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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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17.左手薬指は健在

(ヒルまも)

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高級ホテルの最上階、レストランで高級フレンチを頂きながら他愛ないことで談笑し、ほどよくアルコールが回ったところでデザートと共に添えられた金色のリング。白魚のようなその手をとり、左手薬指にその指輪を嵌め、やさしく囁くプロポーズの言葉。
受け取る女性の答えは、当然、YES。

ばさり、と未だかつてこれ以上の厚さはないと思われる校内新聞をカジノ台のテーブルへ放り出し、アメフト部キャプテンとアメフト部マネージャーは共にため息をついた。
「ありえねぇ」
「まったくだわ」
二人が婚約した、という噂が出た。
つきあい始めるとか恋人同士だとかそんなのを一切すっ飛ばしてだ。
噂はあっという間に広がり、尾ひれはメダカ程度からあっという間にマグロ並の速度でもって追加された。
おまけに上記の情景が繰り広げられたに違いないとどこぞのバカがそんなことを言い出した。
そのおかげで、ここ数日泥門高校内は大荒れに荒れていた。
とりあえずアメフト部内ではそれはないと実弾射撃付きでヒル魔が言ったので、部員は誰も信じてない。―――表向きは。
左手の薬指は健在だ。お互いに、リングも何もない。
「大体なんでこんな噂一つでこれだけ荒れるんだ」
「それはヒル魔くんだからです」
「糞マネだからだろ」
「人のせいにしないで」
自己演出に余念のないヒル魔はともかく、自覚のないまもりにとってはなんでこんなことになっているのか本当に判らない。
「今更否定に回っても誰も信用しねぇし」
「否定すればするほど『本当よ!』って言ってるようなものだしね」
なまじ頭がいいだけに、どう対処したらどう反応がある、というのが手に取るように判って実行できない。
噂は他人事なのが楽しい。ましてや日頃悪魔に虐げられている生徒(先生も含め)の絶好の反撃の機会だ。逆に弱みを握ろうという輩も出てくるに違いない。
なのになんで二人して部室に避難しているかというと。
「糞マネ、あんまり俺のところに来るんじゃねぇよ」
「仕方ないじゃない、ヒル魔くんの側にいるときくらいしか質問攻めにあわないんだから」
「他の部員のところ行け」
「嫌よ。セナはなんか気もそぞろだし、モン太くんは目つきがおかしくなってるし、小結くんはなんて言ってるのかわからないけどなんか笑ってるし、瀧くんはくるくる回るだけで、十文字くんと黒木くんと戸叶くんの三人は私見て合掌するし、雪光くんと栗田くんとムサシくんなんてヒル魔くんのあの射撃を照れ隠しって言っちゃうのよ!!」
立て板に水の如く、一気に部員の名前と状況が流されてヒル魔は盛大に舌打ちした。
ヒル魔にはまもりほどの質問攻撃はないが、ムサシや栗田の二人などは判っていて楽しげにヒル魔をからかってきたりするので、質が悪い。
「俺以外のところには行けないってことか」
「そうよ!」
今となっては授業中であっても興味本位で先生から質問が飛んできたりして、おちおち授業に出てもいられないのだ。優等生なまもりは授業をさぼりたくないが、このままでは登校拒否になってしまそうだった。
「よし」
呟かれた一言には、なんだかすごく嫌な妖気を感じる。
「なに? とてつもなく邪悪な気配がするんですけど」
先ほどまで飽き飽きした、という顔をしていたヒル魔が、一転ものすごく楽しげな笑みを浮かべている。
「勢いは止めるもんでもねぇしな。予定がちと早まったが、まあ大した問題じゃねぇ。糞マネがそこまで俺を頼りにするならそれもいいだろう」
「―――――な、なにその手」
ドアを背にして座っていたヒル魔は立ち上がればそのまままもりの退路を絶つ。
「使える女は嫌いじゃねぇ」
「いや、なんで急に立つの?! ちょっと、なんか身の危険を感じるんですけど!!」
まもりも立ち上がったが、何分狭い部室では逃げ場がない。背後の高い位置にある小窓からは到底脱出は不可能だ。
焦るまもりにじりじりとヒル魔が近寄ってくる。
彼から漂う、アメフトの試合の時よりももっと、どこか獣じみた危険な気配を女の本能で嗅ぎ取って、まもりはどうにかして逃げようとする。
だが、ヒル魔の手の方が早かった。
「忠告はしたからな」
「どのへんで?! あ、ちょっと!! 来ないで何するのキャー!?」
「噂だから好き勝手言われて苛つくんだ! 事実にすりゃ文句ねぇだろ!!」
「キャー!! 止めて近寄らないでちょっと待ってー!!」
「YA―――――HA―――――!!」

***
とても壊れ気味のヒル魔さんでごめんなさい。そして実はヒル→まもなわけで。
ヒル魔さんが本気で嫌だったらもっとちゃんと策を講じるだろうに、あえて放置したのです。
テンションの高い二人が書けて満足。

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