旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
まもりの手は荒れがちだ。
やはり日頃からのマネージャー業で手指を酷使するというのもあるし、存外紙は水分を奪い取るのだ。
授業のノートに始まり、ファイリングやら部誌やらの記入に至るまで、常に紙に触れていると言ってもいい。
そうなると指先は部活の後にはがさがさになってしまう。
だからハンドクリームは欠かせない。
最近のお気に入りは父が買ってきてくれた外国産のものだ。
フランスかどこかだと聞いているが、よくは知らない。
ただ、香りがいいので好きなのだ。
今日も作業を終えて手を洗った後、水気を切った手に慣れた手つきでチューブを握って。
「あ」
まもりはハンドクリームのチューブを手に固まった。
出し過ぎた。
このところ出が悪いからと思い切り握ったのが悪かったらしい。
あからさまに多すぎるクリームに、まもりはどうしようかと思案する。
家でならかかとや肘に塗るなりするのだけれど、ここはまだ部室で。
捨てるのは勿体ないし、誰かに分けようにも室内にはヒル魔が一人残っているだけだ。
まもりはふと彼の手を見る。
彼はQBだから、グローブが嵌められない。
きっと手指は荒れている事だろう。
まもりは自分の掌に出過ぎたクリームを見て、それからもう一度彼を見て。
「ね、ヒル魔くん」
ヒル魔の元に近寄る。
「ア?」
「手、貸して」
顔を上げた彼の手を取り、まもりは自分の手には多すぎたクリームを遠慮なく塗りたくった。
ふわりとラベンダーの香りが立ち上る。
「アァ!? 何しやがる、糞マネ!!」
突然の事に驚き声を上げたヒル魔に、まもりはそんなに驚かれる事かしら、と首を傾げる。
「ハンドクリーム出し過ぎちゃって、勿体ないから」
「勿体ない、って・・・」
べたべたと、両手をすりあわせるようにしてまもりは満遍なく彼に手にクリームを塗る。
ぬるりと滑る感触。体温で僅かに熔けたそれはするすると手に馴染んだ。
ヒル魔の顔が引きつる。
「放せ!」
「ん、待って。まだ全部塗れてない」
掌、手の甲、指。指は長く、先端に行く程堅い感触。
爪、綺麗なんだなあ、と感心しながらその指先の一つ一つまで丁寧にクリームを塗り込む。
かさつく感じとは違うが、堅い指先にまもりはにっこりとヒル魔を見上げた。
「ヒル魔くん、QBだし手指荒れてそうだし実際荒れてたし、丁度いいでしょ?」
「・・・」
ヒル魔は何か言いたげにぱくぱくと口を開閉させていたが、やがて諦めたように口を閉ざす。
指の間にまでクリームを塗り込んだまもりは満足そうに手を放す。
彼からの匂いといえば、銃の硝煙か無糖ガムのミントが主で。
それ以外に香る柔らかい匂いにまもりは柔らかく微笑んで。
そうして、時計に視線をやって慌てて立ち上がった。
「あ、もう帰らなきゃ。ヒル魔くん、終わりそう?」
結構いい時間だ。
けれどヒル魔はようやく取り戻した手をキーボードに置いてディスプレイを見ながら口を開く。
「いや。俺はもう少しかかる」
「そう。じゃあ先に帰っていい?」
「ドーゾ」
「お先に失礼します!」
素っ気ないような対応にも慣れっこだ。
まもりは柔らかい笑みを浮かべるとヒル魔に手を振り、颯爽と部室を後にした。
部室に一人残されたヒル魔は額に手を当てる。
その手からは常の彼からは考えられないような甘ったるい匂いがして、居心地が悪い。
ハンドクリーム以上に彼女の手の匂いが染みついたようで、落ち着かない。
柔らかい肌、少し冷たい手。
ぬるりと触れ合うそれがヒル魔にもたらしたのは、紛れもない心地よさ。
にっこりと笑う顔は全く他意がない。
天然もここまでくれば悪魔の所業より質が悪い。
「・・・糞ッ!!!」
盛大に舌打ちしたヒル魔は、甘く香る指を激しくキーボードに打ち付けた。
***
ハンドクリームネタで友人と盛り上がり出来た代物。
生殺し状態のヒル魔さんが書いていてひっじょうに楽しかったです(笑)
もう一方のネタはその友人が書いて私にくれると言っていたので信じて待ってます☆待ってるからね!!
