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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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秘すれば花

(軍隊上司ヒル魔とその副官まもり)

※30000HIT御礼企画作品

+ + + + + + + + + +
大将と元帥の二人の結婚式は、王が大々的に指揮して大がかりなものを執り行う事になった。
「糞面倒臭ェ!」
「全く持って同感です」
当の本人達はそんなつもりが全くなかったので、まるで国営行事の如く執り行われる式次第を前に天を仰いでしまった。
「テメェ一人嫁にするのにどれだけ手間が掛かるんだ!」
「だから最初から普通に言って下されば!」
「そしたら絶対逃げただろうが!」
「普段の行いを見たら嘘だと思われるようなことをしている方が悪いんです!」
二人揃って執務室に籠もり、言い合いになっているところにムサシと栗田がやってくる。
それに構わず喧嘩を続ける二人が投げ出した式次第を見て、長い付き合いの二人は苦笑してしまう。
「そりゃあこれじゃ何かの祭典みたいだもんね」
「王が参加するならこれくらいしないといかないんだろ」
「誰があの糞タヌキを呼んだか! 勝手に参加するっつってんだから放っておけ!」
「あなたが許可取ったからでしょ!?」
「俺が取ったのは結婚の許可だけだ!」
それでも結婚自体を取りやめる事はないようだ。
栗田とムサシは肩をすくめ、おもむろに二人の肩に手を置く。
「アァ!?」
「何するんですか?」
「すまんが、お前らを御前に連れてこいとのお達しなんでな」
しまった、と二人は逃げだそうとするがどちらも腕力で勝てる相手ではない。
ヒル魔は栗田に、まもりはムサシにそれぞれ捕まってしまう。
「暴れないでよ、ヒル魔」
「だったら手を放せ!」
「もー、じゃあ担いじゃおう」
「テメッ!!」
まもりはムサシの小脇に抱えられてしまう。
ならば、とまもりは術を使おうとしたが、それはムサシの手で口を塞がれて叶わなかった。
「むー!」
「じゃあ行こうか」
「うん。早くしないと王様がお待ちかねだよ~」
のんきな二人の声に、担がれたままのヒル魔と抱えられたままのまもりは各々抵抗したが、誰もそれを止める者はいなかった。

「散々な状態じゃのう」
暴れてボロボロになってむっつりと黙る二人の前で、ほっほっ、と笑う王はタヌキと呼ぶにふさわしい。
「この度の事は国民にも知らしめておくべきことじゃからのう」
国民にとって軍人は位が上がれば上がる程接点がない。ヒル魔とまもりについては、名前は知っているが顔は知らない、という連中が大多数だ。
けれどそれでヒル魔とまもりが困る事はない。知られないで困るとしたら、それは王の方だろう。
彼らの顔を知らないがために軍隊を抜けて他国に行かれたりしたら大打撃だから。
それが判らない二人ではないから、余計に腹を立てるのだ。信用がないと言われているようだから。
「建前がどうであれ、儂は貴殿らが幸せになる手助けをしたいだけじゃ。貴族には口さがない連中も多いからのう」
ヒル魔がぴんと片眉を上げた。
王は自らの承諾一言ではまだ貴族連中の諍いを止めるには至らないと言っている。
王は王なりに余計な心労を増やさないように気遣っているようだった。
「・・・お気遣いありがとうございます」
嫌々ながらも承諾して二人は頭を下げる。ほっほっ、と王はまた鷹揚に笑った。
「これは儂からの贈り物じゃ」
まもりの前に出されたのはそう大きくもない箱だった。
「式では貴殿ら二人の意志はないに等しいからのう。せめてもの侘びとでも言おうか」
式が終わった後に開くがいい、そう言われて疑問符を頭に貼り付ける二人だが、ありがたく拝領してその場を後にした。

そうして結婚式は式典という形で恙なく行われた。
中でもまもりの婚礼衣装姿は誰もが目を瞠り、呆然と見守り、こんな美女が我々の国を守る軍隊を率いているのだ、と知って歓喜に湧いた。
彼女はとかく自分が美しいとか綺麗とか美人とかそういった感覚がないのだが、誰が見ても彼女は充分美しい。更に婚礼衣装を纏い、化粧を施した彼女はこの世のものとは思えない程の美しさだった。
「すっげー美人! さっすが元帥ィ!」
「ハ、綺麗だとは思ってたけどすげぇなあ」
警備にかり出されたデビルバット軍の面子もその美しさに感嘆する。
見慣れている彼らだってこの有様なのだ、初めて目にする者たちはそれこそ度肝を抜かれただろう。
貴族連中でも参加している女性陣は式典の花のような役割を果たしているのだが、彼女の美しさの前では添え物程度でしかない。ヒル魔によく言い寄っていた女達もこのまもりの姿を見て何も言えていない。
なんというか、桁が違う。
だから会場内は妙に静かだった。
「静かですね」
「テメェに見惚れてるんだろ」
「は? 何でです?」
「・・・テメェな、いい加減自分のナリに無関心なのやめやがれ」
声を潜めながら二人は会話する。見た目には表情をさほど崩さないように。
「そんなに化けてます? そりゃ化粧はこれ以上ないってくらい塗られましたけど」
「化けてるとか言うな」
自分の顔がそんなに人目を引くとはまもりは本当に思っていないのだ。
どうにも自分が綺麗だという事を認めないまもりに、ヒル魔はそっと囁く。
「俺がこんな茶番に巻き込まれても文句言わねぇのは相手がテメェだからだ」
ちら、とまもりがヒル魔を見上げる。
「俺が惚れた女だからな」
「っ!!」
ぼん、と音がしそうな勢いでまもりは赤面する。
遠回しに言うよりストレートに言った方が理解できるということは今までの付き合いで把握していた。
「それよりも覚悟しろよ、テメェ」
「何がですか?」
赤面したまま見上げるまもりに、ヒル魔はにやりと笑うだけだ。
まもりは本気でヒル魔の真意を測りかねて首を傾げている。
けれど少し考えれば判るはずだ。
その笑みは以前結婚を申し込んだ後、新居を構える話で揉めたときに見せたものと同じだということに。
実際この式典準備のせいで二人はそれこそ顔を合わせる暇さえなく一ヶ月近くを過ごしていた。
そうしてそのせいで二人は未だ清らかな関係だったりする。
この式典の後は一週間の特別休暇があるので、ヒル魔は割と機嫌が良かった。
まもりは結局理解できず、式典の最中ずっと何に覚悟するのだろう、と考えていたのだけれど。

