わると思ってる。当然だ、自分の考えが基準なんだから」
「・・・・・・」
目の前に、白いシャツに緑のジャケットの、見慣れた格好の彼が迫ってくる。
見ていられなくなって、俯いた。黒い靴のつま先が視界に入る。
「だがお前が変わらなかったことで、糞チビは変わらなかったか?」
磐戸戦のセナを思い出す。
真摯に、反らさずに、私を見つめたあの眸は、私の知らないセナのものだった。
セナは、私の考えなど関係なく変わっていた。
「お前が固執してたのは『セナを守る』ことじゃなくて『セナを守る自分でいる』ことだ」
「・・・・・・・・・」
ヒル魔くんは優しく丁寧に、私が認めたくなかった、私自身もそこまで突っ込まれたくなかった、事実を口にした。
そしてマネージャーを続けるかどうか悩んだ私に、つい先日存在意義を教えたその手が私の髪を一房すくい取る。
「この髪が長くても短くても俺には大した問題じゃねぇ」
「っつ!」
くい、とそのまま引かれて、思わずそちらを見上げたら。
「お前は変わるか? ―――姉崎」
思った以上に真面目な光を灯して眇められた眸がこちらを見つめていた。
関東大会出場校のトーナメント抽選会場前に行くと、ヒル魔くんは既に到着していて、なにやら怪しげなミサイル発射セットの準備をしていた。
「ヒル魔くん、この髪型どうかしら」
まともな返事は期待せず、聞いてみる。
準備を終えたらしいヒル魔くんはちらりとこちらへと視線を寄越した。
「言ったろ。お前の髪型なんぞに興味はねぇ」
「そっか」
想定内すぎてちょっと笑える。
「だが悪くはねぇな」
「・・・え?」
ケケケと笑う悪魔はこちらを見ることもなく、時計を覗き込んでチームメイトを待ち始めた。
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髪にキスくらいしてくれたっていいのに・・・。
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だめじゃん・・・。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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