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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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聖女降臨

(ヒルまも)

※まもりが他校生です
※30000HIT御礼企画作品

+ + + + + + + + + +
さらさらと桜の花びらが散る春の日。
四季の移り変わりに取り立てて感情を揺さぶられる事のないヒル魔は、後がない一年の開始なのだということだけを脳裏に浮かべながらコンビニへと出掛けていた。
新入生は入学式と部活勧誘の説明会が終わった後、一年生達は興味を引かれた部活に仮入部をするか、とりあえず帰宅するかのどちらかに別れる。既に希望を持って部活に参加する連中の中でも優秀なのがいれば無理にでも欲しいところだが、帰宅部に甘んじようとする連中を捕まえて幽霊部員程度にでも名簿に名を連ねておくのも必要だ。
つらつらとそんなことを考えながらまずは部室に顔を出そうと校門にさしかかったところで。
「止めて下さい!」
「いいじゃん、君、ここの人に用事があるんでしょ?」
「俺たち連れてきてあげるからさあ」
見れば他校の制服を着た女子高生に泥門の生徒が絡んでいる。
絡んでいる生徒の体躯を見てこれは助っ人枠にいいかもな、という考えでヒル魔は近寄る。
「お気遣いなく! 私、ここで待ってるって約束したんです!」
ぱしん、となれなれしく触ろうとした男の手を、女子高生がたたき落とした。
それににわかに顔色を変える連中の肩を叩く。
「んだっ・・・」
「随分と楽しそうでございますネェ」
「・・・ヒ、ヒ・・・ル・・・」
固まる男達にヒル魔は手帳を取り出してガリガリと書き付ける。
それを見て男連中は悲鳴を上げながら脱兎の如く逃げ去った。
「ケッ」
見れば半分は三年生だったので試合の助っ人としては望めない。
チッ、と舌打ちしていると、隣から声が掛かった。
「あ、ありがとうございます!」
「ア?」
そういえば女子高生が絡まれていたな、とヒル魔は声の方を向いて。
一瞬、惚けた。
整った造作の中でも一番目を引くのは真っ青な瞳。
明るい茶色の髪に、抜けるように白い肌、すらりとした体躯。
「あの、私、ここの一年生の小早川瀬那を待ってるんですが、一年生ってこっちから出てきますか?」
「・・・アー、多分」
「そうですか。じゃあ待ってみます」
彼女は白い制服を着ていた。川向こうの聖徳女子高校の制服だ。ここらへんじゃまず見ない。
聖徳女子と言えば『聖女』のあだ名で通り、学力は勿論の事、見た目にも整った生徒が多い事で有名だ。
その中でも彼女は群を抜くだろうと思われた。
「テメェ、なんでこんな所に来たんだ?」
「え?」
「ここはテメェみたいなお上品な女が来るような場所じゃねぇだろ」
泥門は校風こそ自由を謳っているが、学力的にも実際はあまり柄のよろしくない連中がたむろするような高校だ。まさに掃き溜めに鶴。
「私の幼なじみがここに通ってるんです」
「ホー?」
彼氏持ちか、それならば納得できると考えたヒル魔に更に声が続く。
「弟みたいでほっとけなくて。去年受験勉強につきっきりで付き合って、無事高校に入れたって聞いて。制服姿、まだ見てなかったから・・・」
「・・・テメェは母親か」
認識が改められ、思わずなんだこの糞保護者、という顔をしてしまった。彼女はそれにも苦笑するばかり。
「だってセナって虚弱で貧弱で脆弱で最弱なんですもん!」
「・・・ホー」
ヒル魔は彼にしては珍しく、顔も知らないそのセナという少年に憐憫を覚えた。
幼なじみとはいえこのような美女にこき下ろされては、男として情けないとしか思えないだろう。
「すごく優しい子なんですけど、恐がりだからすぐパシリっていうのにされるって聞いてて」
「ホホー」
「だから迎えに来た方がいいかなって思ったの」
「連れてきてやろうか」
「え?」
「テメェの言い分じゃ校舎内で絡まれてる可能性の方が高そうだからな」
「う・・・」
「そいつの写真とかあるか?」
「あ、ええと、プリクラなら」
取り出された手帳には年頃らしくいくつもプリクラが張られている。
その中にあったのは、小さく縮こまった学ランの少年だった。
「この子がセナ。身長は私より少し低い位なの」
「ホー」
「じゃあテメェの名前は?」
「あ! ごめんなさい、名乗ってなかったわ! 私の名前は姉崎まもりといいます」
あの、とまもりはちらりとヒル魔を見上げる。
「あなたの名前も聞いていいかしら?」
「おー。俺は蛭魔妖一」
「ひるまよういちさん、ね」
「携帯あるか」
「ええ」
「見つけたら連絡する。番号は」
「ええと・・・」
赤外線受信とかってどうやるか知らないので、お願いしていいかしら。
そう無防備に携帯を寄越す警戒心のなさに内心呆れながら、ヒル魔はその情報を自らの携帯に落とす。
無論、電話帳に記載されているデータを全て、だ。
「じゃあ・・・」
まもりがお願いします、と言おうとしたところで。
凄い勢いで駆け抜けていく人影。その後を数名の男が追いかけていく。
「待てコラァ!」
「テメェふざけんなぁ!!」
その様子にまもりは怯えたように肩を竦ませる。
「テメェは帰れ」
「え? でも・・・」
「そのセナとかいうガキならこっちで捕まえてやる。俺が離れたら間違いなくテメェはまた絡まれるぞ」
「ええ?! で、でも・・・」
「いいから帰れ。そいつはさっさと帰ってるかもしれねえしな」
じゃあな、そう言ってまもりと別れ、ヒル魔は校内に戻る。
そして適当な原付のロックを解除すると、一路先ほどの人影が走り去った方角へと走り出した。
光速で走り抜けた人影、あれはセナだった。
そうして追いついた先で、ヒル魔は彼の黄金の脚を目撃する事となる。



