旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。
ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
+ + + + + + + + + +
まもりは久しぶりの休日に、本当に久しぶりにベッドでごろごろしていた。
基本的にだらだらと休みを寝て過ごすなんてことはしないし、性分的にもできない。
けれど、ここのところ部活にテスト、さらには生徒会の報告物が折り重なり、最近は家に帰っても食事と入浴と睡眠だけこなす日々が続いていた。いくらまもりが負けず嫌いで目の前に積まれた仕事は早くやり遂げたい性格とはいえ、そろそろ肉体的・精神的にも限界だった。
そして今日はようやく訪れた何も予定が入っていない日。
だから今だけは、思い切り自分を甘やかそう、そう思ってぽかぽかと暖かい日差しの差し込む室内でごろごろしていたのだ。
このままお昼寝でもしようかな、などと考えて。
まるで猫が日向でくつろぐかのように思い切りのびをしていたら、部屋の入り口から聞き慣れた声が聞こえた。
「オイ」
ちらりと視線を向けると、そこには相も変わらず黒ずくめな幼なじみのヒル魔の姿。
金髪を相変わらず天に逆立てた姿は、いくら恋人同士とはいえ今日は見たくない顔だった。
部活の大変さは、彼のせいで余計に増えた仕事によるものが大半だから。
確かに必要かな、と思う物はまだいい。
どちらかといえば、隙あらば手を出そうとする彼の所作によってまもりのストレスは増大していたのだから、諸悪の根元とも呼べる彼の登場に喜ぶつもりは全くない。
「無視か」
つーん、とまもりはヒル魔を無視してまたごろりとベッドに転がる。
ふかふかの布団は昨日母が干しておいてくれたおかげで、日の匂いがする。
ヒル魔はそんなまもりの側に近寄って手を触れようとしたが。
「ッテ!」
すかさずまもりがヒル魔の手を叩いた。
爪は立てなかったし、大した力ではなかったが、想定外の反撃にヒル魔の顔が一気に不機嫌になる。
「テメェ・・・」
凄まれても謝る気はない。そもそも室内に立ち入っていいと誰が許可したか。
万事が全てこんな調子なので、彼がいるところにまもりの平穏は無いに等しい。
我が物顔でまもりを好き勝手にする彼のことが好きではあるけれども、さすがに限度がある。
ふん、とまもりはヒル魔に背を向けて丸くなる。
今日は一人でゆっくりしたい気分なのだ。
「せっかくの休みにごろごろしてんじゃねぇ。太るぞ」
それにもまもりは返事をしない。
「そんなに暇か」
もう一度伸びてきた手を、やはりまもりはたたき落とす。
「・・・・・・ホー」
ヒル魔が立ち上がる。そして外に出る気配。
帰ったのか、と思った途端に緊張が解けたせいか睡魔が襲ってくる。
暖かい布団にやさしい室温、静かな部屋。
絶好のお昼寝タイムだ。
うつらうつらとし出したまもりの身体が、いきなり持ち上げられた。
「っ?!」
「重てェ」
舌打ち混じりに呟かれて、まもりは咄嗟に怒鳴ろうとしたが、やめる。
いつもいつもそういった態度を取るたびに上手くあしらわれてその隙につけ込まれているのだと最近学習したのだ。
こういうときは反応を返さないで無視するに限る。
腕に抱いてもそっぽを向いたままのまもりにヒル魔は彼女を室外へと連れ出そうとする。
さすがにこのまま外に連れ出されたら、ご近所の目もあるので勘弁願いたい。
まもりはばたばたと暴れ始める。
「糞ッ! 暴れるんじゃねぇ!」
けれどまもりはむっと眉を寄せて更に暴れる。
「っこら!」
どうにか緩んだ腕の中からまもりはするりと逃げ出した。
「なんなんだ、テメェ。さっきから一言も喋らねぇし」
不機嫌そうな彼にまもりは構わずベッドに戻ろうとする。
ヒル魔はイライラと怒鳴りつける。
「人の話を聞け! この糞猫女が!」
それにまもりはひたりとヒル魔を見て、そうしてにっこりと笑った。
「にゃあ」
「ア!?」
まもりは一声鳴くと、再びベッドに潜り込んだ。
一瞬あっけにとられたヒル魔は、それでも一瞬で我に返るとベッドで丸くなるまもりから乱暴に布団をはぎ取る。
「テメェ、それはまさか猫だから人の話聞かないとかそういう話か」
「にゃー」
ご名答、と言いたげにまもりは鳴いて布団を取り返そうとする。
だが、伸ばした腕をあっさりと彼に捕らえられる。
その顔は笑みに歪んでいるのに、眸が全く笑っていない。
「―――テメェが猫っつーなら、それなりにやりようがあるナァ?」
「にゃ・・・」
不穏な空気に逃れようとするが、先ほどよりがっちりと抱えられ、逃れようがない。
まもりはさっと青くなる。
今日は休日、母も一階にいるはずだ。
