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09．足は速めた、限界まで

（三兄弟三男と栗田）
※ＢＬ要素は全くありません。

喧嘩には自信があったけどよ、俺は自分がスポーツってもんとは全く縁がないもんだとばっかり思ってたわけだ。
それがなんでアメフトなんてやってんだか。
喧嘩と違ってマンガ読みながらやるわけにもいかねーし。
ハ？　普通は喧嘩もマンガ読みながらはやらねえか？　カッカッカ、そうかもな。
「戸叶くんって、いっつもマンガ読んでるねー」
出会った当日にうっちゃりで俺ら三人を投げ飛ばしたデブが甘いモン口に入れて喋ってる。
よくそんな甘いの食えるな、っつったら好きだからね、と笑っている。
「そのマンガと同じくらい、戸叶くんにもアメフトが好きになってもらえたら嬉しいなあ」
「ハ？」
「あ、ごめんごめん、これはただの僕の願望だけどね」
にこにこと笑みを絶やすことなく、デブは相変わらず甘い物を食べ続けている。
俺はジャンプを読みながら、デブの言葉を思い返す。
『マンガと同じくらい好きに』
そりゃあ無理な相談だ。
俺にとっちゃマンガは必要不可欠、なくちゃなんねぇもんだ。
でも一つ言わせて貰うと。
「・・・アメフトやってるときはマンガのことも忘れるくらい、熱中してるぜ」
「ん？　なんか言った？」
「いや、なんも」

この後悪魔が来て銃乱射する展開が読めたので、今はマンガに没頭することに決めた。
どうせその後はアメフトに没頭することになるんだから。
この足は日常動作の他は、喧嘩相手を蹴るくらいしか用途はなかった。
その足が、だ。
意外と嫌々ではなく、むしろ限界の速度でもってアメフトの練習に向かうようになるなんて。

・・・ホント、事実はマンガより奇なり、だな。


＊＊＊
戸叶くんの口調が判らず苦労しました。何度「ハ？」だったか「ハァ？」だったかと確認し直したことか・・・！
元祖デビルバッツメンバーから栗田くんとマッチアップ。戸叶くんと栗田くんは両方とも初書きでした。
注意書きを入れつつ、この二人でＢＬ要素の話ってあるんだろうかと疑問に思いました。