やはり日頃からのマネージャー業で手指を酷使するというのもあるし、存外紙は水分を奪い取るのだ。
授業のノートに始まり、ファイリングやら部誌やらの記入に至るまで、常に紙に触れていると言ってもいい。
そうなると指先は部活の後にはがさがさになってしまう。
だからハンドクリームは欠かせない。
最近のお気に入りは父が買ってきてくれた外国産のものだ。
フランスかどこかだと聞いているが、よくは知らない。
ただ、香りがいいので好きなのだ。
今日も作業を終えて手を洗った後、水気を切った手に慣れた手つきでチューブを握って。
「あ」
まもりはハンドクリームのチューブを手に固まった。
出し過ぎた。
このところ出が悪いからと思い切り握ったのが悪かったらしい。
あからさまに多すぎるクリームに、まもりはどうしようかと思案する。
家でならかかとや肘に塗るなりするのだけれど、ここはまだ部室で。
捨てるのは勿体ないし、誰かに分けようにも室内にはヒル魔が一人残っているだけだ。
まもりはふと彼の手を見る。
彼はQBだから、グローブが嵌められない。
きっと手指は荒れている事だろう。
まもりは自分の掌に出過ぎたクリームを見て、それからもう一度彼を見て。
「ね、ヒル魔くん」
ヒル魔の元に近寄る。
「ア?」
「手、貸して」
顔を上げた彼の手を取り、まもりは自分の手には多すぎたクリームを遠慮なく塗りたくった。
ふわりとラベンダーの香りが立ち上る。
「アァ!? 何しやがる、糞マネ!!」
突然の事に驚き声を上げたヒル魔に、まもりはそんなに驚かれる事かしら、と首を傾げる。
「ハンドクリーム出し過ぎちゃって、勿体ないから」
「勿体ない、って・・・」
べたべたと、両手をすりあわせるようにしてまもりは満遍なく彼に手にクリームを塗る。
ぬるりと滑る感触。体温で僅かに熔けたそれはするすると手に馴染んだ。
ヒル魔の顔が引きつる。
「放せ!」
「ん、待って。まだ全部塗れてない」
掌、手の甲、指。指は長く、先端に行く程堅い感触。
爪、綺麗なんだなあ、と感心しながらその指先の一つ一つまで丁寧にクリームを塗り込む。
かさつく感じとは違うが、堅い指先にまもりはにっこりとヒル魔を見上げた。
「ヒル魔くん、QBだし手指荒れてそうだし実際荒れてたし、丁度いいでしょ?」
「・・・」
ヒル魔は何か言いたげにぱくぱくと口を開閉させていたが、やがて諦めたように口を閉ざす。
指の間にまでクリームを塗り込んだまもりは満足そうに手を放す。
彼からの匂いといえば、銃の硝煙か無糖ガムのミントが主で。
それ以外に香る柔らかい匂いにまもりは柔らかく微笑んで。
そうして、時計に視線をやって慌てて立ち上がった。
「あ、もう帰らなきゃ。ヒル魔くん、終わりそう?」
結構いい時間だ。
けれどヒル魔はようやく取り戻した手をキーボードに置いてディスプレイを見ながら口を開く。
「いや。俺はもう少しかかる」
「そう。じゃあ先に帰っていい?」
「ドーゾ」
「お先に失礼します!」
素っ気ないような対応にも慣れっこだ。
まもりは柔らかい笑みを浮かべるとヒル魔に手を振り、颯爽と部室を後にした。
部室に一人残されたヒル魔は額に手を当てる。
その手からは常の彼からは考えられないような甘ったるい匂いがして、居心地が悪い。
ハンドクリーム以上に彼女の手の匂いが染みついたようで、落ち着かない。
柔らかい肌、少し冷たい手。
ぬるりと触れ合うそれがヒル魔にもたらしたのは、紛れもない心地よさ。
にっこりと笑う顔は全く他意がない。
天然もここまでくれば悪魔の所業より質が悪い。
「・・・糞ッ!!!」
盛大に舌打ちしたヒル魔は、甘く香る指を激しくキーボードに打ち付けた。
***
ハンドクリームネタで友人と盛り上がり出来た代物。
生殺し状態のヒル魔さんが書いていてひっじょうに楽しかったです(笑)
もう一方のネタはその友人が書いて私にくれると言っていたので信じて待ってます☆待ってるからね!!
PR
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カウンター
カテゴリー
プロフィール
HN:
鳥(とり)
HP:
性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
最新コメント
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
(02/16)
アクセス解析
フリーエリア