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05．君の声だけ聞こえぬ耳
（ヒルまも）

昨日の夜から、明日こそ言うぞって気合いを入れていたの。
ろくに眠れなかったけど、そんなの気にならなかった。
でも、みんなが見ているところでは言えないから、いつものように放課後の練習が終わって、二人で残っているときに、勇気を出して言ってみたの。

「ヒル魔くんが、好き」

言えた！　・・・と思ったら。
急に首から上が熱くなって、なんにも聞こえなくなった。
ヒル魔くんが何を言ってるかわからない。
なんか面倒そうに喋ってるけど・・・ええと、どうしたらいいのかしら。
え？　何か言ってる？　肩掴まれてる？！
ああ青筋・・・こっちに向かって銃まで構えられちゃったけど、何を言ってるか全然聞こえない！
目は回りそうだし、息苦しいし、ふらふ　ら　　す　　　る　　　　　・・・　。

ブラックアウト。


朝から糞マネの様子がおかしいとは思っていたが、いきなり告白していきなり真っ赤になった上に、こっちが何を言っても反応しないどころかそのままいきなり倒れやがった。
「おい、糞マネ！！」
そのまま後ろに倒れそうになる糞マネを、肩を掴んでいた手でなんとか支えた。片手に銃を持っていたので、抱きかかえるような体勢になってしまったが、これはこの際仕方ない。
舌打ちしながらそのまま彼女を抱き上げ、ソファなどはないこの部室でとりあえずカジノ台の上に寝かせてみる。
赤い顔をしているのは熱なのではなく、いきなりのぼせ上がったからだと目の前で見たので特に焦りもせず、その側の椅子を引いて座り、彼女の頬をつついてみる。
・・・目を覚ます気配はない。
「・・・人に告白して勝手にのぼせて倒れちゃ話にならねぇよ」
しかもこの女、寝不足でこのまま寝こけるとか、そういうあり得ねぇオチを選びそうだ。更に言えば俺の回答も聞いちゃいない。
そしてそんな度を超えた天然さに浮かんでしまうのが、苦笑っつーのが一番気にくわねぇ、糞！

・・・さあて、どうしようか。
このまま目覚めるのをこの場で待つか。
タクシーを呼んでこいつの自宅まで送り届けるか。

・・・・・・・・・返事代わりに、俺の部屋に連れ込むか。


＊＊＊
言い逃げどころか言い倒れ。エライ迷惑ですねまもりちゃん。
目が覚めたらどうなってるんでしょうか（他人事）。
なんとなく書きづらかったお題でした。