母に助けを求めようと声を上げようとしたが、ヒル魔に先回りされる。
「テメェの母親なら買い物に出掛けたぞ。夜まで帰らないっつってたな」
「っ?!」
なんでそんなことを知っているのだ、と驚いた顔をすれば、彼はにやりと質の悪い笑みを浮かべる。
「さっき俺と入れ替わりで出て行った。留守番頼むってナァ」
まもりは目眩を覚える。
なんで隣人のヒル魔に留守番を頼むのだろうか。室内にいた娘のまもりにならともかく。
その隙にヒル魔はまもりを抱えて階下へと降りていく。
「にゃー! にゃー!!」
こうなれば意地でも喋ってやらない、と決めたまもりは思い切り鳴きながら腕を突っぱねるが、体格差は歴然で。
「煩ェ、糞猫!」
「にゃーっ!!」
ヒル魔の肩を引っ掻こうが叩こうが彼は揺らがない。
蹴飛ばそうとしたが、それは足を抱えられていて無理だ。
そうこうしているうちに、まもりが連れ込まれ、そしてやや乱暴に落とされたのは――――
「ぶっ!!」
ばしゃーん、と派手な水音を立てて落とされたのは湯を張ったバスタブ。
服を着たままだったのに、お構いなしだ。
更にその上からシャワーでお湯を掛けられ、まもりは息苦しさに喘ぐ。
「にゃっ・・・!」
「糞猫、そんなに暇なら洗ってやろう」
伸びてきた腕がまもりのびしょぬれの頭を捕らえ、強引にその唇を奪った。
「や・・・やめ・・・」
散々に貪った後、僅かに唇を離せばまもりが息苦しさにか細い声を上げても、ヒル魔はニヤニヤと笑うばかり。
「猫じゃ何言ってるのか俺には判らねぇナァ」
「・・・っ」
先ほどの意趣返しにそんなことを言われ、まもりはぐっと詰まる。
「隅々まで洗ってやろうじゃねぇか。時間はタップリあるしナァ?」
「ひ・・・」
涙目になるまもりの頭にべしゃりとシャンプーを落としながらヒル魔は楽しげに笑う。
猫は全身が濡れてしまうと無気力になってしまうらしい。
あからさまに洗うのとは違う目的で伸びてくる腕を、まもりはそんなことを思い出しながらも、ただ受け入れるしかなかった。
***
お題「猫」で表バージョン。お風呂でドタバタが書きたかったのでなんとなく「恋人定義」の二人に出て貰いました。この二人はくだらないことでイチャイチャするバカップルっぽい気がするので(笑)
基本的にだらだらと休みを寝て過ごすなんてことはしないし、性分的にもできない。
けれど、ここのところ部活にテスト、さらには生徒会の報告物が折り重なり、最近は家に帰っても食事と入浴と睡眠だけこなす日々が続いていた。いくらまもりが負けず嫌いで目の前に積まれた仕事は早くやり遂げたい性格とはいえ、そろそろ肉体的・精神的にも限界だった。
そして今日はようやく訪れた何も予定が入っていない日。
だから今だけは、思い切り自分を甘やかそう、そう思ってぽかぽかと暖かい日差しの差し込む室内でごろごろしていたのだ。
このままお昼寝でもしようかな、などと考えて。
まるで猫が日向でくつろぐかのように思い切りのびをしていたら、部屋の入り口から聞き慣れた声が聞こえた。
「オイ」
ちらりと視線を向けると、そこには相も変わらず黒ずくめな幼なじみのヒル魔の姿。
金髪を相変わらず天に逆立てた姿は、いくら恋人同士とはいえ今日は見たくない顔だった。
部活の大変さは、彼のせいで余計に増えた仕事によるものが大半だから。
確かに必要かな、と思う物はまだいい。
どちらかといえば、隙あらば手を出そうとする彼の所作によってまもりのストレスは増大していたのだから、諸悪の根元とも呼べる彼の登場に喜ぶつもりは全くない。
「無視か」
つーん、とまもりはヒル魔を無視してまたごろりとベッドに転がる。
ふかふかの布団は昨日母が干しておいてくれたおかげで、日の匂いがする。
ヒル魔はそんなまもりの側に近寄って手を触れようとしたが。
「ッテ!」
すかさずまもりがヒル魔の手を叩いた。
爪は立てなかったし、大した力ではなかったが、想定外の反撃にヒル魔の顔が一気に不機嫌になる。
「テメェ・・・」
凄まれても謝る気はない。そもそも室内に立ち入っていいと誰が許可したか。
万事が全てこんな調子なので、彼がいるところにまもりの平穏は無いに等しい。
我が物顔でまもりを好き勝手にする彼のことが好きではあるけれども、さすがに限度がある。
ふん、とまもりはヒル魔に背を向けて丸くなる。
今日は一人でゆっくりしたい気分なのだ。
「せっかくの休みにごろごろしてんじゃねぇ。太るぞ」
それにもまもりは返事をしない。
「そんなに暇か」
もう一度伸びてきた手を、やはりまもりはたたき落とす。
「・・・・・・ホー」
ヒル魔が立ち上がる。そして外に出る気配。
帰ったのか、と思った途端に緊張が解けたせいか睡魔が襲ってくる。
