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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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罪状・天然

(ヒル魔とまもりと泥門デビルバッツと+α)

+ + + + + + + + + +
見慣れぬドレッドヘアの男―――阿含が泥門高校の門をくぐった。
そのままゆったりとした足取りでグラウンド側までやってくる。
部員に指示すべく叫ぶヒル魔の傍らには、マネージャー姉崎まもり。
彼女はめざとく阿含を見つけた。
「・・・あら?」
その様子に皆の視線が一気にそちらへ向いてなんとも形容しがたい顔になる。
「ヨォ、久しぶり」
軽々しい口調で声を掛けてくる阿含を一瞥し、なんの用だとヒル魔は刺々しく口にする。
「別に? 特に用はねぇけどテメェのツラ見に」
「なら帰れ」
一触即発の空気が発生しているにもかかわらず、その空気を読めない女が一人。
「ヒル魔くん、せっかく遠くから来てくれたのに、その言い方はないんじゃない?」
「ア?!」
呆れるヒル魔の脇から、すかさず阿含がまもりとの距離を縮め、サングラスを外す。
「やあ、姉崎さん、こんにちは」
「こんにちは!」
にこにこと笑って阿含に挨拶するまもりに、ヒル魔は眉間に皺を寄せた。
「以前、生徒手帳を拾ってくださってありがとうございました」
「え? いやいや、そんな大したことじゃないよ」
「でも大切なものだったので助かりました」
「じゃあこれからお茶でも飲みに行こうか・・・」
たらし全開の笑顔で阿含がまもりを堂々とナンパする。
が。
「え?」
「糞マネ! 油売ってんじゃねぇ!」
ぐい、とヒル魔がまもりの肩を掴んで後ろに引く。
阿含とまもりの間に身体を滑り込ませるヒル魔に、阿含はにやにやと笑う。
「テメェはさっさと休憩の準備してこい」
「え、でも阿含くんが」
「糞ドレッドの相手は俺がする」
ヒル魔の追い払う仕草にまもりはむっとした顔をしつつ、部室へと走っていく。
「姉崎・・・まもりちゃん? だっけ? かわいいな、あの子」
「ナンパが目的なら他あたれ」
「あんな上玉目の前にしてそりゃ無理な相談だな」
険悪な二人の遙か後方で、部員たちがどうしたものかと思案している。
ライン組はともかく、バックス組は基礎練習が終わってしまったので、次のパス練に行きたいのだがヒル魔の不在でそれもできず手が止まってしまった。
「こういうときに限ってどぶろく先生いないんだもんな」
「アハーハー! いっそ僕たちもラインに混ざろうよ!」
「そりゃ無理だよ」
「どうなるんだろう、あの二人・・・」
遠くから見ていてもそれと判る程恐ろしい空気を醸す二人。
あの二人を並べてインタビューしたという熊袋リコという女子高生は大したもんだと皆は思う。
「はい、休憩でーす!!」
タイミング良くまもりの声が掛かる。既に止まっていたバックス組とライン組、それぞれがどやどやとマネージャーが用意してくれたドリンクの側に集まった。
そこはヒル魔と阿含の二人からほど近い場所で、誰もが恐怖半分興味半分で二人の様子を伺っている。
「あの二人、まだあんなところで立ち話してるの?」
「そうみたいっスね」
「仕方ないわね」
そう言うなり、まもりはすたすたと色々と渦巻く二人の側に歩いていってしまう。
「・・・マネージャーって空気読めない人だったっけか」
「そ、そんなことないはずだけど・・・」
戸叶に尋ねられ、セナは自信なさげに答える。
「ねえ二人とも、そんなところで立ち話してないで部室にでも来たらどう? コーヒー淹れるわよ」
「まもりちゃんが淹れてくれるコーヒーならおいしいんだろうな。飲んでみたいね」
「ア!? テメェに出すコーヒーなんざねぇ!」
隙あらば手を取り腰を取ろうとする阿含の手をヒル魔がべしっと叩いて落とす。
「練習の邪魔だ! 帰れ!!」
更に畳みかけるように怒鳴るヒル魔の隣で、まもりがキッと顔を上げる。
「ちょっと! ヒル魔くん、さっきからお友達に対して酷い言い方するじゃない!」
「アァ?!」
「親しき仲にも礼儀あり、って言うでしょ! 駄目よ、そんなことしちゃ!」
「・・・ァア?」
あまりに突拍子のない台詞に、ヒル魔は呆れてまもりの顔をマジマジと見てしまう。
「阿含くん、なにもないところだけどコーヒー淹れるから、こっちに来て!」
「じゃあお言葉に甘えて・・・」
「甘えんな!」
「もう、ヒル魔くんてば!」
再びヒル魔は苦々しい顔をしながらも阿含を追い払おうとする。それにまもりがまた食ってかかる。
阿含は最早まもりがどうこうではなく、ヒル魔の反応が楽しくてからかっているに過ぎないようだ。
堂々巡りのその様子に、休憩時間はとっくに終わっていたが動けなかった部員たちの間に失笑が広がる。
「マネージャー、そりゃねぇよな・・・」
「ハァアア・・・天然にも程があるぜ」
「フゴ」
「ムッシューヒル魔もマドモアゼルまもりが大事なんだね!」
「姉崎さん、全然気づいてないのかな」
「気づいてないと思います。まもり姉ちゃん、いい人だと思ったら信じちゃうから」
「あのドレッドがいい人、っつー考えが信じられねぇけどな」
「いかにも見た目悪いヤツだよな」
「ヒル魔が可哀想になってきたよ」
「そうだな」
内容的には笑い事なのだが、ヒル魔にまもりという取り合わせ、更にその相手が阿含である。
どうにも大声で笑うのは憚られる。
「もう! ヒル魔くん、滅多にない友達の来訪だから照れちゃうのかもしれないけど! ここでおもてなしの一つもしないでお帰りいただくのは恥ずかしいことなのよ!!」
「アア!!??」
論点が完全にずれている上に訳がわからない。
もうどうしたらいいのか、という風情のヒル魔の肩をぽんと叩く人がいる。
「・・・俺、帰るわ」
からかっていた阿含も、あまりのまもりの天然振りに脱力してしまったらしい。
その目が憐憫の情を滲ませているのを見て、ヒル魔も脱力してしまう。
「・・・おー」
そもそもはテメェが来なければこんなことには云々と色々言いたいことがあったが、精神的に疲弊したヒル魔は生返事をするのが精一杯だ。
「え!? で、でも・・・」
「あ、ごめんね、突然来て突然帰るって言っちゃって。気にしないでくれると嬉しいな」
にっこりとたらし全開の笑顔を見せる阿含にまもりは渋々頷く。
「今度はちゃんとコーヒー淹れるから、また来てね!」
ここまでヒル魔を疲弊させておいて更にその台詞。
後ろでがっくりと肩を落とすヒル魔を見て、さしもの阿含も苦笑して手を振るしかできなかった。