『ヒル魔さん、ありがとうございました。セナ、無事帰ってました』
「さん付けなんぞするんじゃねぇ。敬語もだ」
『え、だって・・・』
「テメェとは同じ年なんだよ」
『あ、そうなんだ! ・・・ええと、じゃあヒル魔くんって呼んでいい?』
「ドーゾ」
『ふふ、見た目は強いけど優しいのね』
「・・・そりゃドーモ」
『照れなくていいのに』
「ハイハイ」
適当な会話を続けながら、ヒル魔は新たな計画を組み立てる。今日捕まえたセナは間違いなくRBとして重要な戦力になるだろう。その後を追っていた不良三人組、あいつらも鍛えたら使えるかも知れない。
『セナがアメフト部で主務っていうのやるって聞いたから、私も手伝おうと思って』
「マネージャーなら枠はあるぜ」
『他校生でも大丈夫?』
「おー」
『じゃあ私も明日から学校が終わったらそっちにすぐ行くから』
また明日、と告げて電話は切れた。ヒル魔は作業を中断していたパソコンに向き直る。
メンバーの目処も多少なりともつき、サポート部分で必要としているところに、丁度いい女が見つかった。
手駒が揃っていく楽しみと、それ以上に手に入れたい存在を見つけた事に、ヒル魔は口角を上げた。


***
すみれ様リクエスト『まもちゃんに一目惚れするヒル魔さん』でした。試合を見に来たときに云々と伺っていたのにすごく王道のシーンが書きたくなってついこんな感じで書いてしまいました。ああ楽しかったです!
ヒル魔さんが鈍いまもちゃんに苦労して欲しいという旨のご要望もあったのですが、そこまでは進みませんでした・・・。きっと今後苦労するんだろうなあ(他人事)。
リクエストありがとうございましたー!!

すみれ様のみお持ち帰り可。
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ありがとうございました!!
鳥様!!!!
お礼が遅れて申し訳ありません。今回欲張って二本もリクエストをさせていただきましたが…
このお話ももう一本のお話も一人でニヤニヤしながら読んでました←
満腹です(´∀`)vV
ごちそうさま…じゃなかった
本当にありがとうございました!!
ウハウハなテンションですみません。←
更新頑張って下さい!!
すみれ 2008/08/06(Wed)20:40 編集
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