暖かい布団にやさしい室温、静かな部屋。
絶好のお昼寝タイムだ。
うつらうつらとし出したまもりの身体が、いきなり持ち上げられた。
「っ?!」
「重てェ」
舌打ち混じりに呟かれて、まもりは咄嗟に怒鳴ろうとしたが、やめる。
いつもいつもそういった態度を取るたびに上手くあしらわれてその隙につけ込まれているのだと最近学習したのだ。
こういうときは反応を返さないで無視するに限る。
腕に抱いてもそっぽを向いたままのまもりにヒル魔は彼女を室外へと連れ出そうとする。
さすがにこのまま外に連れ出されたら、ご近所の目もあるので勘弁願いたい。
まもりはばたばたと暴れ始める。
「糞ッ! 暴れるんじゃねぇ!」
けれどまもりはむっと眉を寄せて更に暴れる。
「っこら!」
どうにか緩んだ腕の中からまもりはするりと逃げ出した。
「なんなんだ、テメェ。さっきから一言も喋らねぇし」
不機嫌そうな彼にまもりは構わずベッドに戻ろうとする。
ヒル魔はイライラと怒鳴りつける。
「人の話を聞け! この糞猫女が!」
それにまもりはひたりとヒル魔を見て、そうしてにっこりと笑った。
「にゃあ」
「ア!?」
まもりは一声鳴くと、再びベッドに潜り込んだ。
一瞬あっけにとられたヒル魔は、それでも一瞬で我に返るとベッドで丸くなるまもりから乱暴に布団をはぎ取る。
「テメェ、それはまさか猫だから人の話聞かないとかそういう話か」
「にゃー」
ご名答、と言いたげにまもりは鳴いて布団を取り返そうとする。
だが、伸ばした腕をあっさりと彼に捕らえられる。
その顔は笑みに歪んでいるのに、眸が全く笑っていない。
「―――テメェが猫っつーなら、それなりにやりようがあるナァ?」
「にゃ・・・」
不穏な空気に逃れようとするが、先ほどよりがっちりと抱えられ、逃れようがない。
まもりはさっと青くなる。
今日は休日、母も一階にいるはずだ。
母に助けを求めようと声を上げようとしたが、ヒル魔に先回りされる。
「テメェの母親なら買い物に出掛けたぞ。夜まで帰らないっつってたな」
「っ?!」
なんでそんなことを知っているのだ、と驚いた顔をすれば、彼はにやりと質の悪い笑みを浮かべる。
「さっき俺と入れ替わりで出て行った。留守番頼むってナァ」
まもりは目眩を覚える。
なんで隣人のヒル魔に留守番を頼むのだろうか。室内にいた娘のまもりにならともかく。
その隙にヒル魔はまもりを抱えて階下へと降りていく。
「にゃー! にゃー!!」
こうなれば意地でも喋ってやらない、と決めたまもりは思い切り鳴きながら腕を突っぱねるが、体格差は歴然で。
「煩ェ、糞猫!」
「にゃーっ!!」
ヒル魔の肩を引っ掻こうが叩こうが彼は揺らがない。
蹴飛ばそうとしたが、それは足を抱えられていて無理だ。
そうこうしているうちに、まもりが連れ込まれ、そしてやや乱暴に落とされたのは――――
「ぶっ!!」
ばしゃーん、と派手な水音を立てて落とされたのは湯を張ったバスタブ。
服を着たままだったのに、お構いなしだ。
更にその上からシャワーでお湯を掛けられ、まもりは息苦しさに喘ぐ。
「にゃっ・・・!」
「糞猫、そんなに暇なら洗ってやろう」
伸びてきた腕がまもりのびしょぬれの頭を捕らえ、強引にその唇を奪った。
「や・・・やめ・・・」
散々に貪った後、僅かに唇を離せばまもりが息苦しさにか細い声を上げても、ヒル魔はニヤニヤと笑うばかり。
「猫じゃ何言ってるのか俺には判らねぇナァ」
「・・・っ」
先ほどの意趣返しにそんなことを言われ、まもりはぐっと詰まる。
「隅々まで洗ってやろうじゃねぇか。時間はタップリあるしナァ?」
「ひ・・・」
涙目になるまもりの頭にべしゃりとシャンプーを落としながらヒル魔は楽しげに笑う。
猫は全身が濡れてしまうと無気力になってしまうらしい。
あからさまに洗うのとは違う目的で伸びてくる腕を、まもりはそんなことを思い出しながらも、ただ受け入れるしかなかった。
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鳥(とり)
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性別:
女性
趣味:
旅行と読書
自己紹介:
ついうっかりブログ作成。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
現在のところ復活の予定はありません。
同人歴は読み専門も含めると二桁は楽勝。
よろしくお願いいたします。
【裏について】
閉鎖しました。
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