旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
部活を終えて、資料纏めやら伝票処理やらを進めるまもりの隣でヒル魔はデータを纏めているのかパソコンをいじっている。
まもりはペンを走らせる自らの指をふと見て、それからパソコンのキーボードを叩くヒル魔のそれを見た。
随分と長い。
それに骨張っていて、大きい。
自分の手を止めて、まじまじと見る。
女としてはそれなりの大きさであるまもりの手は、それでもヒル魔と比較してしまうと随分小さいように思える。
「何やってんだ、糞マネ」
声に顔を上げれば、パソコン画面から視線を上げ、こちらを見ているヒル魔の姿。
「休憩ならコーヒー淹れろ」
「うん」
タイミングとしては悪くない。まもりは立ち上がり、コーヒーメーカーのスイッチを入れる。
カップを用意しながらまた自らの手を見る。
母親と他愛ない話をしていたら、手の話題になったのだ。
正確に言えば指だけれど。
『指の長い人は幸せを掴むんだって聞いたのよ』
それは手の厚みがある人はお金持ち、という俗説と同じだと思ったのだけれど。
母親の他愛ない話題にわざわざ突っ込む程まもりも子供ではない。
「・・・ねえ、ヒル魔くん」
「ア?」
ヒル魔好みに濃いめに淹れたブラックコーヒーを差し出し、まもりは口を開く。
「指の長い人って幸せを掴むんですって」
「ホー?」
「ウチの母がなんだかそんな話をしててね」
まもりは自らの分をカフェオレにして席に戻る。
「指の長い人って言ったらヒル魔くんだなあって」
ヒル魔はふーん、と興味なさそうな声を発してコーヒーに口を付ける。
「幸せを掴む、か。ヒル魔くんは何を掴むつもり?」
判っていてまもりはそう言う。
ヒル魔もぴん、と片眉を上げてにやりと笑った。
「クリスマスボウル」
「よね」
定番の言葉遊びのような、けれどその奥に埋み火のように消えない情熱を滲ませて、そうやってヒル魔はことあるごとに口にする。
くだらない、何度も言わすな、と言いそうなのに。
そうやって何度も何度も口にして、そうやってたぐり寄せて掴むつもりなのだ。
あの栄光の舞台に立つための勝利を。
その後もしばらく作業し、ある程度のところで目処を付けて二人は帰り支度をする。
慣れたタイミングで鍵を掛けるヒル魔が先に行くまもりの隣に並んで二人で歩いて帰るのも、もう日常。
ふと、いつもならさほど距離を置かず隣に来るはずのヒル魔がなかなか来ない。
不思議に思って振り返れば、そこには数歩後ろを歩く彼の姿。
「どうしたの?」
「ベツニ」
そう言いながらヒル魔は足音もなく近づいて来て、そして。
「いたっ」
彼の指がまもりの髪に掛かった。後ろに引かれてまもりは痛みよりも驚きで声を上げてしまう。
「何するの?!」
やっと隣に並んだヒル魔に噛みつくが、彼はにやにやと笑うだけだ。
結局そのことについては触れず、駅まで歩く。ふと彼が口を開いた。
「次に掴んでやるよ」
「え?」
唐突な言葉の意味を計りかねて隣を見上げたまもりの頭を、ヒル魔の手がぐしゃぐしゃにかき回す。
「ちょっと?! 何よ、もう!」
「ナントナク」
「何となくで人の髪の毛ぐちゃぐちゃにしないで!」
手櫛で髪をなでつけながら、恨みがましい顔で見つめるが彼は飄々としたまま踵を返す。気づけばもうそこは駅だった。
「ありがとうヒル魔くん! おやすみ!」
送ってくれた事に律儀に礼を述べて、まもりはホームへと脚を進める。
それを肩越しに見やってヒル魔も帰路に就いた。
***
前も似たようなの書いた気が・・・。指が長い人は幸せを掴む、とウチの職場の人が言ってたので頂きました。
まもりはペンを走らせる自らの指をふと見て、それからパソコンのキーボードを叩くヒル魔のそれを見た。
随分と長い。
それに骨張っていて、大きい。
自分の手を止めて、まじまじと見る。
女としてはそれなりの大きさであるまもりの手は、それでもヒル魔と比較してしまうと随分小さいように思える。
「何やってんだ、糞マネ」
声に顔を上げれば、パソコン画面から視線を上げ、こちらを見ているヒル魔の姿。
「休憩ならコーヒー淹れろ」
「うん」
タイミングとしては悪くない。まもりは立ち上がり、コーヒーメーカーのスイッチを入れる。
カップを用意しながらまた自らの手を見る。
母親と他愛ない話をしていたら、手の話題になったのだ。
正確に言えば指だけれど。
『指の長い人は幸せを掴むんだって聞いたのよ』
それは手の厚みがある人はお金持ち、という俗説と同じだと思ったのだけれど。
母親の他愛ない話題にわざわざ突っ込む程まもりも子供ではない。
「・・・ねえ、ヒル魔くん」
「ア?」
ヒル魔好みに濃いめに淹れたブラックコーヒーを差し出し、まもりは口を開く。
「指の長い人って幸せを掴むんですって」
「ホー?」
「ウチの母がなんだかそんな話をしててね」
まもりは自らの分をカフェオレにして席に戻る。
「指の長い人って言ったらヒル魔くんだなあって」
ヒル魔はふーん、と興味なさそうな声を発してコーヒーに口を付ける。
「幸せを掴む、か。ヒル魔くんは何を掴むつもり?」
判っていてまもりはそう言う。
ヒル魔もぴん、と片眉を上げてにやりと笑った。
「クリスマスボウル」
「よね」
定番の言葉遊びのような、けれどその奥に埋み火のように消えない情熱を滲ませて、そうやってヒル魔はことあるごとに口にする。
くだらない、何度も言わすな、と言いそうなのに。
そうやって何度も何度も口にして、そうやってたぐり寄せて掴むつもりなのだ。
あの栄光の舞台に立つための勝利を。
その後もしばらく作業し、ある程度のところで目処を付けて二人は帰り支度をする。
慣れたタイミングで鍵を掛けるヒル魔が先に行くまもりの隣に並んで二人で歩いて帰るのも、もう日常。
ふと、いつもならさほど距離を置かず隣に来るはずのヒル魔がなかなか来ない。
不思議に思って振り返れば、そこには数歩後ろを歩く彼の姿。
「どうしたの?」
「ベツニ」
そう言いながらヒル魔は足音もなく近づいて来て、そして。
「いたっ」
彼の指がまもりの髪に掛かった。後ろに引かれてまもりは痛みよりも驚きで声を上げてしまう。
「何するの?!」
やっと隣に並んだヒル魔に噛みつくが、彼はにやにやと笑うだけだ。
結局そのことについては触れず、駅まで歩く。ふと彼が口を開いた。
「次に掴んでやるよ」
「え?」
唐突な言葉の意味を計りかねて隣を見上げたまもりの頭を、ヒル魔の手がぐしゃぐしゃにかき回す。
「ちょっと?! 何よ、もう!」
「ナントナク」
「何となくで人の髪の毛ぐちゃぐちゃにしないで!」
手櫛で髪をなでつけながら、恨みがましい顔で見つめるが彼は飄々としたまま踵を返す。気づけばもうそこは駅だった。
「ありがとうヒル魔くん! おやすみ!」
送ってくれた事に律儀に礼を述べて、まもりはホームへと脚を進める。
それを肩越しに見やってヒル魔も帰路に就いた。
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前も似たようなの書いた気が・・・。指が長い人は幸せを掴む、とウチの職場の人が言ってたので頂きました。
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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