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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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限界ゲージ(2)


+ + + + + + + + + +
かさっと乾いた音を立てて落ちたそれは、3、4センチ四方くらいの薄いアルミパッケージ。
『・・・っ!!』
その瞬間、僕たちは全員硬直した。
だって、それ、実際に使ったりとかはないけれどええとそれってそれって・・・あの・・・?!
本当に時間が凍り付くことってあるんだ、と。
僕はそんなことさえ考えて茫然としてしまった。
でも本当はほとんど時間なんて経ってなかったと思うんだ。
だって、あっという間にそれが派手な銃声と共に姿を消したから。
「・・・・・・」
室内に散らばる先ほどの物の残骸。
「さ・っ・さ・と・準備しやがれYA―HA―!!!」
そうして再度響いた銃声と怒号に僕たちの硬直はやっと解けて、声も上げずに部室の外に転げるようにして出た。
「は、早く準備しないと!」
「そ、そうだなははは早く行かないととと!」
「・・・ハ」
「・・・ハァ」
「・・・ハァアアアアアア」
「フゴ・・・」
なんだかせき立てられるようにギクシャクと歩き出す僕らの後ろで瀧くんがくるくる回りながら口を開いた。
「アハーハー! なんだい君たちコンドームくらい見たことないのかい!?」
瞬間その場の空気が一気に加熱した。
『黙れバカ!!!!』
「うわぁ息ぴったり・・・!」
なんだかちぐはぐな動きをしているような気がしつつ、僕らはロッカールームへと向かう。
遠くで誰かの悲鳴が聞こえたような気もするけど、なんかもう、何でもいいや・・・。


一年生部員達が全て走り去った部室でヒル魔はふん、と鼻を鳴らした。
「いやーまったく、ヤる気に満ちあふれてんなァ糞エロ風紀委員マネ」
「ちちちちち! 違う! 違いますっ! 知ってるでしょうヒル魔くん、今日私たち保健体育だったって!!」
まもりは箒で先ほどの残骸を掃き清めながら、真っ赤になってヒル魔の言葉を否定する。
「ゴム持ち歩くたぁ恐れ入ったぜ」
「やめて! 配られたの! どんなものか見ておきなさいって!!」
知ってるでしょう、とまもりは繰り返す。
先ほど別の生徒から参考資料として配付されたプリントを見たヒル魔は詳細を思い浮かべた。
「で、糞AVみてぇな資料見て青くなってたってか」
「いやぁあああ!! 思い出させないでぇえええ!!」
まもりはちりとりを手にしゃがみ込んでしまう。
その顔がまた青くなっているのを見て、嘆息した。
本日最後の授業。
移動教室だったのでクラスに戻ると女子の大半が青い顔をしており、男子が近づいただけで酷く怯えたような様子になった。
ヒル魔一人なら判るが、他の男子に対しても、なのだ。
何人かは気分が悪くなったと保健室にも向かっていたし。
時間割を参照すると前の時間女子は体育。しかし様子から見て保健体育だったようだ。
これは授業で何かあったに違いない、と考えるまでには時間は掛からなかった。
全く平然としていた別の女子から聞き出した内容は、男の性に関する話。
それも相当詳しく、事細かに語られた、らしい。
「清廉潔白であらせられる糞風紀委員様には刺激が強すぎたみたいデスネ」
知識としては何となく知っていても、これくらい図式含めてリアルに説明されると気分も悪くなるというものらしい。
既に実地に体験している生徒達はともかく、想像力等も含め個人差はあるだろう。
ましてや、ずっと怯え続けているまもりならばなおさら。
「だ・・・って」
まもりの声の端が掠れる。
それを彼のよく聞こえる耳は拾い上げ、ヒル魔はしゃがみ込むまもりに音もなく近寄った。

<続>
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