旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
ここはアメリカのとある一軒家。大学からほど近いそこに居を構えているのはまもりとヒル魔の二人だった。
しかし二人は特に付き合っているわけでもなければ結婚しているわけでもない。
同じ大学に通う単なる同居人である。
「ヒル魔くん、コーヒー飲む?」
「おー」
家には部屋は四つあり、一人二つずつ使用している。
キッチン・風呂・トイレが一つずつ、二人が今座っているリビングも共有スペースだ。
「そういえばこないだの講義、レポートできた?」
「今日やる」
「そう? なら私も一緒にやってもいい? どうにも詰まっちゃって」
「おー。資料貸せよ」
「いいわよ」
アメリカの大学はとかく提出物が多い。日本とは違い、容赦なく成績が足りない者たちは弾き飛ばされていく。二人の受講するコースは全て一致というわけではないが、合致するモノに関しては協力して進めていこうという取り決めをしてある。そうでもしないと量が多すぎて一人では乗り切れない事がざらなのだ。
「ヒル魔くんと一緒の講義で助かったわ」
レポートを纏めながらまもりは苦笑する。最近ではメール添付でなければレポート受付をしない教授も多いので、まもりは四苦八苦しながらパソコンと格闘する日々を送っている。
こういうときにパソコンに強いヒル魔がいると心強い。手伝ってはくれないが。
「おい姉崎、あの資料どこやった」
「え? これね」
はい、と分厚い本を渡し、まもりはパソコンに向かう。
「慣れりゃ早ぇじゃねぇか。なんで高校の時に覚えなかったんだ」
「だって必要に迫られなかったじゃない。データはヒル魔くんが纏めてくれてたし」
ヒル魔程とは言わないが、今ではまもりも結構な速度で打てるようになっている。元より努力するのを厭わないまもりの性質ではその気になればなんでも覚えるのは早いのだ。
「あ、それ取って」
「おー」
走り書きしていたメモをヒル魔から受け取り、まもりは清書していく。
カタカタという音が二人分、空間に満ちていく。
こんな日が来るなんて思わなかった、とまもりは手を動かしながら過去を振り返る。
寄ると触ると喧嘩してた一年生。
成り行きで始めたマネージャーとそのキャプテンとして過ごした二年生。
三年の時にはどこか遠く離れた位置になった。
そしてアメリカで同じ大学に通うことになったことで、二人はなし崩しに同居を始めた。
今ヒル魔と生活していると聞くと、誰もが青ざめまもりの身を案ずるが、二人の間にはそういったことは全くなかった。その感情は愛情とは呼べなかった。かといって友情とも違うような。
親友と言い換えてもいいくらいの位置にいるが、その表現はそぐわない気がするし。
「ねえ」
「ア?」
「私たちってなんなのかしら」
「アァ?」
ヒル魔はぴたりと手を止めた。
「何を言いたい?」
「親友とか友達っていうのはまた違う気がするし」
だからといって恋人じゃないしね、と首を傾げるまもりにヒル魔はあっさりと答えを寄越した。
「戦友だろ」
その言葉にまもりはぱちりと瞬きし、そして微笑んだ。
「そっか」
あの強烈な八ヶ月間を共に駆け抜ける間に、ヒル魔との間に芽生えたのは友情とか愛情とかいう甘ったるいものではなかった。うつろい途絶えることのない、戦いを越えた者たちだけが繋がるものに、二人は属している。
「んなこと考えてる暇あったら手ェ動かせ。間に合わねぇぞ」
「そうよね。あーあ、早く終わらせてシュークリーム食べたーい」
「糞ッ! 気分悪ィモン想像させるんじゃねぇ!」
「私にとっては活力なんですー」
くだらない言葉を交わしながら二人はレポートを書き上げていく。
かつての熱に浮かされたような闘いとは違うけれど、今も二人は共に闘いを続けている。
互いに交わる事はないけれど、平行して歩み続けられることを誇りと思える、戦友として。
***
まみ様リクエスト『アメリカでシェアメイトなヒルまも(友人同士)』でした。友人・・・かえって難しいな・・・と悩みました。互いにサバサバしているとしたら、これ以上なく楽な過ごし方が出来るような気もしますね。
リクエストありがとうございましたー!!