式典を終えて宴会を過ごし、どうにか二人で新居となる屋敷に戻ってきたのは日付もそろそろ変わろうか、という時刻だった。朝から式を行っていたことを考えればとんでもない時間かかずらっていたということになる。
「・・・つ、疲れましたね・・・」
「おー・・・」
それでも二人の顔は明るい。とりあえず難局を越えたということと、明日からは一週間の休みがある。
「それにしても、婚礼衣装を最後まで脱がせて貰えないとは思いませんでした」
未だに着込んだままの婚礼衣装は派手な装飾により結構な重量で、まもりは早く脱ぎたい、と背のファスナーに手を伸ばした。
「それはまだだめだ」
「え?」
「とりあえず王に拝領した箱があっただろ、あれ開けてみるぞ」
「? はい」
まもりは疑問符を再び頭に貼り付けつつ、それでもいそいそと箱を持ってきた。
大きくもないし重くもない。王の言葉もあったが、忙しさにかまけて中身をまだ見ていない。
そして開いた中に入っていたのは、婚礼衣装と同じような素材の衣装だった。
「? なんですか、これ?」
ヒル魔はそれに気づいてにやりと口角を上げる。
「寝室に行くぞ」
「はあ」
まもりは衣装を手に、手を引かれるままに寝室に連れ込まれる。
そろそろ精神的な疲れも溜まってきているので、早く衣装を脱いで寝てしまいたかった。
手にしていた衣装をサイドボードに乗せ、まもりはヒル魔に声を掛けた。
「あの、ファスナーを下ろして貰えます?」
なんの警戒もなくくるりと背を向けたまもりの肩に、ヒル魔の手がかかる。
そうしてそのまま抱き寄せられた。
ベッドに座っていたヒル魔に引かれて、彼女もその脚の間に引き寄せられる。
「ちょ・・・っ」
「テメェは本当に糞鈍いな」
くっくっと笑われ、まもりは反論しようと口を開こうとして。
「っ!」
首筋に唇を這わされ、まもりはひくりと肩を震わせた。
そのまま軽く歯を立てられ、ひくんひくんと身体が勝手に跳ねる。
「ちょっ! な、にするんですか!」
「今日は初夜だろ」
「しょ・・・」
まもりはそこで初めて今の状況を理解した。
ここは新居で他に誰もいない、背後の男とはつい先程結婚した。
しかも熱っぽく抱きしめられ、さすがに鈍いと定評のあるまもりであってもこの後に続く行為に気づかないはずがない。ましてや知識ばかりは人並み以上にあるまもりである。
彼女は一気にパニックになった。
「ちょっと、え、待って! 待って下さい!!」
「テメェ、俺にどれだけオアズケ喰わせてると思ってるんだ」
「きゃ・・・」
ぐるる、とまるで腹を減らした獣が襲いかかるような低音で耳元に囁かれ、まもりは小さく悲鳴を零す。
先ほど自ら所望したファスナーを下ろされるという行為に、まもりは逃げられないと身体を硬くした。

□■□■□続きは裏へどうぞ

そうして一週間の休みが明け。
今日からヒル魔元帥ですね、と部下に言われてまもりは力無く頷く。
眉間の皺が通常の三割り増し、動きも緩慢で辛そうだ。
「大丈夫ですか?」
日頃から何くれと無く世話を焼いてくれる鈴音の淹れてくれた紅茶を飲みながらまもりは頷く。
声を出すのも億劫だ。
「大将は元気そうでしたけどね」
「・・・あれは悪魔よ」
「元帥?」
彼女らしからぬ掠れた声に、鈴音は目を瞬かせる。きっちりと着込まれた軍服からは伺い知る事が出来ないが、おそらく全身に所有の証が刻まれているのだろうことは容易く想像できた。
「・・・大将は随分と元帥にご執心でしたからね」
憐憫の籠もった瞳で見つめられ、まもりは苦々しい気持ちで紅茶を飲み干した。
仕事は沢山ある。休みを貰ったといっても、ヒル魔やまもりでないと決裁できない書類は山のようにあるのだ。
それらに判子を押しながら、まもりは階下から響いてきたヒル魔の怒号を耳にする。
随分と楽しげなそれに理由を知るまもりはため息しか出ない。
今後の生活に一抹の不安を抱きつつ、まもりはとりあえず目前の書類に没頭する事に決めたのだった。

***
夜陰様リクエスト『元帥と大将の新婚初夜』でした。書いてたら裏部分が異様に長くなったのでどうしようかと思案しましたが、せっかく書いたのでそのままにしておきました(笑)。なんだか私初物すごく好きみたいな流れになっていてそれはそれで恥ずかしいのですが・・・(苦笑)。楽しく書かせて頂きました♪
リクエストありがとうございましたー!!

夜陰様のみお持ち帰り可。
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