その後の練習はストレス発散とばかりに暴れまくったヒル魔だったが、それを見たまもりの感想といえば。
「やっぱり友達と会ったのがいい刺激になったのね」
という、ずれまくったものだったので。
部活を終えて帰る道すがら。
「俺、アメフト部に入ってから初めてヒル魔に同情した」
という十文字の台詞に、皆して深く深ーく頷いたのだった。


***
のの様リクエスト『阿含絡みのヒルまもデビルバッツ』でした。 単品で阿含を書くのが初めてだったのでなかなか掴めず難儀しました。私は彼をなるべくなら雲水とセットで書きたいらしいです。一度仕事先でアニメ仕様の紫ドレッドを見て、リアルで見ると迫力あるなあと思った覚えがあります。ちなみに女の子でした。
リクエストありがとうございましたー!!

のの様のみお持ち帰り可。

リクエスト内容(作品と合っているかどうか確認のために置きます)以下反転して下さい。

『阿含絡みで。泥門に現れたあごん。まもり狙いかと皆が警戒するのに、当のまもりは笑顔一杯のウエルカム状態。そんなまもりを苦々しく見つめ、さりげなくあごんとの距離をとらせようとするヒル魔の反応に気づき、ヒル魔の反応見たさにまもりにちょっかい出しだすあごん。あごんに遊ばれているとわかってても鈍感なまもりのために追い返そうとするヒル魔、そんなヒル魔をお客様に失礼だと言っちゃうまもり、皆が笑うに笑えず見てたり、最後まで天然のまもりを見て、しまいにはさすがのあごんもヒル魔にどうじょうしちゃったり、てなドタバタを見たいです。 』ご要望にお応えできたでしょうか。まもりの天然っぷりが書いていて楽しかったです♪
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