旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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放課後の練習に現れたチアリーダーの様子がいつもと違うことにまず気づいたのはセナだった。
「あれ、鈴音、唇・・・」
「あ、セナ! この色どう? 友達にもらったんだー」
鈴音の唇は艶やかなピンクに彩られていた。
鮮やかな色彩は日に焼けた肌によく似合っている。
「ケケケ、一人前に化粧か」
「こんなのただのリップだよ? お化粧のうちに入らないよ~」
わいわいと騒ぐだけ騒いで、部員が一人二人と欠けていく。そんな中でも相変わらずデータ処理に忙しい主務とキャプテンはいつも通り最後まで居残った。
片づけを終えたら帰ろうと、まもりがホウキでぐるっと室内を掃き清める。
「あれ? これ・・・」
先ほど散々話題になったリップが下に落ちていた。何かの拍子で鈴音が落としたのだろうか。
蓋を取って繰り出すと、甘い香りも一緒に漂った。
「きれいな色ね」
「お前には似合わねぇぞ」
返答があるとは思わず、まもりはちょっと驚いてヒル魔を見る。
彼も片づけの最中で、ノートパソコンの電源を落としていた。
「そ、そう?」
「そもそも化粧するヒマなんてねぇだろう」
「そうだけど・・・」
まもりだって女の子。カワイイ小物や綺麗なコスメに心惹かれることだってあるのだ。
親の敵のように塗りたくる日焼け止めだけが日々消費されていく現実。たとえ手にしてもリップをいちいち塗り直すヒマなんてないのだけれど。
「大体そんな甘臭ぇ匂いのもん口によく塗れるな」
「そう思うのはヒル魔くんだけよ」
呆れたようにリップの蓋を閉め、テーブルの上に置く。
鈴音ならきっと明日も来るだろう。その時渡してあげればいい。
俯いていたら、声を掛けられた。
「おい」
ぽい、と投げられたのは銀色の筒。
まさか弾丸か薬莢か、と咄嗟に思ったが、それにしては軽い。
「独播の時に余った奴だ。やる」
「え・・・」
見ればそれは深みのある赤の口紅だった。
「言っておくが、部活の時につけてきたら笑うぞ」
「あ、当たり前じゃない! 校則違反だもの」
「ケケケ、さすがは糞風紀委員様」
「もう! ・・・ありがと」
お礼の言葉には右の眉を少し動かしただけ。
気まぐれだとしても、気に掛けて貰えたのが嬉しいな、なんて。
この口紅を塗ったら、少しは素直に言えるかしら?
***
実際は余ったのではなくちゃんと買ったんだけど、渡す口実が無かったのでそのまんまだったのをここぞとばかりに渡してみたヒル魔さんだったりして。なんかこう、できあがってイチャイチャしている二人を書くよりもなんだか曖昧な距離感を保っている状態の方が好きみたいです。
「あれ、鈴音、唇・・・」
「あ、セナ! この色どう? 友達にもらったんだー」
鈴音の唇は艶やかなピンクに彩られていた。
鮮やかな色彩は日に焼けた肌によく似合っている。
「ケケケ、一人前に化粧か」
「こんなのただのリップだよ? お化粧のうちに入らないよ~」
わいわいと騒ぐだけ騒いで、部員が一人二人と欠けていく。そんな中でも相変わらずデータ処理に忙しい主務とキャプテンはいつも通り最後まで居残った。
片づけを終えたら帰ろうと、まもりがホウキでぐるっと室内を掃き清める。
「あれ? これ・・・」
先ほど散々話題になったリップが下に落ちていた。何かの拍子で鈴音が落としたのだろうか。
蓋を取って繰り出すと、甘い香りも一緒に漂った。
「きれいな色ね」
「お前には似合わねぇぞ」
返答があるとは思わず、まもりはちょっと驚いてヒル魔を見る。
彼も片づけの最中で、ノートパソコンの電源を落としていた。
「そ、そう?」
「そもそも化粧するヒマなんてねぇだろう」
「そうだけど・・・」
まもりだって女の子。カワイイ小物や綺麗なコスメに心惹かれることだってあるのだ。
親の敵のように塗りたくる日焼け止めだけが日々消費されていく現実。たとえ手にしてもリップをいちいち塗り直すヒマなんてないのだけれど。
「大体そんな甘臭ぇ匂いのもん口によく塗れるな」
「そう思うのはヒル魔くんだけよ」
呆れたようにリップの蓋を閉め、テーブルの上に置く。
鈴音ならきっと明日も来るだろう。その時渡してあげればいい。
俯いていたら、声を掛けられた。
「おい」
ぽい、と投げられたのは銀色の筒。
まさか弾丸か薬莢か、と咄嗟に思ったが、それにしては軽い。
「独播の時に余った奴だ。やる」
「え・・・」
見ればそれは深みのある赤の口紅だった。
「言っておくが、部活の時につけてきたら笑うぞ」
「あ、当たり前じゃない! 校則違反だもの」
「ケケケ、さすがは糞風紀委員様」
「もう! ・・・ありがと」
お礼の言葉には右の眉を少し動かしただけ。
気まぐれだとしても、気に掛けて貰えたのが嬉しいな、なんて。
この口紅を塗ったら、少しは素直に言えるかしら?
***
実際は余ったのではなくちゃんと買ったんだけど、渡す口実が無かったのでそのまんまだったのをここぞとばかりに渡してみたヒル魔さんだったりして。なんかこう、できあがってイチャイチャしている二人を書くよりもなんだか曖昧な距離感を保っている状態の方が好きみたいです。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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