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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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てのひらに世界(中)


+ + + + + + + + + +
駅のすぐ側に立地するマンションから学校までは近い。
大した距離ではないが、まもりはちらちらとヒル魔を伺う。
「何だ」
「あの・・・手、繋いでいい?」
「フーン」
じろりと見下ろされ、まもりはおずおずと彼を上目遣いで見上げる。
「手はいいのか?」
ヒル魔はそう言い放つと、ぐいっとまもりの手を取った。
今まであまり―――というかほとんどヒル魔とは手を繋いで行動したことがない。
そもそも手を繋いで行動するのが面倒だったり暑苦しかったり恥ずかしかったり、色々と理由を並べ立てて、しなかった。
けれど、手だけでも繋ぎたい。
まもりは切実にそう思ったのだ。
「で、でも、手だけだからね!」
ヒル魔も間を置かず手を取ってくれたので、彼もきっとこの一週間超の禁欲に堪えかねたのだろうと思ったのだけれど。
「アーハイハイ」
ヒル魔は生返事をするだけで視線をまもりには向けない。
それがなんだか無性に寂しくて、まもりは少し俯いた。


それから、更に数日。明日には二週間目になる日。
朝からずっと、気がつけばため息の連続。
「まもー、またため息ついてるよ」
「ヒル魔と喧嘩でもしたん?」
友達に心配されてしまった。慌てて笑顔で取り繕うが、そろそろ限界が近い気がする。

触りたい。
キスしたい。
それ以上も、したい。

原始的な欲求。自らには無縁だと思っていた性欲というものの存在が鎌首をもたげる。
ほとんど上の空で帰宅し、今日は夕食は要らないと言い置いていた彼の分は用意せず、自分の分だけを食卓に並べる。
わびしい、一人きりの食事。
「・・・寂しい」
しょんぼりしながら食事を終える。味がしない。
せっかく二人で生活してるのに一人きりみたいだ。
片付けも一人分ではすぐ終わってしまう。
ぼんやりリビングでテレビを見る。
やっているバラエティーの世界は楽しそうで、寂しい自分との比較をしてしまい、余計に気がふさぐ。
「・・・もう寝よ」
呟いても一人。誰一人応じない空間が寂しくて寂しくて、眠ってしまおうと立ち上がった、その時。
「帰ったぞ」
「!」
ぴん、と耳があったら立っているであろう勢いでまもりは玄関へと向かう。
「お、かえりなさい!」
頬を紅潮させた状態で駆けてきたまもりに、ヒル魔は少し目を丸くした。
「タダイマ」
いつまでもどこかぎこちない挨拶。
靴を脱いで上がろうとするヒル魔の前に、まもりは立ち尽くしていた。

<続>
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ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
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