まみ様のみお持ち帰り可。
しかし二人は特に付き合っているわけでもなければ結婚しているわけでもない。
同じ大学に通う単なる同居人である。
「ヒル魔くん、コーヒー飲む?」
「おー」
家には部屋は四つあり、一人二つずつ使用している。
キッチン・風呂・トイレが一つずつ、二人が今座っているリビングも共有スペースだ。
「そういえばこないだの講義、レポートできた?」
「今日やる」
「そう? なら私も一緒にやってもいい? どうにも詰まっちゃって」
「おー。資料貸せよ」
「いいわよ」
アメリカの大学はとかく提出物が多い。日本とは違い、容赦なく成績が足りない者たちは弾き飛ばされていく。二人の受講するコースは全て一致というわけではないが、合致するモノに関しては協力して進めていこうという取り決めをしてある。そうでもしないと量が多すぎて一人では乗り切れない事がざらなのだ。
「ヒル魔くんと一緒の講義で助かったわ」
レポートを纏めながらまもりは苦笑する。最近ではメール添付でなければレポート受付をしない教授も多いので、まもりは四苦八苦しながらパソコンと格闘する日々を送っている。
こういうときにパソコンに強いヒル魔がいると心強い。手伝ってはくれないが。
「おい姉崎、あの資料どこやった」
「え? これね」
はい、と分厚い本を渡し、まもりはパソコンに向かう。
「慣れりゃ早ぇじゃねぇか。なんで高校の時に覚えなかったんだ」
「だって必要に迫られなかったじゃない。データはヒル魔くんが纏めてくれてたし」
ヒル魔程とは言わないが、今ではまもりも結構な速度で打てるようになっている。元より努力するのを厭わないまもりの性質ではその気になればなんでも覚えるのは早いのだ。
「あ、それ取って」
「おー」
走り書きしていたメモをヒル魔から受け取り、まもりは清書していく。
カタカタという音が二人分、空間に満ちていく。
こんな日が来るなんて思わなかった、とまもりは手を動かしながら過去を振り返る。
寄ると触ると喧嘩してた一年生。
成り行きで始めたマネージャーとそのキャプテンとして過ごした二年生。
三年の時にはどこか遠く離れた位置になった。
そしてアメリカで同じ大学に通うことになったことで、二人はなし崩しに同居を始めた。
今ヒル魔と生活していると聞くと、誰もが青ざめまもりの身を案ずるが、二人の間にはそういったことは全くなかった。その感情は愛情とは呼べなかった。かといって友情とも違うような。
親友と言い換えてもいいくらいの位置にいるが、その表現はそぐわない気がするし。
「ねえ」
「ア?」
「私たちってなんなのかしら」
「アァ?」
ヒル魔はぴたりと手を止めた。
「何を言いたい?」
「親友とか友達っていうのはまた違う気がするし」
だからといって恋人じゃないしね、と首を傾げるまもりにヒル魔はあっさりと答えを寄越した。
「戦友だろ」
その言葉にまもりはぱちりと瞬きし、そして微笑んだ。
「そっか」
あの強烈な八ヶ月間を共に駆け抜ける間に、ヒル魔との間に芽生えたのは友情とか愛情とかいう甘ったるいものではなかった。うつろい途絶えることのない、戦いを越えた者たちだけが繋がるものに、二人は属している。
「んなこと考えてる暇あったら手ェ動かせ。間に合わねぇぞ」
「そうよね。あーあ、早く終わらせてシュークリーム食べたーい」
「糞ッ! 気分悪ィモン想像させるんじゃねぇ!」
「私にとっては活力なんですー」
くだらない言葉を交わしながら二人はレポートを書き上げていく。
かつての熱に浮かされたような闘いとは違うけれど、今も二人は共に闘いを続けている。
互いに交わる事はないけれど、平行して歩み続けられることを誇りと思える、戦友として。
***
まみ様リクエスト『アメリカでシェアメイトなヒルまも(友人同士)』でした。友人・・・かえって難しいな・・・と悩みました。互いにサバサバしているとしたら、これ以上なく楽な過ごし方が出来るような気もしますね。
リクエストありがとうございましたー!!
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プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
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