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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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08.視線の先のその背中

(三兄弟長男とヒル魔)
※BL要素は全くありません。

+ + + + + + + + + +
正月明けて、まず最初にあの悪魔と顔を合わせたのは学校の廊下だった。
クリスマスボウルが終わった後、部活動は冬休み中休みだった。
けが人が多くて練習にならなかったというのもある。始業式の今日、放課後から普通通りに練習だ。
「・・・はようございます」
あけましておめでとうございます、というのもなんかおかしいし、とりあえず当たり障りなく朝の挨拶なんぞしてみる。
「おう」
返事があってちょっと驚いた。
「アンタは今日の部活、出るのか」
「出るに決まってるだろ」
「クリスマスボウルも終わったのに?」
廊下で悪魔と二人、立ち話。
なんて状況、去年の春頃は想像できただろうか。
「俺たちはな。テメーらはまたあるだろ」
その言葉は俺の予想外で、ますますもって意外だと顔に出してしまった。
「今の2年が抜けたら突然弱くなりました、なんて言われて嬉しいか糞長男」
「だから長男じゃ・・・まあいい、嬉しくねぇ。当たり前だろ」
「俺たちは春までだ。それは変わんねぇ。だがそれまでに出来ることはまだある」
「・・・後輩思いの先輩を持って幸せだな、俺ら」
ため息と共に吐き出した言葉は、嫌味と見せかけて本音だ。
きっと悪魔は判ってるのだろう。
俺たちがアメフトにはまり、一丸となって闘った後の大きな達成感と小さくない虚無感に苛まれていることを。
「おー。せいぜい尊敬しやがれ十文字」
「・・・はぁ!?」
ひらひら、と左手を振って去っていく悪魔の顔は見えないが、質の悪い笑みを浮かべていることはよく判る。
突然会話の中で名前を呼ばれて、本気で驚いた。ポジション決めの時以外に呼ばれたことなんてなかったからだ。

なんか認めて貰えたような気がして、ちょっと嬉しくなったのは絶対に秘密だ。
・・・が、そう思っていることすらばれている気がして癪だ。
そういったことも全部含めて、あれは悪魔と呼ばれていると知っているけれど、彼も人間なのだと今は知っている。
もう一度視線を向けた背中は、ひどく楽しそうに見えた。


***
クリスマスボウルやその終了後みんながどうなるかはわかりませんが、願望を込めて。
ヒル魔はなんだかんだで面倒見がいいので、秋大会まで後輩を育てるのではないかと思いたい。
一年生ズに対して試合外でも十文字なら対等に喋ってくれそうなのでマッチアップは彼を選びました。
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