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旧『そ れ は 突 然 の 嵐 の よ う に』です。 ア イ シ ー ル ド 21 ヒ ル ま も ss 中心。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。

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天使育成計画

(ヒルまも一家)
※あかりが5、6才くらい・・・かな?



+ + + + + + + + + +
ヒル魔家のリビングのテーブルに、家族全員が顔を合わせている。
休日ののどかな昼下がり、穏やかな日差しに芳しいコーヒーの香り。
幸せという空間が存在するのならきっとこんな場所に違いない。
―――と言いたいのだが。
何故か全員はひどく真剣な顔つきで向かい合っている。
議題は一つ。

「だから、ピアノなのよ」
まもりが口を開く。
「やっぱりバレエでしょ!」
「全員『道』で統一してぇんだが」
「だから華道か茶道でいいんじゃない」
「書道でもいいけど」
「スイミングとかもいいし、英語教室・・・は必要ないわね」
「珠算に暗算・・・も別にいいね。多分頭はそう悪くないはずだから」
全員がちらりとリビングのテレビの前にぺたりと座る少女に視線を向ける。
そう。
全員で頭を付き合わせて考えているのは、末の娘あかりの習い事の話なのだ。
実はヒル魔が柔道初段であることを筆頭に、アヤが合気道初段で妖介が少林寺拳法初段、護が剣道二段という有段者揃いの一家なのである。
当初、ヒル魔とまもりはアヤにピアノとかバレエとかいう可愛らしい女の子らしい習い事をさせるつもりだった。
けれどどうにも外見的なことで、もめ事に巻き込まれる事が多かったので、せめて自分の身は自分で守れるようにと合気道を始めさせたのが切っ掛け。そこから妖介も護も武道を嗜むようになった。息子二人はいいが、アヤに関しては今でも合気道ではなくお絵かき教室に通わせるべきだったとまもりは半ば真剣に考えている。
というわけで、あかりについては武道をやらせないようにしようという意見で家族全員が一致していた。
女の子らしく、可愛らしく、間違っても人を投げ飛ばしたりしないように。
「身体動かすならダンス教室とか・・・あ、日舞とかどう?」
「日舞も格好いいね」
皆でわいわい喋っている中、アヤはふとあかりが何かの番組に夢中になっているのに気づいた。
家族全員が自分に構わないのに騒ぎもしない。
まだまだ構って欲しいさかりのあかりが静かなのは珍しい。
アヤは立ち上がり、あかりの側に歩み寄る。
「あかり、何を見て―――」
そのままアヤは黙り込む。
それに気づいた他の家族も立ち上がり、あかりの傍らに近寄った。
「何?」
「何見てるの・・・」
そこに映し出されているのは、流鏑馬。
渋い。
渋すぎる。
一体なんでこんな物を見ているのだ、と家族の誰もが思った。
護が代表して尋ねる。
「あかりちゃん、これおもしろい?」
「うん」
こっくりと頷くも、視線は画面に釘付けだ。
「何が面白いの? お馬さんかな?」
もし馬に興味があるなら、乗馬教室もいいかもね、と考えたが。
あかりはふるふると頭を振った。
「んーん。あかり、これやりたい!」
それは紛れもなく矢をつがえる仕草で。
「あかりちゃん、あれは男の人しかやったらいけないんだよ?」
護が嘘で丸め込もうとするが。
「ちがうもん、おんなのひと、やってたよ」
騙されることなくあかりは首を振る。
ぴゅー、ってやってた! とジェスチャーを交えて示すあかりに、全員顔を見合わせる。
「まさか・・・」
「弓道?」
「・・・ええー・・・」
全員が微妙な顔になる。武道はやらせないつもりだったのに、と。
「あかりちゃん、ピアノやろう? お歌でもいいわよ」
「踊ったり泳いだりするのはどうかな?」
「お花好きだよね?」
まもりと妖介、護の三人がずいっと近寄るが、あかりは頑なに首を振る。
「んーん! やー、あかりこれやるの! これぜったいやるの!!」
これ、と指さす流鏑馬。
「馬に乗りたいの?」
アヤが改めて確認するが。
「やー! 違うもん、ぴゅー、ってやるの!」
矢を射てみたい、と頑固に首を振る様に、ヒル魔が近寄ってあかりを抱き上げる。
「やってみるか?」
「やりたい!」
目をきらきらさせるあかりとは裏腹に、全員渋い顔でヒル魔を見つめる。
やらせる気か、と。
「じゃあ一度やってみろ」
「やる!!」
ヒル魔は手話で他の全員に告げる。
(一度やってみて、理想と違えばやめるだろ)
弓道は素人が弓を引く事さえ難しい。
子供なら尚更。
生傷も絶えないのだという。
一度でも腕を弦で弾かれればきっとやる気も失せるに違いない、と踏んだヒル魔はそう示したが。


数日後。
あかりは弓道の体験教室で腕にたくさんのみみず腫れを作りながらも楽しそうな顔で帰ってきた。
また次も行きたいと強請る様に、家族は目論見通りに行かなかった事に少々がっかりしたのだが。
頭を切り換え、彼女を天使の如く育成する計画について再び議論を始めたのだった。


***
まもり母さんを除いて家族全員有段者という話。
ヒル魔さんが柔道有段者なのは『飛来する悪魔』から気に入って使っている設定です。
妖介が少林寺拳法の有段者という設定を拍手に載せ忘れていたのもまとめてみました。
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