旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
「オイ、邪魔だ。上がれねぇだろ」
「うん」
頷いても、まもりの足はその場から動かなかった。根っこが生えてしまったかのようだ。
「姉崎」
諭すような響きと、手に絡みつく熱。
「なんで」
「ア?」
まもりの手を取る彼の手はいつもの通りあたたかい。けれど、手だけだ。
「なんで、手だけなの?」
ヒル魔はピンと片眉を上げる。
「テメェが言ったことだろ」
「・・・」
確かに、言った。けれど、ここまで引きずるとは思ってなかったのだ。
「おら」
ヒル魔が手を握ったまま軽くまもりを押しやった。
やっと玄関から上がると、ヒル魔はまもりの手を引くようにリビングへと向かう。
照明の落ちた室内に、彼は振り返った。
「なんだ、糞暗ェ場所で一人落ち込み中か?」
「違うわ」
けれど心情的には同じようなものだ。一人、切なく寝ようとしていた矢先の彼の帰宅。
嬉しいのに、素直にそう言えない。
絡みつく手だけが熱くて、それだけに縋るように手に爪を立てた。
ヒル魔はふん、と鼻を鳴らすと、手を握っているのとは逆の手に持っていた鞄を下ろした。
「!」
そうして、まもりのもう片方の手を取り、壁に押しつけるようにして立たせた。
「ヒ、ル魔くん?」
薄暗い空間の中、壁に追い詰められる。
互いの息が掛かるくらいの距離で、ヒル魔は低く囁いた。
「触っていいのは手だけ、だろ?」
す、と彼の顔がまもりの首筋に埋まる。
「っ!」
すん、と匂いを嗅がれるような仕草。
まもりは真っ赤になって彼を押し返そうとしたが、両手の指を絡ませ、深く繋げた状態では満足な抵抗など出来はしない。
「なんだかヤラシイ匂いがすんぞ」
「そ、んなこと・・・」
鼻先ひとつもギリギリまで触れない位置で止まり、吐息だけが肌を擽る。
ひく、と喉を震わせてまもりは指に力を込めた。
爪がヒル魔の手の甲に刺さり、痛いだろうに彼は全く頓着しない。
「・・・ァ」
それどころか、ふーっと熱く湿った吐息を耳朶に吹き込むのだ。
宥めるように彼の指がまもりの手の甲をなぞる。
じわりじわりと溶かされてしまいそうな、緩やかすぎる触れ方。
「手ェ以外は触ってねぇぞ」
「ひぅ・・・っ」
喉の奥で低く笑われて、まもりは泣きそうな声を上げてしまう。
「どうした?」
声音は獰猛さを押し隠した雄の声。
まもりは荒くなる呼吸を必死に抑えていたが、ほんの少し身じろぎしただけで手以外も触れる距離では隠し立てする方が無理だ。
頬を染め、赤くなった目尻に溜まった涙を吸い取られ、まもりはひくりと喉を震わせた。
「どうして欲しいんだ?」
徐々に熱を高め、自ら望むようにと仕向けるのが判っていても、逃げられない。
じわじわと追い詰められ、足場を失いつつあることに背筋を震わせる。
あと一歩、踏み出してしまえばそこはもう地獄に違いない。
だって。
「なあ」
天国であるなら心安らぐはずだ。
優しく、幸せであるはずだ。
「まだ我慢するのか?」
つり上がる唇の奥に、赤い舌がちろりと蠢く。
さながら地獄の業火のように。
「姉崎」
まもりは堪えきれず眸を閉じる。
そう、この先は地獄。
激しく熱く狂おしいほどに欲望に満ちた、恐ろしく甘美な闇の底。
***
裏に持って行こうと思って途中まで書いていたのですが、裏がなくなったので手直ししてアップ。
「うん」
頷いても、まもりの足はその場から動かなかった。根っこが生えてしまったかのようだ。
「姉崎」
諭すような響きと、手に絡みつく熱。
「なんで」
「ア?」
まもりの手を取る彼の手はいつもの通りあたたかい。けれど、手だけだ。
「なんで、手だけなの?」
ヒル魔はピンと片眉を上げる。
「テメェが言ったことだろ」
「・・・」
確かに、言った。けれど、ここまで引きずるとは思ってなかったのだ。
「おら」
ヒル魔が手を握ったまま軽くまもりを押しやった。
やっと玄関から上がると、ヒル魔はまもりの手を引くようにリビングへと向かう。
照明の落ちた室内に、彼は振り返った。
「なんだ、糞暗ェ場所で一人落ち込み中か?」
「違うわ」
けれど心情的には同じようなものだ。一人、切なく寝ようとしていた矢先の彼の帰宅。
嬉しいのに、素直にそう言えない。
絡みつく手だけが熱くて、それだけに縋るように手に爪を立てた。
ヒル魔はふん、と鼻を鳴らすと、手を握っているのとは逆の手に持っていた鞄を下ろした。
「!」
そうして、まもりのもう片方の手を取り、壁に押しつけるようにして立たせた。
「ヒ、ル魔くん?」
薄暗い空間の中、壁に追い詰められる。
互いの息が掛かるくらいの距離で、ヒル魔は低く囁いた。
「触っていいのは手だけ、だろ?」
す、と彼の顔がまもりの首筋に埋まる。
「っ!」
すん、と匂いを嗅がれるような仕草。
まもりは真っ赤になって彼を押し返そうとしたが、両手の指を絡ませ、深く繋げた状態では満足な抵抗など出来はしない。
「なんだかヤラシイ匂いがすんぞ」
「そ、んなこと・・・」
鼻先ひとつもギリギリまで触れない位置で止まり、吐息だけが肌を擽る。
ひく、と喉を震わせてまもりは指に力を込めた。
爪がヒル魔の手の甲に刺さり、痛いだろうに彼は全く頓着しない。
「・・・ァ」
それどころか、ふーっと熱く湿った吐息を耳朶に吹き込むのだ。
宥めるように彼の指がまもりの手の甲をなぞる。
じわりじわりと溶かされてしまいそうな、緩やかすぎる触れ方。
「手ェ以外は触ってねぇぞ」
「ひぅ・・・っ」
喉の奥で低く笑われて、まもりは泣きそうな声を上げてしまう。
「どうした?」
声音は獰猛さを押し隠した雄の声。
まもりは荒くなる呼吸を必死に抑えていたが、ほんの少し身じろぎしただけで手以外も触れる距離では隠し立てする方が無理だ。
頬を染め、赤くなった目尻に溜まった涙を吸い取られ、まもりはひくりと喉を震わせた。
「どうして欲しいんだ?」
徐々に熱を高め、自ら望むようにと仕向けるのが判っていても、逃げられない。
じわじわと追い詰められ、足場を失いつつあることに背筋を震わせる。
あと一歩、踏み出してしまえばそこはもう地獄に違いない。
だって。
「なあ」
天国であるなら心安らぐはずだ。
優しく、幸せであるはずだ。
「まだ我慢するのか?」
つり上がる唇の奥に、赤い舌がちろりと蠢く。
さながら地獄の業火のように。
「姉崎」
まもりは堪えきれず眸を閉じる。
そう、この先は地獄。
激しく熱く狂おしいほどに欲望に満ちた、恐ろしく甘美な闇の底。
***
裏に持って行こうと思って途中まで書いていたのですが、裏がなくなったので手直ししてアップ。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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